商談37 繰り返される悲劇
ー/ー
どう見てもチョウザメと思える魚。俺の記憶している限り、近年のチョウザメ類は絶滅の危機に瀕している。特に衝撃的だったのは、長江に生息したと言われる世界最大の淡水魚であるハシナガチョウザメの絶滅が発表されたことだ。そいつは全長7メートルにも達し、『淡水魚の王』と称されていたんだ。そんな淡水魚の王たるハシナガチョウザメの絶滅に俺は戦慄を覚えた。
......何が言いたいかって? 要するに、このチョウザメらしき魚はこの場でリリースしないとヤバいってことだ!! 万が一にも、この場を見ず知らずの人間にSNSへアップされた日には炎上間違いなし! 俺の人生は社会的に終わってしまう。そんなの冗談じゃない!!!
そんな恐怖を覚えた俺は、そいつを汚物のごとく遥か遠くへ放り投げた。少々乱暴かもしれないが、これでいいんだ。これはお互いの為だ。再びそいつを釣ってしまうかもしれないという恐怖心から、俺はポイントを変えることにした。
次のポイントは砂浜。岩場が多いこの場所で砂浜は貴重な釣り場だ。砂浜は磯と違って、ポイントを見極めるには少々コツが要る。砂浜は海上から魚の動きが見えにくく、潮の流れを読むことが重要になる。
一見すると分かりにくいが、岸部からよく見ると白波が切れている個所があることに気付く。そこには離岸流が発生していて、気付かずに踏み入ると一気に沖へ流されてしまう。それ故に、そこは澪と呼ばれる深みになっている。この深みにシーバスやヒラメなどのフィッシュイーターが潜んでいるんだ。
蛇足だろうが、この澪はサーファーが沖へ向かう時にも使う。サーフィンの聖地とされる九々里海岸では、この澪を巡って釣り人とサーファーが揉めることもあるらしい。そういう意味でも、澪は危険地帯なんだ。
話は長くなったが、気を取り直して釣りを再開しよう。これだけ潮の流れがあれば、さすがにチョウザメもやって来ることはないだろう。いや、そう願いたい。
俺はしばらくぬまふくろうを飛ばしていたが、どうにも手応えがない。というより、自然特有の力強さを感じないんだよな。なんなら、海坊主でも出てくるんじゃないかと思うくらいの不気味な静けさだ。
そんな矢先、ぬまふくろうに何かが喰い付いた。しかし、何だか手応えが鈍い。これはもしや......。
「くそっ、またお前か!!」
ぬまふくろうを手繰り寄せた俺は、思わずしかめ面になってしまう。ここはチョウザメしかいないのか!!
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
おすすめ作品を読み込み中です…
この作品と似た作品
似た傾向の作品は見つかりませんでした。
この作品を読んだ人が読んでいる作品
読者の傾向からおすすめできる作品がありませんでした。
おすすめ作品は現在準備中です。
おすすめ作品の取得に失敗しました。時間をおいて再度お試しください。
どう見てもチョウザメと思える魚。俺の記憶している限り、近年のチョウザメ類は絶滅の危機に瀕している。特に衝撃的だったのは、長江に生息したと言われる世界最大の淡水魚であるハシナガチョウザメの絶滅が発表されたことだ。そいつは全長7メートルにも達し、『淡水魚の王』と称されていたんだ。そんな淡水魚の王たるハシナガチョウザメの絶滅に俺は戦慄を覚えた。
......何が言いたいかって? 要するに、このチョウザメらしき魚はこの場でリリースしないとヤバいってことだ!! 万が一にも、この場を見ず知らずの人間にSNSへアップされた日には炎上間違いなし! 俺の人生は社会的に終わってしまう。そんなの冗談じゃない!!!
そんな恐怖を覚えた俺は、そいつを汚物のごとく遥か遠くへ放り投げた。少々乱暴かもしれないが、これでいいんだ。これはお互いの為だ。再びそいつを釣ってしまうかもしれないという恐怖心から、俺はポイントを変えることにした。
次のポイントは砂浜。岩場が多いこの場所で砂浜は貴重な釣り場だ。砂浜は磯と違って、ポイントを見極めるには少々コツが要る。砂浜は海上から魚の動きが見えにくく、潮の流れを読むことが重要になる。
一見すると分かりにくいが、岸部からよく見ると白波が切れている個所があることに気付く。そこには離岸流が発生していて、気付かずに踏み入ると一気に沖へ流されてしまう。それ故に、そこは|澪《みお》と呼ばれる深みになっている。この深みにシーバスやヒラメなどのフィッシュイーターが潜んでいるんだ。
蛇足だろうが、この澪はサーファーが沖へ向かう時にも使う。サーフィンの聖地とされる|九々里《くくり》海岸では、この澪を巡って釣り人とサーファーが揉めることもあるらしい。そういう意味でも、澪は危険地帯なんだ。
話は長くなったが、気を取り直して釣りを再開しよう。これだけ潮の流れがあれば、さすがにチョウザメもやって来ることはないだろう。いや、そう願いたい。
俺はしばらくぬまふくろうを飛ばしていたが、どうにも手応えがない。というより、自然特有の力強さを感じないんだよな。なんなら、海坊主でも出てくるんじゃないかと思うくらいの不気味な静けさだ。
そんな矢先、ぬまふくろうに何かが喰い付いた。しかし、何だか手応えが鈍い。これはもしや......。
「くそっ、またお前か!!」
ぬまふくろうを手繰り寄せた俺は、思わずしかめ面になってしまう。ここはチョウザメしかいないのか!!