「ヨーコ、Ladyちゃうからなぁ」
ジョンの想定外な言葉に俺は動揺した。ヨーコちゃん、そもそも男だったのか!!
「何や、日本人はSomesex marriage出来ひんのか? その文化、Legacyやでぇ!」
そうだよな、冷静に考えればここは国外。いくら日本語が通じる国とはいえ、文化が違っていても当然だろう。
「Also、日本は未だに印鑑をUsingしとるらしいのぉ? Outdatedや!」
中途半端な英語のせいで意味はよく分からないが、おそらくジョンは皮肉を言っている。日本政府のデジタル化推進によって印鑑レスは進んできているものの、マイナンバーカードのように課題が山積しているものもある。
同性婚や夫婦別姓など、世界的に容認される傾向にある制度も日本ではまだまだ実現が難しいだろう。というより、日本という国はあまりにも柵が多いのだと思う。その結果、創造性は踏み躙られて国家としても弱体化していく。そう思うと、俺は日本の行く末を憂いてしまう。
「ワシの知っとる日本はGenderに厳しいねん」
ジェンダー、おそらく男尊女卑の事だろう。日本の皇位継承が未だに男系に限定されていることを鑑みれば、その国民性は明らかだ。そういう意味で、日本は果たして先進国と言えるのか俺は甚だ疑問である。
「同じ風呂に入れば男女はBorderlessや」
うんうん、全くその通り。同じ屋根の下で飯を食えば皆家族だ......え? 同じ風呂??
「せや、同じ風呂でTalkingや」
いや待て待て! いくら異文化とはいえ男女で同じ風呂はまずいだろ!! それは聞き捨てならないぞ!
「何や、日本人は裸のCommunicationせぇへんのか? ホンマにOutdatedやわぁ!」
ジョンはおそらく裸の付き合いとでも言いたいのだろう。それは同性だからこそ通じる話であって、そこは男女の分別がある。というより、さっきから言ってるOutdatedってどういう意味なんだ? 聞いていると何となく腹が立つ。
「もうええわ! さっきから時代遅れ時代遅れって喧しいわ!!」
その話に堪忍ならなかったヨーコちゃんは、どこからか助走をつけてジョンに飛び蹴りを喰らわせる。なるほど、俺の怒りの理由が分かった。そしてヨーコちゃんナイス! 俺は思わず親指を突き立てた。
「ヨーコちゃん、今日の飛び蹴りは一段と調子ええなぁ」
ヨーコちゃんに蹴られた箇所を庇いながらも、ジョンはどことなくご満悦の表情。これが彼らのいうCommunicationなんだと俺は思った。
「せや、さっき仕入れたばかりのFishおんねん! 旦那、Wait a minute!」
そういうとジョンはおもむろに一尾の魚を取り出す。大ぶりで丸いフォルムしたそいつはもしや......!
「えっ、GT!?」
俺は一瞬、目が点になった。