その後、親父の葬式はしめやかに執り行われた。喪主である俺の意向で、参列は近親者のみ。
会社関係者からは参列希望の声が多かったものの、後日お別れ会を開催するという形で手を打ってもらうことにした。親父の本心は分かりかねるが、少なくとも俺はこの場に外野を入れたくなかった。
当然、ここにいるのは俺と叔父さんの家族、あとは疎遠になっている親族くらい。正直、俺はあまり面識がないけれど、叔父さんは少なからず面識があるのだろうか。
葬式には秋子とゆなも参列している。年齢的にゆなの参列は少々悩んだが、教育の一環として秋子がわざわざ羽馴島から連れて来た。
ゆなは慣れない雰囲気に困惑しているのか、周りをキョロキョロ見回している。顔もまともに知らない親族ばかりだから、尚更だろうな。
叔父さんの甥っ子達も、今や凛々しい成人となっていた。彼らが未就学児だった頃を思うと、時の流れをひしひしと感じてしまう。
その他、俺が顔も見知らぬ親族の面々。思うところは特に無い。
さて、そろそろ式が始まる頃だ。最後の親孝行、全身全霊で行くぞっ!
ーー
喪主の挨拶、とんでもなく緊張したぞ。会食の席だというのに、俺は未だに緊張が解けない。
親父、挨拶はあんな感じで良かったか? 俺は内心親父に問うが、返答などあるわけもない。
「ゆな、無理して全部食べなくてもいいからね?」
秋子は、ゆなを気遣いながらも淡々と膳を食べ進める。当のゆなは雰囲気の問題なのか、あまり箸が進んでいないように思う。
葬式における会食は本来、故人の思い出を語る場所であるもの。だが、面識の乏しい親族が大半では静寂が漂うのも無理はない。
「冬樹、挨拶がガチガチだったぞぉ?」
そんな静寂など素知らぬ顔で、叔父さんは俺の肩をポンと叩いた。叔父さんの顔、どことなく赤らんでいる気がする。
「叔父さん、お酒は程々にしておきなよ?」
俺は飲兵衛な叔父さんを諌める。後で甥っ子達から聞いたが、どうやら叔父さんは酒の飲み過ぎで肝臓を悪くしているそうだ。
けれど、長年の習慣はなかなか変えられないものだ。三つ子の魂百まで……いや、三つ子は酒なんて飲まないか。
「そうそう、こんな時に難だが……入間ホールディング次期社長の件、お前はどうする?」
叔父さん、その話はこの場に似つかわしくない。だが、俺はこの問いに対する答えを既に用意している。
もちろん、答えは決まっているさーー。