商談47 帰って来たおっさん
ー/ー
「――かりしろ! おい、大丈夫か!?」
次に意識を取り戻した時、俺はアスファルトに横たわっていた。顔面を強打したのか額がズキズキと痛い。
「良かった! 意識はあるみたいだ!!」
通りかかったサラリーマンだろうか、目を開いた俺を見て彼は安堵した様子。おかしいな……俺はさっきまで対馬を追いかけていたはずなんだが?
『ピーポーパーポー』
遠くから救急車のやってくる音が聞こえる。一体誰を搬送するのか......って、俺しかいないか。救急車が到着するなり俺は担架で運ばれた。強い衝撃を受けたのだろうか、俺の体がいうことを聞かない。参ったなぁ......。
「詳しい話は署で聞こうか」
救急車の影になっているが、その傍らで複数の警察官が女を取り囲んでいた。第一印象から中年OLのように見受けられる。女の顔は俯いているようだが、一体何をしたというのだろうか。そんなことを考えているうちに俺の意識は再びこと切れた。
――再び俺が目覚めた時には病院にいた。後から聞かされた話だが、俺は沼袋で歩道を歩いていたところ、何者かに背後から車道へ突き飛ばされた挙句に通りかかったトラックへ衝突したそうだ。その際に全身を打撲してしまったが軽傷で済んだ。これは不幸中の幸い。
それと、俺の脳裏にはかすかに沼袋以外の記憶もあるのだが、今一つ判然としない。はて、枝豆を枝ごと持ち歩いていた記憶は何だろうなぁ?
『次のニュースです。昨日、沼袋周辺に出没していた通り魔事件の容疑者が逮捕されました。容疑者は近隣施設の会社員・金久保友恵43歳。女は『仕事のストレスからむしゃくしゃしてやった』と語っており、警察は余罪についても追及する方針です』
テレビでは通り魔事件の容疑者逮捕について報道されていた。気のせいだろうか? 容疑者の名前、どこかで聞いたことあるような気もするが......ダメだ思い出せない。衝突による記憶の喪失か、はたまた歳のせいか。どちらにしても思い出すのは困難だ。
一時期はゆなとの別れを覚悟したような気もするが、何はともあれ俺はまだまだゆなのパパでいられるようだ。人間、生きてるだけで丸儲けだ。
古今東西、多くの人々が行き交い生を謳歌する街・沼袋。それと、俺の頭の片隅にあるのは死に近い森......さて、どこだったけか?
生と死は常に隣り合わせ。そして、人間誰しも人生はたった一度きり。とにかく、今ある生を思う存分満喫しようじゃないか!
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「良かった! 意識はあるみたいだ!!」
通りかかったサラリーマンだろうか、目を開いた俺を見て彼は安堵した様子。おかしいな……俺はさっきまで対馬を追いかけていたはずなんだが?
『ピーポーパーポー』
遠くから救急車のやってくる音が聞こえる。一体誰を搬送するのか......って、俺しかいないか。救急車が到着するなり俺は担架で運ばれた。強い衝撃を受けたのだろうか、俺の体がいうことを聞かない。参ったなぁ......。
「詳しい話は署で聞こうか」
救急車の影になっているが、その傍らで複数の警察官が女を取り囲んでいた。第一印象から中年OLのように見受けられる。女の顔は俯いているようだが、一体何をしたというのだろうか。そんなことを考えているうちに俺の意識は再びこと切れた。
――再び俺が目覚めた時には病院にいた。後から聞かされた話だが、俺は沼袋で歩道を歩いていたところ、何者かに背後から車道へ突き飛ばされた挙句に通りかかったトラックへ衝突したそうだ。その際に全身を打撲してしまったが軽傷で済んだ。これは不幸中の幸い。
それと、俺の脳裏にはかすかに沼袋以外の記憶もあるのだが、今一つ判然としない。はて、枝豆を枝ごと持ち歩いていた記憶は何だろうなぁ?
『次のニュースです。昨日、沼袋周辺に出没していた通り魔事件の容疑者が逮捕されました。容疑者は近隣施設の会社員・金久保友恵43歳。女は『仕事のストレスからむしゃくしゃしてやった』と語っており、警察は余罪についても追及する方針です』
テレビでは通り魔事件の容疑者逮捕について報道されていた。気のせいだろうか? 容疑者の名前、どこかで聞いたことあるような気もするが......ダメだ思い出せない。衝突による記憶の喪失か、はたまた歳のせいか。どちらにしても思い出すのは困難だ。
一時期はゆなとの別れを覚悟したような気もするが、何はともあれ俺はまだまだゆなのパパでいられるようだ。人間、生きてるだけで丸儲けだ。
古今東西、多くの人々が行き交い生を謳歌する街・沼袋。それと、俺の頭の片隅にあるのは死に近い森......さて、どこだったけか?
生と死は常に隣り合わせ。そして、人間誰しも人生はたった一度きり。とにかく、今ある生を思う存分満喫しようじゃないか!