放浪営業マンの奇抜な旅路
全体としては、営業の合間に各地を放浪する源冬樹の視点で綴られた現代ドラマであるが、エピソードが次々に切り替わるため構成が散漫になり、読後にやや疲労感を残す。鯨博物館の重厚な描写や、ウツボとの格闘、地元のうつぼ丼やビワソフトクリームといった食の描写は鮮やかで笑いを誘う。さらに、鯨の髭や携帯式釣り竿といった奇抜な小道具が主人公の無骨さと相まって独特のユーモアを生み、地方の風景や家族とのやり取りも温かく描かれている。しかし、場面転換が頻繁で情報が過密に詰め込まれ、テンポが乱れがちで読者の集中を切らすことがある。粗さはある。だが、目を引くものもある