商談39 某の背中
ー/ー
俺は馬面を拝むべく馬の歩道を邁進する。さぁて、馬のモーセはどこにいるんだぁ??
意気揚々と進んでいると、目の前に現れたのは巨大な滝だった。水源は頭の遥か上で、それはまるで天空から落ちてきているようだ。その落差もあってか周辺は水しぶきで景色が霞んでしまっており、加えて滝壺からは轟音が響いている。要するに、目と耳がまともに利かない状況というわけだ。
五感のうち2つが機能しない状況下を進むのは、今までに経験したことのない体験だ。もしかしたら、馬の歩道は本当に現世ではないどこか別の世界なのかもしれない。
「......ん? 誰だ?」
手探りも同然の中で、某の背中が見え隠れしている。俺の前を誰かが歩いているのだろうか?
「おぉーい! 聞こえるかぁ!?」
俺はそいつを大声で呼んでみるが、滝壺の轟音に遮られてその声は届かない。某は俺に気付かぬまま姿を晦ましてしまった。
気のせいかもしれないが、俺はあいつの背中に覚えがある。けれど、だとしたらそれは妙だ。だって、あいつはすでに――。
いや、あいつがいるってことはつまりだな......俺があいつのいる世界に来たってことじゃないか!? 疑心暗鬼となった俺は掌で額を確かめる。良かった、額に三角の布は着いていない! それに足もまだ付いてる!! いや、さっきの釣りで足を踏ん張ってたからそれは知ってたけどな??
それならば、なおさらあいつの背中を見たことが謎を深める。これは摩訶不思議なアドベンチャーの予感がする。俺、ワクワクしてきた!!
俺が歩道を邁進しているうちに滝を抜けた。景色は澄み渡り、滝壺の轟音も遠くなっていた。そこには巨大な石碑があり、何やら小難しい書体で解説らしき内容が記されている。全文は理解できなかったが、どうやらここは馬野古道というらしい。そうか、ここは馬の歩道じゃなかったのか。
「何々......『和歌山県の名勝たる勝浦の滝――』え? 和歌山県??」
石碑の文中には和歌山県という文字が垣間見える。え? 俺はいつの間に和歌山県へ来たんだ!? あいつのいる世界ではなく和歌山県? ますます意味が分からないぞ??
「『――馬野古道の最果ては馬野大社へ続く』......馬野大社?」
よく分からないが、きっとそこに馬のモーセがいるのだろう。それに、あいつの目的地も俺と同じはず。よし! ここは全速前進だ!!
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意気揚々と進んでいると、目の前に現れたのは巨大な滝だった。水源は頭の遥か上で、それはまるで天空から落ちてきているようだ。その落差もあってか周辺は水しぶきで景色が霞んでしまっており、加えて滝壺からは轟音が響いている。要するに、目と耳がまともに利かない状況というわけだ。
五感のうち2つが機能しない状況下を進むのは、今までに経験したことのない体験だ。もしかしたら、馬の歩道は本当に現世ではないどこか別の世界なのかもしれない。
「......ん? 誰だ?」
手探りも同然の中で、某の背中が見え隠れしている。俺の前を誰かが歩いているのだろうか?
「おぉーい! 聞こえるかぁ!?」
俺はそいつを大声で呼んでみるが、滝壺の轟音に遮られてその声は届かない。某は俺に気付かぬまま姿を晦ましてしまった。
気のせいかもしれないが、俺はあいつの背中に覚えがある。けれど、だとしたらそれは妙だ。だって、あいつはすでに――。
いや、あいつがいるってことはつまりだな......俺があいつのいる世界に来たってことじゃないか!? 疑心暗鬼となった俺は掌で額を確かめる。良かった、額に三角の布は着いていない! それに足もまだ付いてる!! いや、さっきの釣りで足を踏ん張ってたからそれは知ってたけどな??
それならば、なおさらあいつの背中を見たことが謎を深める。これは摩訶不思議なアドベンチャーの予感がする。俺、ワクワクしてきた!!
俺が歩道を邁進しているうちに滝を抜けた。景色は澄み渡り、滝壺の轟音も遠くなっていた。そこには巨大な石碑があり、何やら小難しい書体で解説らしき内容が記されている。全文は理解できなかったが、どうやらここは|馬野古道《うまのこどう》というらしい。そうか、ここは馬の歩道じゃなかったのか。
「何々......『和歌山県の名勝たる勝浦の滝――』え? 和歌山県??」
石碑の文中には和歌山県という文字が垣間見える。え? 俺はいつの間に和歌山県へ来たんだ!? あいつのいる世界ではなく和歌山県? ますます意味が分からないぞ??
「『――馬野古道の最果ては馬野大社へ続く』......馬野大社?」
よく分からないが、きっとそこに馬のモーセがいるのだろう。それに、あいつの目的地も俺と同じはず。よし! ここは全速前進だ!!