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商談15 ぬまふくろう

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さて、ええやん咖喱はどこにあったっけか? 大都会東京は、数年ごとにその様相を変える。数多の建物が生まれては消えていく、それはさながら『諸行無常の響き』といったところ。この街の歴史を知るのは、東口前に佇む『ぬまふくろう』の石像だけだ。
 しかしこのぬまふくろう、一体いつからここにいるのだろうか? 俺はぬまふくろうの足元を見てみる。
「昭和4年、世界恐慌か......」
 何ということだろう。このフクロウ、この街の歴史どころか世界の動乱を見つめてきた大先輩じゃないか! これには思わず敬服してしまう。そんな彼は、現代日本をどのように思っているのだろうか?
 そういえば、秋子は昔からフクロウが好きらしい。交際当時、彼女のバッグにはフクロウのマスコットがぶら下げられていた。彼女いわく、『フクロウはいつでも私を見守ってくれているから』だそうだ。
 しかし、良く考えてみろ。フクロウは夜行性、つまり昼は寝ているのだ。四六時中誰かを見守るのはせいぜいお地蔵様くらいだろう。あれは閻魔大王の化身だから、それくらいのことは容易いはずだ。
 というより、ぬまふくろう前を待ち合わせ場所にしなかったのはなぜだ? これだけ存在感のあるシンボルが他にあるだろうか? 俺としても、ぬまふくろう先輩の顔を立てて欲しいものだ。
 けれど、ぼやいていても仕方ない。ここは黙ってええやん咖喱を探すしかあるまい。まずは、沼袋東口第一商店街のゲートへ向かおう。
 それは東口改札からほどなくして見つかった。この辺りはいくつもの商店街がひしめき合っていて、一見では到底目的地へ辿り着けない。数年ぶりにここへ来る俺ですら若干迷うほどだ。
 商店街のゲートをくぐると、数多くの商店が軒を連ねる。この中から、待ち合わせ場所となっている目的地を探す。
「確か、この商店街の奥だったな」
 俺の記憶が確かなら、ええやん咖喱は商店街の最奥を目指さねばならない。この通りは飲食店も数多く、焼き鳥などの屋台が俺を誘惑する。
「ここは耐えろ、俺!」
 俺は飲食店の誘惑にもめげず、待ち合わせ場所をただ一心に目指す。耐え難きを耐えるんだ俺!!
 そんな数々の誘惑を耐え抜いた先に、俺の友人が遠くから手を振っている。俺も彼に対して手を振って応じる。
入間(いりま)、久しぶり!」
 彼が俺の友人、島津竜朔(りゅうさく)だ。


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さて、ええやん咖喱はどこにあったっけか? 大都会東京は、数年ごとにその様相を変える。数多の建物が生まれては消えていく、それはさながら『諸行無常の響き』といったところ。この街の歴史を知るのは、東口前に佇む『ぬまふくろう』の石像だけだ。
 しかしこのぬまふくろう、一体いつからここにいるのだろうか? 俺はぬまふくろうの足元を見てみる。
「昭和4年、世界恐慌か......」
 何ということだろう。このフクロウ、この街の歴史どころか世界の動乱を見つめてきた大先輩じゃないか! これには思わず敬服してしまう。そんな彼は、現代日本をどのように思っているのだろうか?
 そういえば、秋子は昔からフクロウが好きらしい。交際当時、彼女のバッグにはフクロウのマスコットがぶら下げられていた。彼女いわく、『フクロウはいつでも私を見守ってくれているから』だそうだ。
 しかし、良く考えてみろ。フクロウは夜行性、つまり昼は寝ているのだ。四六時中誰かを見守るのはせいぜいお地蔵様くらいだろう。あれは閻魔大王の化身だから、それくらいのことは容易いはずだ。
 というより、ぬまふくろう前を待ち合わせ場所にしなかったのはなぜだ? これだけ存在感のあるシンボルが他にあるだろうか? 俺としても、ぬまふくろう先輩の顔を立てて欲しいものだ。
 けれど、ぼやいていても仕方ない。ここは黙ってええやん咖喱を探すしかあるまい。まずは、沼袋東口第一商店街のゲートへ向かおう。
 それは東口改札からほどなくして見つかった。この辺りはいくつもの商店街がひしめき合っていて、一見では到底目的地へ辿り着けない。数年ぶりにここへ来る俺ですら若干迷うほどだ。
 商店街のゲートをくぐると、数多くの商店が軒を連ねる。この中から、待ち合わせ場所となっている目的地を探す。
「確か、この商店街の奥だったな」
 俺の記憶が確かなら、ええやん咖喱は商店街の最奥を目指さねばならない。この通りは飲食店も数多く、焼き鳥などの屋台が俺を誘惑する。
「ここは耐えろ、俺!」
 俺は飲食店の誘惑にもめげず、待ち合わせ場所をただ一心に目指す。耐え難きを耐えるんだ俺!!
 そんな数々の誘惑を耐え抜いた先に、俺の友人が遠くから手を振っている。俺も彼に対して手を振って応じる。
「|入間《いりま》、久しぶり!」
 彼が俺の友人、島津|竜朔《りゅうさく》だ。