商談63 豊臣皇国の商魂
ー/ー
影華は金髪を潮風に靡かせながら去って行った。不思議なことに、彼女の影は忽然と消えた。やっぱり忍者ってすごいなぁ!
「そないなとこでボケっと突っ立って、どないしたん?」
俺が忍者に思いを馳せていると、どこからともなくヨーコちゃんが現れた。傍から見れば、俺は鳩に豆鉄砲を食ったような顔をしていたに違いない。神出鬼没というのはこういう時に使う言葉と言えよう。
「幸せの砂もがっぽがっぽや! とっととつらかろか!」
ヨーコちゃんは麻袋へぎっしり詰め込んだそれをトランクへ押しやる。幸せの砂......そうだ、秋子が探してたやつじゃないか!!
「すまない、ちょっと見せてくれ!!」
俺は思わず麻袋を手に取る。幸せの砂がどんなものか、俺は確かめずにはいられなかった。だが、見た限りでは粒の不揃いな白砂のようだった。
「幸せの砂に興味あるんか? 旦那、通やなぁ!」
俺の食いつきぶりを見たヨーコちゃんはしたり顔。けれど、こんなゴミみたいなものが売れると思っているのか!? さすがに俺は秋子の目を疑った。
「せやなぁ......グラムあたり136円くらいやろか?」
この国で言う円とは豊臣円を指す。日本円よりも1割くらい貨幣価値が高く、我が国では約150円に相当する。俺の記憶する限りだが、グラム当たり150円は下手な貴金属よりも高価な気がする。こんなものに金を出す人間がいるとは到底信じられない。いや、今の言葉は取り消しておこう。
「ほほぅ? ほんなら取引や。即決なら1割負けたる! いや2割! 今が買いやでぇ?」
俺は脳内で電卓を叩く。2割引きなら一見買いかも知れない、だが俺とて商売人。ここはもう一声欲しいところだ。
「しゃあないなぁ......ほな3割引きでどやっ!?」
来た来たっ! グラム当たり105円なら上出来だろう。俺は即決で一括購入を決めた。
「毎度ありっ!」
ヨーコちゃんは口先でそう言うが、どういうわけか彼女は子猫のような上目遣いで俺を見つめている。彼女の吸い込まれるような瞳で見つめられた俺は、意図せぬ言葉を口にしてしまった。
「......値切った分はご祝儀で!」
それはある意味で誘導尋問。せっかく仕入れ価格を値切ったのに、これじゃあまるで「酉の市」じゃないか!!
「旦那、ご祝儀だなんて粋やねぇ!」
駆け引きに勝ったヨーコちゃんはご満悦。商売は単なる商取引に非ず。こういった言葉のやり取りも重要な駆け引きの要素だ。俺はそれを重々承知していたはずなのに、最後の一押しで競り負けた。
豊臣皇国の商魂、恐るべし。
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俺が忍者に思いを馳せていると、どこからともなくヨーコちゃんが現れた。傍から見れば、俺は鳩に豆鉄砲を食ったような顔をしていたに違いない。神出鬼没というのはこういう時に使う言葉と言えよう。
「幸せの砂もがっぽがっぽや! とっととつらかろか!」
ヨーコちゃんは麻袋へぎっしり詰め込んだそれをトランクへ押しやる。幸せの砂......そうだ、秋子が探してたやつじゃないか!!
「すまない、ちょっと見せてくれ!!」
俺は思わず麻袋を手に取る。幸せの砂がどんなものか、俺は確かめずにはいられなかった。だが、見た限りでは粒の不揃いな白砂のようだった。
「幸せの砂に興味あるんか? 旦那、通やなぁ!」
俺の食いつきぶりを見たヨーコちゃんはしたり顔。けれど、こんなゴミみたいなものが売れると思っているのか!? さすがに俺は秋子の目を疑った。
「せやなぁ......グラムあたり136円くらいやろか?」
この国で言う円とは豊臣円を指す。日本円よりも1割くらい貨幣価値が高く、我が国では約150円に相当する。俺の記憶する限りだが、グラム当たり150円は下手な貴金属よりも高価な気がする。こんなものに金を出す人間がいるとは到底信じられない。いや、今の言葉は取り消しておこう。
「ほほぅ? ほんなら取引や。即決なら1割負けたる! いや2割! 今が買いやでぇ?」
俺は脳内で電卓を叩く。2割引きなら一見買いかも知れない、だが俺とて商売人。ここはもう一声欲しいところだ。
「しゃあないなぁ......ほな3割引きでどやっ!?」
来た来たっ! グラム当たり105円なら上出来だろう。俺は即決で一括購入を決めた。
「毎度ありっ!」
ヨーコちゃんは口先でそう言うが、どういうわけか彼女は子猫のような上目遣いで俺を見つめている。彼女の吸い込まれるような瞳で見つめられた俺は、意図せぬ言葉を口にしてしまった。
「......値切った分はご祝儀で!」
それはある意味で誘導尋問。せっかく仕入れ価格を値切ったのに、これじゃあまるで「酉の市」じゃないか!!
「旦那、ご祝儀だなんて粋やねぇ!」
駆け引きに勝ったヨーコちゃんはご満悦。商売は単なる商取引に非ず。こういった言葉のやり取りも重要な駆け引きの要素だ。俺はそれを重々承知していたはずなのに、最後の一押しで競り負けた。
豊臣皇国の商魂、恐るべし。