商談23 神の天敵
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大学時代に失くしたはずの俺のゼッケン、どうして島津が持っているんだ?
「話は後だ。とにかく面を着けろ!」
話を聞こうにも、島津は俺と対戦することで頭がいっぱいのようだ。確か、ゼッケンは国立体育大学主催の合同稽古へ参加した時に失くしたんだっけな? 主催大学の剣道部員なら、何か事情を知っているかもしれない。とにかく、俺はこの戦いに受けて立つ!!
俺は懐かしのゼッケンをたれ部分へ装着する。俺がまだ血気盛んだった頃の、血と汗と涙が染みついたゼッケンだ。当時の俺は、後に剣道界で物議を醸す一戦の当事者となろうとは、まだ知る由もない。いや、そんな話は後でいい......今は島津との対戦に集中しなくては! 俺は回想を中断して面を装着した。
「遅いぞ入間!」
血気盛んな島津は業を煮やしていたようだ。彼のゼッケンは『利根越 島津』の名前が威風堂々の存在感を醸し出している。島津は大学卒業後に刑務官となり、現在は埼玉県利根越刑務所に勤務している。
そんな彼は、世界最高峰の剣道集団である警視庁機動隊と拮抗する実力の持ち主。それゆえ、警視庁の連中ですら島津を『神殺し』として畏怖している。剣道界では神にも等しい存在である彼らが恐れる天敵、それが島津という男だ。
俺達は対戦前、肩慣らしに切り返しを行う。切り返しとは稽古の前後に行う打ち込み練習で、剣道界では『切り返しの十徳』と語られるように剣道における動作の全てが集約されている。
それにしても、相変わらず島津の体当たりは衝撃が尋常じゃない。加えて一太刀も重く、
気を抜いていたら竹刀を打ち落とされてしまいそうだ。やっぱり、神殺しの名は伊達じゃない。
島津の切り返しが終わり、俺の番に代わる。切り返しは正面打ちからの体当たりに始まり、前進から左右面4本、後退から左右面5本で2セット繰り返し、最後に正面打ちで抜け切る。正直言うと、俺は左右面があまり得意ではない。だって、手首を45度に返すのって意外に難しいぞ??
そして、似たような理由から胴打ちも苦手だ。やっぱり、俺は真上から竹刀を振り下ろす正面打ちがしっくりくる。釣りを嗜む剣道経験者なら、きっと共感してくれることだろう。
俺達が切り返しを終えると、そこにある男が現れた。
「これは面白い対戦。ちょっと拝見させてもらおうかねぇ?」
......嘘だろう?? 伝説の剣豪・鈴木健作じゃないか!!
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大学時代に失くしたはずの俺のゼッケン、どうして島津が持っているんだ?
「話は後だ。とにかく面を着けろ!」
話を聞こうにも、島津は俺と対戦することで頭がいっぱいのようだ。確か、ゼッケンは国立体育大学主催の合同稽古へ参加した時に失くしたんだっけな? 主催大学の剣道部員なら、何か事情を知っているかもしれない。とにかく、俺はこの戦いに受けて立つ!!
俺は懐かしのゼッケンをたれ部分へ装着する。俺がまだ血気盛んだった頃の、血と汗と涙が染みついたゼッケンだ。当時の俺は、後に剣道界で物議を醸す一戦の当事者となろうとは、まだ知る由もない。いや、そんな話は後でいい......今は島津との対戦に集中しなくては! 俺は回想を中断して面を装着した。
「遅いぞ入間!」
血気盛んな島津は業を煮やしていたようだ。彼のゼッケンは『|利根越《とねごえ》 島津』の名前が威風堂々の存在感を醸し出している。島津は大学卒業後に刑務官となり、現在は埼玉県利根越刑務所に勤務している。
そんな彼は、世界最高峰の剣道集団である警視庁機動隊と拮抗する実力の持ち主。それゆえ、警視庁の連中ですら島津を『|神殺し《ゴッドスレイヤー》』として畏怖している。剣道界では神にも等しい存在である彼らが恐れる天敵、それが島津という男だ。
俺達は対戦前、肩慣らしに|切り返し《・・・・》を行う。切り返しとは稽古の前後に行う打ち込み練習で、剣道界では『切り返しの十徳』と語られるように剣道における動作の全てが集約されている。
それにしても、相変わらず島津の体当たりは衝撃が尋常じゃない。加えて一太刀も重く、
気を抜いていたら竹刀を打ち落とされてしまいそうだ。やっぱり、神殺しの名は伊達じゃない。
島津の切り返しが終わり、俺の番に代わる。切り返しは正面打ちからの体当たりに始まり、前進から左右面4本、後退から左右面5本で2セット繰り返し、最後に正面打ちで抜け切る。正直言うと、俺は左右面があまり得意ではない。だって、手首を45度に返すのって意外に難しいぞ??
そして、似たような理由から胴打ちも苦手だ。やっぱり、俺は真上から竹刀を振り下ろす正面打ちがしっくりくる。釣りを嗜む剣道経験者なら、きっと共感してくれることだろう。
俺達が切り返しを終えると、そこにある男が現れた。
「これは面白い対戦。ちょっと拝見させてもらおうかねぇ?」
......嘘だろう?? 伝説の剣豪・鈴木健作じゃないか!!