商談57 翼が欲しい
ー/ー
水平線の彼方に石柱のようなものが見えているけど、きっと灯台か何かだろう。さて、願わくばGTよ来い!! 俺はドラグを緩めてトビウオを泳がせることにした。
それにしても、このトビウオはとても活きがいいな。魚でありながら、まるで海鳥のように海上を生き生きと飛んでいる。そんな意気揚々と飛んでいる姿を見ていると、俺も翼が欲しいと願ってしまう。富とか名誉とか、いっそのこと打ち捨ててもいいくらいだ。
飛行は太古からの続く人間の願望だ。飽くなき願望はやがて飛行機という形で実現したものの、それでも自力で飛行するという願望自体は未だに成就していない。
人間は長い歴史の中で英知を獲得しながら、未だに地面を這いずり回っている。生態系の頂点を自称しているけれど、それはあまりにも滑稽ではなかろうか?
多くの人間は、自力で飛行することに真の自由を抱き思い描いている。だが、それは実におこがましい願望なのかもしれない。イカロスの翼然り、人間が近付いてはいけない聖域がある。それはある意味で浪漫飛行だ。
俺が物思いに耽っていると、上空からトビウオ目掛けて何かが急降下してくるのが分かった。ヤバい、これは......っ!!!
『バシャ! バシャバシャッ!!』
......間一髪、どうにか俺はトビウオを回収した。眼前のナブラ目掛けて海鳥が一斉に急降下し、表層の小魚を狙い撃ちしていたんだ。周囲は次々と水飛沫が上がり、さながら空中から降り注ぐミサイルだ。
ナブラは海中だけでなく上空からも標的にされる。小魚達からすれば、まさに踏んだり蹴ったりの状況だ。こればかりは俺も小魚たちへ同情を禁じ得ない。
だが、かといってGTを見逃すわけにもいかない。千載一遇のチャンス、逃してなるものか!! 俺は再度トビウオをナブラ目掛けて投げ込んだ。
先程の海鳥たちが上空へ戻らないうちに、どうにかGTを捉えたいところ。この戦いは一刻を争うんだ。さぁGTよ、食い付くがいい!!
『シューッ!』
何の不幸だろうか、一つの影が俺のトビウオ目掛けて急降下してくるじゃないか! おそらく、先程の群れに乗り遅れた海鳥だろう。全く、どこの世界にも鈍臭いヤツがいるもんだ。
海鳥が迫っている手前、不本意ながら俺はトビウオを回収する。生餌が弱るので、本来ならばこういう操作はむやみに行いたくないんだがな。
俺がトビウオを回収する矢先、海中から別の影が急浮上してくるのが分かった。もしかして、これは......!?
『バシャーン!!!』
海上から轟音と共に水飛沫が上がり、トビウオは影に飲み込まれた。
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飛行は太古からの続く人間の願望だ。飽くなき願望はやがて飛行機という形で実現したものの、それでも自力で飛行するという願望自体は未だに成就していない。
人間は長い歴史の中で英知を獲得しながら、未だに地面を這いずり回っている。生態系の頂点を自称しているけれど、それはあまりにも滑稽ではなかろうか?
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俺が物思いに耽っていると、上空からトビウオ目掛けて何かが急降下してくるのが分かった。ヤバい、これは......っ!!!
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だが、かといってGTを見逃すわけにもいかない。千載一遇のチャンス、逃してなるものか!! 俺は再度トビウオをナブラ目掛けて投げ込んだ。
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『シューッ!』
何の不幸だろうか、一つの影が俺のトビウオ目掛けて急降下してくるじゃないか! おそらく、先程の群れに乗り遅れた海鳥だろう。全く、どこの世界にも鈍臭いヤツがいるもんだ。
海鳥が迫っている手前、不本意ながら俺はトビウオを回収する。生餌が弱るので、本来ならばこういう操作はむやみに行いたくないんだがな。
俺がトビウオを回収する矢先、海中から別の影が急浮上してくるのが分かった。もしかして、これは......!?
『バシャーン!!!』
海上から轟音と共に水飛沫が上がり、トビウオは影に飲み込まれた。