翼のない俺たちに幸せの粉を!!
これは俺たちが、俺たちの幸せに辿り着くための物語。
いつの間にか用意されていたマイクを握り、俺は壇上へ向かった。
しかし、不安定かつ脆弱な足元のそれは、俺が両足を乗せた瞬間に潰れた。
「……ダンボールじゃやっぱり無理があるのよ」
背後から声が聞こえる。無視だ。よく考えたら、壇上で話す必要はない。伝わればいいのだ。
「不慮の事故で命を落とした俺、片山楓」
「目を覚ました先で始まったのは、来世を決める面接だった」
「面接官は、自称天使のエフィルロ! 生前に貯めたポイントで来世何になれるのかが決まるらしい」
冷たい視線をこちらへ向けてくるエフィルロを無視して、俺は説明を続ける。
「だが、俺の所持ポイントは、まさかの0!」
「このままでは、生まれ変わることすらできない」
「絶望する俺に、エフィルロはポイントを貯める方法を告げた。それは、あまりにも雑で、あまりにも理不尽な内容だった」
冷たい視線が1人分増えている。まあいい。俺は今、あらすじを伝えるのに必死なのだ。
「そう! ポイントを貯める方法は、天使の仕事の手伝いである!」
「そんなのわかってるわよ」
「そうなのです。早く行くのです」
ついに口を挟んできた。
そして、俺が必死に考えたあらすじは、2人の天使にマイクを取られ強制終了。努力は水の泡だ。
あらすじは伝わっただろうか。やはり、壇上に立つべきだったのだろうか。
俺は、ダンボールをガムテープで補強しなかったことを後悔する。
なぜか0ポイントの俺。そして、死後の世界に来てから抜け落ちている父の記憶。
笑いあり、ちょっと涙あり。
これは、翼を持たない人間と、翼を持つ天使たちの物語。
「もう1人の天使は何者かって? それはそれは、人間が大嫌いな……」
「だーかーら! 行くって言ってるでしょ! 仕事の時間!」
強引に腕を引かれ、俺は今日も“天使の仕事”へ。
来世のためのポイント稼ぎ。
だが、それで終わりではなかった。
真実を知ったその先に待っている運命とは。
生まれ変わる。それが俺の目的だった。
これは俺たちが、俺たちの幸せに辿り着くための物語。
※定期的に全話読み直し、誤字脱字等を訂正、改稿しております。内容に変化はございません。
新着レビュー
死後の面接と天使の奇想天外
本作は、死後の面接という斬新な設定と、天使フィロの軽快な語り口が絶妙に絡み合い、読者を不思議な世界へと誘います。ポイント制度を通じた“幸せの粉”の概念がユーモアと哲学を同時に刺激し、笑いながらも自分の生き方を見つめ直すきっかけをくれます。軽やかな文体とテンポの良い会話が、読者を飽きさせずにページをめくる手を止めません。孤独感に共感しつつ、少しでも心温まる救いを求める高校生や大人に特におすすめです。ぜひ読んでみてください。
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