商談26 やんちゃなおっさん
ー/ー
時間空費による両反則で俺達は鬼気迫る状況。残り時間を鑑みるに、これ以上の一本はおろか反則さえも許されない。ここは今一度、気を引き締めていかねば。
焦燥から島津は必要以上に攻め入ってくる。いくら残り時間が迫っているとはいえ、焦りは禁物だ。彼が必要以上に焦るのは、学生時代から培ってきた短期決戦という戦法にある。
剣道の団体戦は先鋒・次鋒・中堅・副将・大将という順番で対戦していく。島津は先鋒に指名されることが多く、言うなれば切り込み隊長。勝っても負けても、限られた時間の中で大暴れするポジションだ。そのため長期戦には不向きと言える。
一方、俺は上段ということもあり専ら大将に指名されていた。先鋒と違い、このポジションはチームの命運を左右する大勝負が回ってくることも多い。そのため、戦況に左右されず威風堂々とした佇まいが求められる。
......何が言いたいかって? 短気な島津のことだ、おそらく延長戦に持ち込ませたくないのだろう。万が一そうなれば、スタミナのある俺が優勢になるからだ。俺達の対戦は手数に非ず、いかに自分の戦法に嵌めるかということにある。どの世界の勝負事にもいえるが、自分のペースに相手を引きずり込むこと。それが勝利の法則だ。
「コテェェェッッッ!!!」
やや無理のある遠間から、島津は俺の左小手を狙ってくる。お前は相当焦っているな? ......甘いぞ島津!!
「メェェェーーーンッッッ!!!」
俺はすかさず両腕を振り上げて島津の攻撃を躱し、即座にその腕を振り下ろして反撃する。いわゆる小手抜き面というやつだ。だが、これは島津が間合いを詰めてきたことで不発。さすが竜殺し、一筋縄ではいかないか。
「ドンッ!!」
島津が間合いを詰めてきたことはいいが、ヤツの体当たりが凄まじい。あまりの衝撃に俺は内臓が飛び出るかと思った。お前、俺を殺す気かっ!!
「止め!」
互いが接近しすぎたため、勢い余ってもつれ込むようにして転倒した。ここまで激しい戦いは学生の時以来だ。あとで筋肉痛も懸念される。
「始め!」
規定の試合時間5分がそこまで迫っている。このまま勝負が決しなければ3分ごとの延長戦。竜殺しは並々ならぬ殺気を纏い、是が非でも火竜を打ち取ろうとする。だが、俺とて武洲館の顔だった男。そう易々と負ける訳にはいかないっ!
「メェーーーンッ!」
......クソッ、近間に入られた! またしても俺の一撃は不発。だが、島津の戦意はまだ死んでいない。ヤツは俺の攻撃を竹刀で防御し反撃しようとしている。......ヤバいっ!!!
「ドォォォーーーッッッ!!!」
俺はすかさず体を半身に返し、島津へ体当たりで突っ込む。島津は体勢を崩したことで返し胴は不発。これ、傍から見たら喧嘩に見えないか??
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一方、俺は上段ということもあり専ら大将に指名されていた。先鋒と違い、このポジションはチームの命運を左右する大勝負が回ってくることも多い。そのため、戦況に左右されず威風堂々とした佇まいが求められる。
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「コテェェェッッッ!!!」
やや無理のある遠間から、島津は俺の左小手を狙ってくる。お前は相当焦っているな? ......甘いぞ島津!!
「メェェェーーーンッッッ!!!」
俺はすかさず両腕を振り上げて島津の攻撃を躱し、即座にその腕を振り下ろして反撃する。いわゆる小手抜き面というやつだ。だが、これは島津が間合いを詰めてきたことで不発。さすが竜殺し、一筋縄ではいかないか。
「ドンッ!!」
島津が間合いを詰めてきたことはいいが、ヤツの体当たりが凄まじい。あまりの衝撃に俺は内臓が飛び出るかと思った。お前、俺を殺す気かっ!!
「止め!」
互いが接近しすぎたため、勢い余ってもつれ込むようにして転倒した。ここまで激しい戦いは学生の時以来だ。あとで筋肉痛も懸念される。
「始め!」
規定の試合時間5分がそこまで迫っている。このまま勝負が決しなければ3分ごとの延長戦。竜殺しは並々ならぬ殺気を纏い、是が非でも火竜を打ち取ろうとする。だが、俺とて武洲館の顔だった男。そう易々と負ける訳にはいかないっ!
「メェーーーンッ!」
......クソッ、近間に入られた! またしても俺の一撃は不発。だが、島津の戦意はまだ死んでいない。ヤツは俺の攻撃を竹刀で防御し反撃しようとしている。......ヤバいっ!!!
「ドォォォーーーッッッ!!!」
俺はすかさず体を半身に返し、島津へ体当たりで突っ込む。島津は体勢を崩したことで返し胴は不発。これ、傍から見たら喧嘩に見えないか??