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商談38 馬のモーセ?

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その後もポイントを転々とするが、どういうわけかチョウザメが目立つ。入れ喰いという意味では喜ばしいのだろうが、相手が相手だ。これは致し方ない。
 残念だが、この辺で潮時だろう。潮時といえば、映画を観ていた秋子が『潮時はクライマックスってことでしょ!?』言ってた気がする。俺は潮時というと引き際のだと思うんだが、世間一般の人たちはどう思っているのだろうか。確かに潮は満ちもすれば引きもする。そう思うと、どうも日本語はご都合主義なところがあったりする。
 本道へ戻った俺は、なおも馬の歩道を突き進む。岩場からの景色は遠ざかり、再び雑木林姿を現す。そんな折、これまで物静かだった歩道でようやく人間とすれ違った。それは和服姿の女性二人組で、見た感じではとても仲の良い間柄のようだ。
「あなた、一体何をお願いしたの?」
 頭頂で髪を結った女性がにこやかに語りかけている。それを聞いた長髪の女性もにこやかな表情で答える。
「それは秘密じゃ。お主こそ何を願ったのじゃ?」
 長髪の女性はどことなく古風な口調で語りかける。気のせいかもしれないが、この二人はどこかで見たことがある。おそらく、その答えは俺の財布の中にあるかもしれない......あぁ、俺は財布を失くしていた。
「私も秘密ですの。馬野詣は参詣することに意義がありますのよ?」
 髪結いの女性はにこやかに答える。この二人を見ていると、日本の由緒正しい大和撫子を想起してしまう。あぁ、『美しい国』日本はどこへ行ってしまったのだろうか?
 ......ん? 今、彼女は馬のモーセって言わなかったか?? 馬のモーセに参詣?? どういうことだ?
「そうじゃな。馬野詣の意義は生まれ変わり、それを忘れてはならぬ」
 馬のモーセの息は生まれ変わる? 要するにあれか。虫の息になっている馬面の神様が生まれ変わるために悪足掻きをするってことか? ますます意味が分からない。そんな会話をする割に、依然として馬は1頭たりとも見かけない。本当にここは馬の歩道なのだろうか?
「戦争なんてもうこりごり。私は良き来世を願うばかりですわ」
 髪結いの女性は一転、しんみりした表情を浮かべた。今時、戦争をする国は総じて野蛮だろうな。
「妾も、藤原一族の世襲政治は虫唾が走るわい」
 長髪女性もその言葉に共感する。きっと、二人とも苦労人なんだろうな。しかしながら戦争やら世襲政治やら、何だか穏やかでない言葉が飛び交っているな。
 そんな会話をしながら二人は通り過ぎていった。よく分からないが、この先には馬のモーセがいるみたいだ。せっかくだから、その馬面を拝みに行くとするか。


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その後もポイントを転々とするが、どういうわけかチョウザメが目立つ。入れ喰いという意味では喜ばしいのだろうが、相手が相手だ。これは致し方ない。
 残念だが、この辺で潮時だろう。潮時といえば、映画を観ていた秋子が『潮時はクライマックスってことでしょ!?』言ってた気がする。俺は潮時というと引き際のだと思うんだが、世間一般の人たちはどう思っているのだろうか。確かに潮は満ちもすれば引きもする。そう思うと、どうも日本語はご都合主義なところがあったりする。
 本道へ戻った俺は、なおも馬の歩道を突き進む。岩場からの景色は遠ざかり、再び雑木林姿を現す。そんな折、これまで物静かだった歩道でようやく人間とすれ違った。それは和服姿の女性二人組で、見た感じではとても仲の良い間柄のようだ。
「あなた、一体何をお願いしたの?」
 頭頂で髪を結った女性がにこやかに語りかけている。それを聞いた長髪の女性もにこやかな表情で答える。
「それは秘密じゃ。お主こそ何を願ったのじゃ?」
 長髪の女性はどことなく古風な口調で語りかける。気のせいかもしれないが、この二人はどこかで見たことがある。おそらく、その答えは俺の財布の中にあるかもしれない......あぁ、俺は財布を失くしていた。
「私も秘密ですの。馬野詣は参詣することに意義がありますのよ?」
 髪結いの女性はにこやかに答える。この二人を見ていると、日本の由緒正しい大和撫子を想起してしまう。あぁ、『美しい国』日本はどこへ行ってしまったのだろうか?
 ......ん? 今、彼女は馬のモーセって言わなかったか?? 馬のモーセに参詣?? どういうことだ?
「そうじゃな。馬野詣の意義は生まれ変わり、それを忘れてはならぬ」
 馬のモーセの息は生まれ変わる? 要するにあれか。虫の息になっている馬面の神様が生まれ変わるために悪足掻きをするってことか? ますます意味が分からない。そんな会話をする割に、依然として馬は1頭たりとも見かけない。本当にここは馬の歩道なのだろうか?
「戦争なんてもうこりごり。私は良き来世を願うばかりですわ」
 髪結いの女性は一転、しんみりした表情を浮かべた。今時、戦争をする国は総じて野蛮だろうな。
「妾も、藤原一族の世襲政治は虫唾が走るわい」
 長髪女性もその言葉に共感する。きっと、二人とも苦労人なんだろうな。しかしながら戦争やら世襲政治やら、何だか穏やかでない言葉が飛び交っているな。
 そんな会話をしながら二人は通り過ぎていった。よく分からないが、この先には馬のモーセがいるみたいだ。せっかくだから、その馬面を拝みに行くとするか。