商談68 本須賀の車窓から
ー/ー
身を刺すような寒さを耐え忍び、ようやく迎えのバスがやってきた。といっても、町営の循環バスだがな。
「う、うおぉぉっ!?」
扉が開くや否や、バス待ちの乗客たちは一斉に動き出した。俺はその流れに巻き込まれるような形で乗車することになった。おっと、IC乗車券はタッチしておかないとな。
車内は所狭しと乗客が乗り込んでおり、まさにすし詰め状態。だが、乗客は尚も車内へ流れ込んでくる。
『恐れ入りますが、次の便をご利用ください』
車掌はアナウンスによりそれを制すが、乗客達は一切耳を貸さない。いくらハイシーズンで増便されているとはいえ、都心の交通網に比べればその本数は限られている。乗客とて必死になるのは当然だろう。
『扉が閉まります。ご注意ください』
無情にもバスの扉は閉められてしまう。入り口の乗客は無理矢理乗車しようとしたが、それはあまりも危険だ。まぁ、急いていることだけは同情しよう。同乗者として。
乗客との攻防を制した車掌は淡々とバスを発車させる。彼らにとって、この光景は日常茶飯事なのかもしれないな。
すし詰め状態の中、俺は車窓を眺めていた。道路の両脇には白樺の林が広がっており、それらはいずれも雪化粧を纏っていた。時折見かける大手コンビニエンスストア等も、景観を損ねないように白樺に似た褐色の装いを呈している。
近年は街の景観を守るために自治体が条例を制定しているケースがあり、それはこのようなレジャー地や観光地で顕著だ。こういった取り組みは俺も推奨していきたい。
なお、須賀高原一帯は気温の低さから生育できる植物が限られている。そのため、竹や笹などの類は一切見かけない。それがまた日常と違った別世界の演出に一役買っている。
そういえばバスはさっきから各駅停車を繰り返しているが、こんなすし詰め状態の車内に乗り込む人間はそうそういない。バス停で待っていた乗客へ、車掌も心なしか申し訳なさげな表情を浮かべている。
「スキー場、まだかなぁ??」
来訪者と思われる乗客たちは、現地の交通問題など素知らぬ顔で語らいをしている。彼らは単にレジャーを満喫したいだけ、解決すべきは自治体にある。
『次、止まります』
そんなことを考えていたら、乗客達は一斉に停車ボタンへ手を伸ばしていた。これじゃあまるで早押しクイズじゃないか。
それにしても、彼らは一体何をそこまで急いているのだろうか?
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車内は所狭しと乗客が乗り込んでおり、まさにすし詰め状態。だが、乗客は尚も車内へ流れ込んでくる。
『恐れ入りますが、次の便をご利用ください』
車掌はアナウンスによりそれを制すが、乗客達は一切耳を貸さない。いくらハイシーズンで増便されているとはいえ、都心の交通網に比べればその本数は限られている。乗客とて必死になるのは当然だろう。
『扉が閉まります。ご注意ください』
無情にもバスの扉は閉められてしまう。入り口の乗客は無理矢理乗車しようとしたが、それはあまりも危険だ。まぁ、急いていることだけは同情しよう。同乗者として。
乗客との攻防を制した車掌は淡々とバスを発車させる。彼らにとって、この光景は日常茶飯事なのかもしれないな。
すし詰め状態の中、俺は車窓を眺めていた。道路の両脇には白樺の林が広がっており、それらはいずれも雪化粧を纏っていた。時折見かける大手コンビニエンスストア等も、景観を損ねないように白樺に似た褐色の装いを呈している。
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そういえばバスはさっきから各駅停車を繰り返しているが、こんなすし詰め状態の車内に乗り込む人間はそうそういない。バス停で待っていた乗客へ、車掌も心なしか申し訳なさげな表情を浮かべている。
「スキー場、まだかなぁ??」
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『次、止まります』
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それにしても、彼らは一体何をそこまで急いているのだろうか?