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商談49 ノリとツッコミだ豊臣人!

ー/ー



さて、まずはGTの情報収集から始めるとするか。何せ『釣らねば戦は出来ぬ』って(ことわざ)もあるくらいだしな? 秋子の依頼? そんなの後回しだ。
 実を言うと、俺もGTが何なのかあまり分かっていない。とりあえず、魚屋だったら何か情報が得られるかもしれない。とにかく近隣を散策しよう。
 俺が訪れているのは首都である豊臣藩淀。建造物は石材や煉瓦(れんが)を基にしたものが多く見受けられ、足元も石畳が敷き詰められている。その割に屋根は瓦を使っているので、和洋折衷の異空間が広がっている。
 商店街は団子屋に傘屋・質屋に湯屋、何だか江戸時代の日本に似ている気がする。もしかしたら、居心地はハワイよりも良いかも知れないな?
「毎度おおきに!」
 店先から聞こえてくるのは活気ある店主の声。そういえば、この国の日本語は関西弁に似ている気がするぞ?
「――んな阿保な!」
 道端には楽しげに会話するご婦人たちの集い。紫に染めたパーマヘアにヒョウ柄の服、それに......。
「うぅ~~やられたぁ!」
 ご婦人仲間が『切り捨て御免!』と叫びながら刀で斬りかかる動作をした。間違いない! あれは典型的な大阪のおばちゃんじゃないか!
「あらぁ、外国人の方? ええ女、ここにおりますさかい」
 そのやりとりに見入っていたら、切り捨てご婦人に話しかけられた。アフリカ系を思わせる顔立ちの人物に、日本語で外国人扱いされるのは何だか違和感がある。えぇと......こういう時、何て言えばいいんだ? 確か、関西人はノリが大事なんだよな。てことは......。
別嬪(べっぴん)さん、別嬪さん......1人飛ばして別嬪さん!」
 俺は昔見たお笑い番組の記憶を思い起こした。おそらくこれが最適解だろう。
「何でやねん! 自分、むっちゃおもろいわぁ!!」
 返しは成功。どうやら豊臣人はノリとツッコミが大事みたいだ。
「毎度おおきに! ところで自分、GT知っとるか?」
 俺は即興ながらもそれっぽい関西弁で話を進める。本場の関西人には怒られるかもしれないが、今は許してくれ。
「GT? 知らんがな! アハハハッ!」
 切り捨てご婦人は知らない様子。彼女が婦人仲間にGTを訪ねてみると、ヨーロッパ系の顔立ちをしたご婦人が手を上げた。
「GT......? ウチ、聞き覚えあるさかい! えぇっと、何やったかなぁ......?」
 ヨーロッパ婦人、どうやら心当たりがあるみたいだ。Tシャツに『待』って書いているけど、どうか思い出してほしい!
「日本の漫画のことちゃうか!?」
 素顔を隠したアラブ系と思われるご婦人、おそらくそれは『ドラゴンクリスタルGT』のことだ。俺は即座に指摘もといツッコミを入れる。
「GTって、魚のことやんか!」
 見るからにアジア系ご婦人、それだよそれ! 俺は相槌を打たずにはいられなかった。


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さて、まずはGTの情報収集から始めるとするか。何せ『釣らねば戦は出来ぬ』って|諺《ことわざ》もあるくらいだしな? 秋子の依頼? そんなの後回しだ。
 実を言うと、俺もGTが何なのかあまり分かっていない。とりあえず、魚屋だったら何か情報が得られるかもしれない。とにかく近隣を散策しよう。
 俺が訪れているのは首都である豊臣藩淀。建造物は石材や|煉瓦《れんが》を基にしたものが多く見受けられ、足元も石畳が敷き詰められている。その割に屋根は瓦を使っているので、和洋折衷の異空間が広がっている。
 商店街は団子屋に傘屋・質屋に湯屋、何だか江戸時代の日本に似ている気がする。もしかしたら、居心地はハワイよりも良いかも知れないな?
「毎度おおきに!」
 店先から聞こえてくるのは活気ある店主の声。そういえば、この国の日本語は関西弁に似ている気がするぞ?
「――んな阿保な!」
 道端には楽しげに会話するご婦人たちの集い。紫に染めたパーマヘアにヒョウ柄の服、それに......。
「うぅ~~やられたぁ!」
 ご婦人仲間が『切り捨て御免!』と叫びながら刀で斬りかかる動作をした。間違いない! あれは典型的な大阪のおばちゃんじゃないか!
「あらぁ、外国人の方? ええ女、ここにおりますさかい」
 そのやりとりに見入っていたら、切り捨てご婦人に話しかけられた。アフリカ系を思わせる顔立ちの人物に、日本語で外国人扱いされるのは何だか違和感がある。えぇと......こういう時、何て言えばいいんだ? 確か、関西人はノリが大事なんだよな。てことは......。
「|別嬪《べっぴん》さん、別嬪さん......1人飛ばして別嬪さん!」
 俺は昔見たお笑い番組の記憶を思い起こした。おそらくこれが最適解だろう。
「何でやねん! 自分、むっちゃおもろいわぁ!!」
 返しは成功。どうやら豊臣人はノリとツッコミが大事みたいだ。
「毎度おおきに! ところで自分、GT知っとるか?」
 俺は即興ながらもそれっぽい関西弁で話を進める。本場の関西人には怒られるかもしれないが、今は許してくれ。
「GT? 知らんがな! アハハハッ!」
 切り捨てご婦人は知らない様子。彼女が婦人仲間にGTを訪ねてみると、ヨーロッパ系の顔立ちをしたご婦人が手を上げた。
「GT......? ウチ、聞き覚えあるさかい! えぇっと、何やったかなぁ......?」
 ヨーロッパ婦人、どうやら心当たりがあるみたいだ。Tシャツに『待』って書いているけど、どうか思い出してほしい!
「日本の漫画のことちゃうか!?」
 素顔を隠したアラブ系と思われるご婦人、おそらくそれは『ドラゴンクリスタルGT』のことだ。俺は即座に指摘もといツッコミを入れる。
「GTって、魚のことやんか!」
 見るからにアジア系ご婦人、それだよそれ! 俺は相槌を打たずにはいられなかった。