商談46 対馬逃走
ー/ー
「待ってくれ、対馬!!」
対馬衛、その横顔を忘れるはずもない。あの屈辱の一戦、忘れるわけがないだろう。
しかし何だか変だ。どうしてお前は俺の横を掠める、そしてなぜ逃げる? その真意、問い詰めなければ! 俺は衛を追いかけることにした。
よく見ると衛の姿は白道着に白袴、それに三角頭巾。あぁ、やっぱりあいつ死んでるじゃないか!! けど、足はちゃんとついてる。もう訳が分からん!!
衛は先程の石段を駆け下りていく。嘘だろう!? 衛の駆け足ってあんなに早いのか!! いや、それとも俺が中年太りしているだけか?? どっちにしても、俺は徐々に衛に引き離されていく。このままだとまたあいつに逃げられる!!
「てやぁぁぁっっっ!!!」
俺は意を決し石段を跳び下りた。剣道で培った踏み込みがあれば石段なんて何のそのだ。だが、1つだけ誤算があった。この石段はまだ頂上の方だった!!
「あああーーーっっっ!!!」
俺はさながら、パラシュートなしのスカイダイビングをしている気分だった。これはまずいぞ!! ......いや、もしかしたら落下した時に踏み込みで何とかなるかも知れない。そう、柔道の受け身の要領で。一刻の猶予もない、ただ実践するのみ。もう地面はそこまで迫っているんだ!!
「とぉーーーっっっ!!!」
......何という奇跡。落下の衝撃は左脚の踏み込みで相殺された。けど、その反動で足が痛い!!
「......ふふっ!」
反動で痛みを堪えている俺を衛は横目で嘲笑っている。いや、そんな顔で俺を嗤うな!!
俺が激昂しているのをよそに、衛はすぅーっと消え去った。結局、対馬の真意は最後まで分からなかった。
「......パカラッ! パカラッ!!」
ん、何だが背後から何か足音が聞こえてくるな? それも馬の――。
「ヒヒィーン!!」
何ということだろう......俺の背後から騎馬が衝突してきた! 俺は衝撃で遠くへ放り出される。
「余の顔を見忘れたか!」
騎乗する侍がそう吐き捨てた。三つ葉葵の家紋......さては、お前が馬のモーセなのか? 馬のモーセ、随分と暴れん坊じゃないか。
......そうか、思い出したぞ! 俺はあの時後ろから誰かに車道へ突き飛ばされた挙句、通りすがりのトラックに衝突したんだ!!
記憶を取り戻したはいいが、今度は馬のモーセに衝突した。俺の人生はやはりこんな終わり方なのか。いや、そもそも生きているかも怪しいか。細かいことはさておき、今度こそ俺はここまでかも知れない。
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しかし何だか変だ。どうしてお前は俺の横を掠める、そしてなぜ逃げる? その真意、問い詰めなければ! 俺は衛を追いかけることにした。
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衛は先程の石段を駆け下りていく。嘘だろう!? 衛の駆け足ってあんなに早いのか!! いや、それとも俺が中年太りしているだけか?? どっちにしても、俺は徐々に衛に引き離されていく。このままだとまたあいつに逃げられる!!
「てやぁぁぁっっっ!!!」
俺は意を決し石段を跳び下りた。剣道で培った踏み込みがあれば石段なんて何のそのだ。だが、1つだけ誤算があった。この石段はまだ頂上の方だった!!
「あああーーーっっっ!!!」
俺はさながら、パラシュートなしのスカイダイビングをしている気分だった。これはまずいぞ!! ......いや、もしかしたら落下した時に踏み込みで何とかなるかも知れない。そう、柔道の受け身の要領で。一刻の猶予もない、ただ実践するのみ。もう地面はそこまで迫っているんだ!!
「とぉーーーっっっ!!!」
......何という奇跡。落下の衝撃は左脚の踏み込みで相殺された。けど、その反動で足が痛い!!
「......ふふっ!」
反動で痛みを堪えている俺を衛は横目で嘲笑っている。いや、そんな顔で俺を|嗤《わら》うな!!
俺が激昂しているのをよそに、衛はすぅーっと消え去った。結局、対馬の真意は最後まで分からなかった。
「......パカラッ! パカラッ!!」
ん、何だが背後から何か足音が聞こえてくるな? それも馬の――。
「ヒヒィーン!!」
何ということだろう......俺の背後から騎馬が衝突してきた! 俺は衝撃で遠くへ放り出される。
「余の顔を見忘れたか!」
騎乗する侍がそう吐き捨てた。三つ葉葵の家紋......さては、お前が馬のモーセなのか? 馬のモーセ、随分と暴れん坊じゃないか。
......そうか、思い出したぞ! 俺はあの時後ろから誰かに車道へ突き飛ばされた挙句、通りすがりのトラックに衝突したんだ!!
記憶を取り戻したはいいが、今度は馬のモーセに衝突した。俺の人生はやはりこんな終わり方なのか。いや、そもそも生きているかも怪しいか。細かいことはさておき、今度こそ俺はここまでかも知れない。