商談24 火竜と竜殺し
ー/ー
「これは面白い対戦。ちょっと拝見させてもらおうかねぇ?」
伝説の剣豪・鈴木健作の姿がそこにあった。現職の千葉県知事がどうしてここにいるのか? 俺は状況が理解できなかった。
「鹿児島の火竜・入間君と、そちらは神殺しの島津君だね? この顔ぶれは高校の時以来だろうねぇ」
俺達のことを知っているあたり、さすがは剣道オタクもとい剣豪。剣道界の知識なら彼の右に出る者はいない。スーツ姿の様子から、おそらく政治活動の合間を縫って来店しているのだろう。しかし、万が一千葉県民にバレたらスキャンダルになってしまうこと必至。
「せっかくなら、試合形式の方が迫力あるよねぇ?」
よく見ると、彼の手元には紅白の審判旗が握られている。いや待て......どうしてそういう流れになる!? とはいえ、こうなったら試合でも何でも受けて立つさ!! 健作に押し切られる形で、俺達の対戦は試合形式で行われることになった。
審判が定位置へ着き、俺達は互いに開始線へ進んで蹲踞の姿勢で待機する。面越しに、島津が眼光鋭く俺を睨んでいるのが分かる。しかし、そんな脅しは鹿児島の火竜と呼ばれた俺には屁でもない。
「......始め!」
主審の号令で、戦いの火ぶたが切って落とされる......ここは緊張の一瞬!
『ヤアァァァァァァッッッ!!!』
俺達は掛け声を発し、各々の構えを取る。島津は攻防一致の中段、そして俺は上段の構え。上段は、火の構えと称されるほど非常に攻撃的な構えだ。つまり、この構えこそ俺が鹿児島の火竜と呼ばれた所以だ。相対する島津は、さながら竜殺しといったところか。
なお、審判員は主審として健作、副審は店長の岩井と......確か、健作の秘書をしている熊谷さんだろうか? 秘書まで健作の暇つぶしに付き合わされるとは、何とも難儀なものである。
そんなことを思っていたら、不意を突いて島津の剣先が俺の喉元へ飛んできた!!
「ツキィィィィィィッッッ!!!」
......しまった! 島津の十八番、片手突きだっ!! これは不覚!!
「突き有りっ!」
主審が島津の突きを有効打突と認めた。当然ながら、審判の旗は3本とも島津側に挙がっている。一瞬の隙を突かれた俺は、不甲斐ない気持ちに苛まれる。しかし、まだ勝負は始まったばかりだ! 今は気持ちを切り替えよう!
そう思った矢先、どういうわけか島津は面乳皮に手を当てている。お前、それは......!?
「合議!」
主審は旗を畳み、それを天高く掲げた。あぁ、言わんこっちゃない......。
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伝説の剣豪・鈴木健作の姿がそこにあった。現職の千葉県知事がどうしてここにいるのか? 俺は状況が理解できなかった。
「鹿児島の火竜・入間君と、そちらは神殺しの島津君だね? この顔ぶれは高校の時以来だろうねぇ」
俺達のことを知っているあたり、さすがは剣道オタクもとい剣豪。剣道界の知識なら彼の右に出る者はいない。スーツ姿の様子から、おそらく政治活動の合間を縫って来店しているのだろう。しかし、万が一千葉県民にバレたらスキャンダルになってしまうこと必至。
「せっかくなら、試合形式の方が迫力あるよねぇ?」
よく見ると、彼の手元には紅白の審判旗が握られている。いや待て......どうしてそういう流れになる!? とはいえ、こうなったら試合でも何でも受けて立つさ!! 健作に押し切られる形で、俺達の対戦は試合形式で行われることになった。
審判が定位置へ着き、俺達は互いに開始線へ進んで|蹲踞《そんきょ》の姿勢で待機する。面越しに、島津が眼光鋭く俺を睨んでいるのが分かる。しかし、そんな脅しは鹿児島の火竜と呼ばれた俺には屁でもない。
「......始め!」
主審の号令で、戦いの火ぶたが切って落とされる......ここは緊張の一瞬!
『ヤアァァァァァァッッッ!!!』
俺達は掛け声を発し、各々の構えを取る。島津は攻防一致の中段、そして俺は上段の構え。上段は、火の構えと称されるほど非常に攻撃的な構えだ。つまり、この構えこそ俺が鹿児島の火竜と呼ばれ|た所以《ゆえん》だ。相対する島津は、さながら|竜殺し《ドラゴンスレイヤー》といったところか。
なお、審判員は主審として健作、副審は店長の岩井と......確か、健作の秘書をしている熊谷さんだろうか? 秘書まで健作の暇つぶしに付き合わされるとは、何とも難儀なものである。
そんなことを思っていたら、不意を突いて島津の剣先が俺の喉元へ飛んできた!!
「ツキィィィィィィッッッ!!!」
......しまった! 島津の|十八番《おはこ》、片手突きだっ!! これは不覚!!
「突き有りっ!」
主審が島津の突きを有効打突と認めた。当然ながら、審判の旗は3本とも島津側に挙がっている。一瞬の隙を突かれた俺は、不甲斐ない気持ちに苛まれる。しかし、まだ勝負は始まったばかりだ! 今は気持ちを切り替えよう!
そう思った矢先、どういうわけか島津は面|乳皮《ちかわ》に手を当てている。お前、それは......!?
「合議!」
主審は旗を畳み、それを天高く掲げた。あぁ、言わんこっちゃない......。