商談44 馬野大社
ー/ー
荘厳な石造りの鳥居が俺の目の前に現れた。『馬野大社』の文字が威風堂々としている。どうやらここがあの世の入口なのだろう。
『ヴォエ~~ッ!!』
鳥居の上から聞こえてきたのは変なカラスの鳴き声。よくみると、そこにはカラスが群がっている。てか、お前はさっきのどこかであった気がするんだが??
『モウシワケゴザイマセン......』
さっきの白いカラスもいるなぁ。なぜ謝っているのか知らないが、俺はもう怒ってないから気にするんじゃない。
『......』
1羽だけ物静かだと思ったら、お前はさっき見たウじゃないか。鵜の真似をする烏とはよくいうが、これでは『烏の真似をする鵜』じゃないか。カラスの頭領ごとく佇んでいるが、そもそもお前はカラスじゃない。
『シャクシャク......』
鳥居の片隅には何かを咀嚼しているカラスもいる。あの咀嚼音、きっとスナップエンドウだろう。スナップエンドウの歯ごたえは俺も昔から好きなんだよなぁ。不思議なことに、1個つまむとついつい2・3個はつまんでしまう。
『シャクシャク......』
咀嚼音で思い出した。SNSでひたすらポテトチップスの咀嚼音を配信している輩がいたことを。至って単純な内容なのだが、どういうわけかこれが人気を集めて真似する者が後を絶たなかった。小気味のいい咀嚼音というのは、不思議と心地よいものなのかもしれない。
『コンッ!』
咀嚼音に聞き入っていると、咀嚼カラスは足元の何かを蹴飛ばしたようだ。そいつが蹴飛ばした何かが俺の頭上へと落ちてくる。俺は野球の野手の如く待ち構え、落ちてきた何かを受け止めた。よし、ナイスキャッチ!
俺は掌の何かを恐る恐る確かめる。万が一、これがカラスの糞だった日には目も当てられない。しかし、俺の心配に反してそれは金属製の何かのようだ。それは掌の感触で何となく分かる。
「......これは、5円玉?」
ここに来てようやくまともに見る現金だった。そうだよな、神社に参拝するならお賽銭は必須アイテム。俺は肝心なことを忘れていた。
『シャクシャク......』
なるほど、これはお前なりの餞別か。かたじけない。
ゆなの晴れ着姿を拝めないのは心残りだが、この鳥居をくぐって俺は生まれ変わるんだ。生まれ変わっても、俺はゆなのパパでいたい。
さぁ行こうか、あの世の入口へ。俺は腹を括って神社へ足を踏み入れた。......ところで、馬のモーセはどこにいるんだろうな?
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『ヴォエ~~ッ!!』
鳥居の上から聞こえてきたのは変なカラスの鳴き声。よくみると、そこにはカラスが群がっている。てか、お前はさっきのどこかであった気がするんだが??
『モウシワケゴザイマセン......』
さっきの白いカラスもいるなぁ。なぜ謝っているのか知らないが、俺はもう怒ってないから気にするんじゃない。
『......』
1羽だけ物静かだと思ったら、お前はさっき見たウじゃないか。鵜の真似をする烏とはよくいうが、これでは『烏の真似をする鵜』じゃないか。カラスの頭領ごとく佇んでいるが、そもそもお前はカラスじゃない。
『シャクシャク......』
鳥居の片隅には何かを咀嚼しているカラスもいる。あの咀嚼音、きっとスナップエンドウだろう。スナップエンドウの歯ごたえは俺も昔から好きなんだよなぁ。不思議なことに、1個つまむとついつい2・3個はつまんでしまう。
『シャクシャク......』
咀嚼音で思い出した。SNSでひたすらポテトチップスの咀嚼音を配信している輩がいたことを。至って単純な内容なのだが、どういうわけかこれが人気を集めて真似する者が後を絶たなかった。小気味のいい咀嚼音というのは、不思議と心地よいものなのかもしれない。
『コンッ!』
咀嚼音に聞き入っていると、咀嚼カラスは足元の何かを蹴飛ばしたようだ。そいつが蹴飛ばした何かが俺の頭上へと落ちてくる。俺は野球の野手の如く待ち構え、落ちてきた何かを受け止めた。よし、ナイスキャッチ!
俺は掌の何かを恐る恐る確かめる。万が一、これがカラスの糞だった日には目も当てられない。しかし、俺の心配に反してそれは金属製の何かのようだ。それは掌の感触で何となく分かる。
「......これは、5円玉?」
ここに来てようやくまともに見る現金だった。そうだよな、神社に参拝するならお賽銭は必須アイテム。俺は肝心なことを忘れていた。
『シャクシャク......』
なるほど、これはお前なりの餞別か。かたじけない。
ゆなの晴れ着姿を拝めないのは心残りだが、この鳥居をくぐって俺は生まれ変わるんだ。生まれ変わっても、俺はゆなのパパでいたい。
さぁ行こうか、あの世の入口へ。俺は腹を括って神社へ足を踏み入れた。......ところで、馬のモーセはどこにいるんだろうな?