商談53 商売は三方良しの精神で
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GT、どうやら俺の相手に不足はないと見た。ジョンの興奮気味に語る様子を見れば、それは火を見るより明らかだ。けれど、シーガルを食べるってどういう意味なんだ? もしシガレットの聞き間違いなら煙草だな。秋子は『煙草は吸うじゃなくて呑む!』だと強調していたが、俺はそもそも非喫煙者だから無縁だ。うん、無煙だけに。
「ところで自分、Tackleはどないしとるん?」
ジョンは対GT戦のタックルを気にかけてくれているようだ。何を隠そう、俺の懐には誕生町のウツボ戦を共に乗り越えた愛竿がある。これさえあればどこへ行っても無敵だ! 俺は自慢気に竿をぶんぶんと振り回す。
「何や、えらくちゃっちぃTackleやんか。そないTackleで大丈夫か?」
見た目がコンパクト過ぎる故なのか、ジョンに心配の目で見られてしまった。大丈夫だ、問題ない!
「旦那、悪いことは言わん。ワシのTackle貸したるさかい、持って行きっ!」
ジョンは倉庫からやけに長い何かを持ってきた。ブルーシートに包まれたそれは一見すると物干し竿のようにも見えたが、包装を取り外した瞬間に俺は唖然とした。
「これはな、我が家に代々伝わるTreasureや! Whaleの髭で作られた竿はどないFishにも負けへんで!!」
ジョンは家宝について鼻息荒く力説している。彼はよほど誇りを持っているのか、家宝についての話が冗長だ。
「せやけど、今はLawが出来てしもてこのTackleは作られへんねん。Whale密漁しとった日にゃMarin
ejackalに干されてまうんや!」
ジョンが言うには、豊臣皇国は数年前から鯨の密漁に対する規制が厳しくなったそうだ。マリンジャッカルってのは反捕鯨団体のことで、鯨の保護という名目で国の内外問わず船舶を襲撃しているらしい。過激な思想は、時に暴力さえも正当化してしまうのが怖いところだ。
「鯨の髭ですか、ウチに在庫がありますけど......?」
俺は思い出した、我が家に眠る不良在庫のことを。誕生町で大量に鯨の髭を仕入れたのはいいが、取引先が見つからず苦慮していたところだ。これは商機!
「ホンマかいなっ!? それ、ワシに全部Sellしてくれへんか!!?」
ジョンは鯨の髭の話を聞くや否や、目の色を変えて会話が前のめりになる。狩猟制限は鯨自体のみで、髭などの部位は対象外らしい。この際だ、不良在庫は全部売り捌いてしまおう!
「毎度おおきに! これでのWhaleの髭がSale出来るでぇ!」
ジョンは大層ご満悦、俺も不良在庫を一掃出来て一挙両得。俺もジョンも世間も良しの三方良し、商売は如何なる時もこのような精神を心掛けたい。
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「ところで自分、Tackleはどないしとるん?」
ジョンは対GT戦のタックルを気にかけてくれているようだ。何を隠そう、俺の懐には誕生町のウツボ戦を共に乗り越えた|愛竿《あいかん》がある。これさえあればどこへ行っても無敵だ! 俺は自慢気に竿をぶんぶんと振り回す。
「何や、えらくちゃっちぃ|Tackle《竿》やんか。そないTackleで大丈夫か?」
見た目がコンパクト過ぎる故なのか、ジョンに心配の目で見られてしまった。大丈夫だ、問題ない!
「旦那、悪いことは言わん。ワシのTackle貸したるさかい、持って行きっ!」
ジョンは倉庫からやけに長い何かを持ってきた。ブルーシートに包まれたそれは一見すると物干し竿のようにも見えたが、包装を取り外した瞬間に俺は唖然とした。
「これはな、我が家に代々伝わるTreasureや! Whaleの髭で作られた竿はどないFishにも負けへんで!!」
ジョンは家宝について鼻息荒く力説している。彼はよほど誇りを持っているのか、家宝についての話が冗長だ。
「せやけど、今はLawが出来てしもてこのTackleは作られへんねん。Whale密漁しとった日にゃMarin
ejackalに干されてまうんや!」
ジョンが言うには、豊臣皇国は数年前から鯨の密漁に対する規制が厳しくなったそうだ。マリンジャッカルってのは反捕鯨団体のことで、鯨の保護という名目で国の内外問わず船舶を襲撃しているらしい。過激な思想は、時に暴力さえも正当化してしまうのが怖いところだ。
「鯨の髭ですか、ウチに在庫がありますけど......?」
俺は思い出した、我が家に眠る不良在庫のことを。誕生町で大量に鯨の髭を仕入れたのはいいが、取引先が見つからず苦慮していたところだ。これは商機!
「ホンマかいなっ!? それ、ワシに全部Sellしてくれへんか!!?」
ジョンは鯨の髭の話を聞くや否や、目の色を変えて会話が前のめりになる。狩猟制限は鯨自体のみで、髭などの部位は対象外らしい。この際だ、不良在庫は全部売り捌いてしまおう!
「毎度おおきに! これでのWhaleの髭がSale出来るでぇ!」
ジョンは大層ご満悦、俺も不良在庫を一掃出来て一挙両得。俺もジョンも世間も良しの三方良し、商売は如何なる時もこのような精神を心掛けたい。