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商談51 魚はFishmarket

ー/ー



切り捨てご婦人らと別れた俺は、ヨーコちゃんの案内で彼女の営む魚屋へ向かう。何と言うか、ヨーロッパ人特有の精悍な顔でヨーコちゃんってのはどうも馴染まない。そもそも、現代の日本で○○子とか○○美って聞かなくなってきてるけどな。
「ここ! ウチの店や!!」
 ヨーコちゃんは自慢げに自身の店を指差している。そこは立派な瓦屋根の建物で『小野水産』という屋号が誇らしげに掲げられている。店内には多くの鮮魚が生け()に所狭しと陳列されている。店は盛況らしく、客層は個人から仕入れ業者まで多岐に亘る。その様相はかつての都築(つづき)市場を彷彿とさせる。
「ジョン、帰ったでぇ!!」
 ヨーコさんが手を振る先に男の姿があった。接客を終えた彼はこちらへやって来た。
「おぉ、Foreignerとは珍しい。毎度おおきに! もうかりまっか?」
 どうやら、こてこての関西弁で話すこの男がジョンなる人物らしい。そのヨーロッパ風の名前に反し、見てくれは完全に日本人の頑固親父。捻じり鉢巻きに『小野水産』の前掛けが良く似合う。
「ぼちぼちでんな!」
 俺はここでも即興で関西弁っぽい返しを披露する。ジョンがニヤリとしたあたり、この返しで正解のようだ。しかしながら、見てくれ日本人で日本語を話す彼に外国人扱いされている感じがするのは気のせいだろうか?
「ジョン、この方はGTのこと知りたいんやって!」
 ヨーコちゃんが事情を知らない彼に口を挟む。そうなると、このご婦人は『小野ヨーコ』なんだろうな。名前だけなら完全に日本人だと誤解してしまう。
「GT? Dragoncrystalがどないしたん??」
 同じボケをどこかで聞いた気がする。豊臣皇国って、そんなにドラゴンクリスタルが人気なのか? というより、さっきから感じるこの違和感の正体は何だろうか......。
「ドラゴンクリスタルちゃうねん! 魚の方や!!」
 ヨーコちゃんは即座にツッコミを入れる。ヨーコちゃん、ツッコミを入れる間が絶妙で危うく笑いを吹き出すところだったじゃないか!
「何や、Giant Trevallyのことかいな?」
 ジョン、見てくれ日本人の割にえらく饒舌な英単語を口にするじゃないか。すまない、あまりに発音がネイティブすぎてうまく聞き取れなかった。
「ソーリー、パーダンミー?」
 俺は聞きかじりの英語でどうにか聞き返す。日本語が通じると思って油断していたが、ここは仮にも外国。いつ何時聞き慣れない外国語に遭遇するやもしれない。ここは油断禁物!
「下手なEnglishは話さん方がええ。ボロが出てまうで?」
 この男、中途半端に英語が饒舌だから腹立つ!


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切り捨てご婦人らと別れた俺は、ヨーコちゃんの案内で彼女の営む魚屋へ向かう。何と言うか、ヨーロッパ人特有の精悍な顔でヨーコちゃんってのはどうも馴染まない。そもそも、現代の日本で○○子とか○○美って聞かなくなってきてるけどな。
「ここ! ウチの店や!!」
 ヨーコちゃんは自慢げに自身の店を指差している。そこは立派な瓦屋根の建物で『小野水産』という屋号が誇らしげに掲げられている。店内には多くの鮮魚が生け|簀《す》に所狭しと陳列されている。店は盛況らしく、客層は個人から仕入れ業者まで多岐に亘る。その様相はかつての|都築《つづき》市場を彷彿とさせる。
「ジョン、帰ったでぇ!!」
 ヨーコさんが手を振る先に男の姿があった。接客を終えた彼はこちらへやって来た。
「おぉ、Foreignerとは珍しい。毎度おおきに! もうかりまっか?」
 どうやら、こてこての関西弁で話すこの男がジョンなる人物らしい。そのヨーロッパ風の名前に反し、見てくれは完全に日本人の頑固親父。捻じり鉢巻きに『小野水産』の前掛けが良く似合う。
「ぼちぼちでんな!」
 俺はここでも即興で関西弁っぽい返しを披露する。ジョンがニヤリとしたあたり、この返しで正解のようだ。しかしながら、見てくれ日本人で日本語を話す彼に外国人扱いされている感じがするのは気のせいだろうか?
「ジョン、この方はGTのこと知りたいんやって!」
 ヨーコちゃんが事情を知らない彼に口を挟む。そうなると、このご婦人は『小野ヨーコ』なんだろうな。名前だけなら完全に日本人だと誤解してしまう。
「GT? Dragoncrystalがどないしたん??」
 同じボケをどこかで聞いた気がする。豊臣皇国って、そんなにドラゴンクリスタルが人気なのか? というより、さっきから感じるこの違和感の正体は何だろうか......。
「ドラゴンクリスタルちゃうねん! 魚の方や!!」
 ヨーコちゃんは即座にツッコミを入れる。ヨーコちゃん、ツッコミを入れる間が絶妙で危うく笑いを吹き出すところだったじゃないか!
「何や、Giant Trevallyのことかいな?」
 ジョン、見てくれ日本人の割にえらく饒舌な英単語を口にするじゃないか。すまない、あまりに発音がネイティブすぎてうまく聞き取れなかった。
「ソーリー、パーダンミー?」
 俺は聞きかじりの英語でどうにか聞き返す。日本語が通じると思って油断していたが、ここは仮にも外国。いつ何時聞き慣れない外国語に遭遇するやもしれない。ここは油断禁物!
「下手なEnglishは話さん方がええ。ボロが出てまうで?」
 この男、中途半端に英語が饒舌だから腹立つ!