商談78 回想―火竜の逆鱗―
ー/ー
「ヤァァァッッッ!!!」
俺は闘志を滾らせ、竹刀を下段へ振り下ろして対馬へ突進。考えなんてない、もはや無心の突撃だった。
「......っ!!?」
鬼気迫る俺の突進に対馬は硬直。考えはないけれど、こんな所でむざむざと負ける俺ではない!! 下段に構えたまま、俺は無心で対馬の懐へ潜り込んだ!!
「鹿児島の火竜、とうとうヤケを起こしたか!?」
観衆はどよめいているが、正直ヤケだ。だが、対馬には思い知らせてやらねばなるまい。火竜には逆鱗があることを!!!
「テヤァァァッッッ!!!」
対馬の懐に潜り込んだ俺は、そのまま竹刀を力任せに振り上げた。だがこれが、一瞬だけ光明を生み出すことになる。
『パシッ!!』
振り上げた竹刀の剣先が対馬の手元を捉え、ヤツの竹刀を弾き飛ばした。奇しくも、対馬の三所隠しをこじ開ける形となったのである。
対馬の竹刀は宙を舞い、観衆は唖然としている。予期せぬ事態に対馬も止心を生じたに違いない。止心とは、読んで字のごとく心を止めること。一つの物事に心を奪われてしまい、俯瞰的に物事を見ることが出来なくなってしまう状態を意味する。裏を返せば、これは対馬へ一打を浴びせる千載一遇の機会ということだ。この機会、逃してなるものか!!!
「メェェェーーーンッッッ!!!」
俺は天に掲げた竹刀を、そのまま一気に対馬の面に向かって振り下ろす。ヤツも万事休すと悟ったのか、抵抗する様子もなく俺をまっすぐ見つめている。この一打が有効打突となれば、俺の首の皮も一枚繋がる。さぁ、あとはこの一打を決めるだけだ......!
『.......スッ――』
だが、俺の竹刀は対馬の面を掠めた。俺の手元が狂ったわけじゃない。打突を受ける寸前で対馬は見切り、俺の竹刀を首で避けたのだ。
『ポスッ!』
俺の竹刀は空を切り、対馬の肩口へと落ちていった。剣先は空しく対馬の面布団を叩く。対馬の目は死んでいたのでなく、冷静に挙動を見定めていたのだ。
『ビーーーッ!!!』
俺の打突を待ち侘びていたかのように、コート脇から試合終了のブザーが鳴り響く。飛燕は俺の猛攻から逃げ切った。
「止めっ!」
ブザーを聞いた主審が止めの宣告をかける。止心だったのは対馬ではなく俺の方だった。千載一遇の機会を逸したこと、実に痛恨......!
『ゴンッ......!』
試合終了の合図とともに対馬の竹刀は空中から舞い戻る。その剣先は、対馬の勝利を告げるように大地を突いた。
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「......っ!!?」
鬼気迫る俺の突進に対馬は硬直。考えはないけれど、こんな所でむざむざと負ける俺ではない!! 下段に構えたまま、俺は無心で対馬の懐へ潜り込んだ!!
「鹿児島の火竜、とうとうヤケを起こしたか!?」
観衆はどよめいているが、正直ヤケだ。だが、対馬には思い知らせてやらねばなるまい。火竜には逆鱗があることを!!!
「テヤァァァッッッ!!!」
対馬の懐に潜り込んだ俺は、そのまま竹刀を力任せに振り上げた。だがこれが、一瞬だけ光明を生み出すことになる。
『パシッ!!』
振り上げた竹刀の剣先が対馬の手元を捉え、ヤツの竹刀を弾き飛ばした。奇しくも、対馬の三所隠しをこじ開ける形となったのである。
対馬の竹刀は宙を舞い、観衆は唖然としている。予期せぬ事態に対馬も|止心《ししん》を生じたに違いない。止心とは、読んで字のごとく心を止めること。一つの物事に心を奪われてしまい、俯瞰的に物事を見ることが出来なくなってしまう状態を意味する。裏を返せば、これは対馬へ一打を浴びせる千載一遇の機会ということだ。この機会、逃してなるものか!!!
「メェェェーーーンッッッ!!!」
俺は天に掲げた竹刀を、そのまま一気に対馬の面に向かって振り下ろす。ヤツも万事休すと悟ったのか、抵抗する様子もなく俺をまっすぐ見つめている。この一打が有効打突となれば、俺の首の皮も一枚繋がる。さぁ、あとはこの一打を決めるだけだ......!
『.......スッ――』
だが、俺の竹刀は対馬の面を掠めた。俺の手元が狂ったわけじゃない。打突を受ける寸前で対馬は見切り、俺の竹刀を首で避けたのだ。
『ポスッ!』
俺の竹刀は空を切り、対馬の肩口へと落ちていった。剣先は空しく対馬の面布団を叩く。対馬の目は死んでいたのでなく、冷静に挙動を見定めていたのだ。
『ビーーーッ!!!』
俺の打突を待ち侘びていたかのように、コート脇から試合終了のブザーが鳴り響く。飛燕は俺の猛攻から逃げ切った。
「止めっ!」
ブザーを聞いた主審が止めの宣告をかける。止心だったのは対馬ではなく俺の方だった。千載一遇の機会を逸したこと、実に痛恨......!
『ゴンッ......!』
試合終了の合図とともに対馬の竹刀は空中から舞い戻る。その剣先は、対馬の勝利を告げるように大地を突いた。