こくら物語 Ⅰ (物語シリーズ③ 改訂版)

こくら物語 Ⅰ (物語シリーズ③ 改訂版)

偶然寄った小倉のバーで出会った女の子とバーのママとのお話。


「ミキちゃん、なんなら、このファースト往復、買ってあげようか?」と提案してみる。ファーストなら一万二千円くらい、往復で二万四千円。二人で船旅も悪くないな、と少し冒険心が湧いてきた。
「おじさんはどげんするん?」とミキちゃんが聞く。
「私はゆっくりしたいから、スイートルームにするけど…」
「え~、そしたら別々の部屋やん?」と彼女が不満そうに言う。ミキちゃんは内心、「別々やなんてつまらん!おじさんと一緒がええのに」とムッとしていた。
「いや、ミキちゃん、今日会った見知らぬ男女が同じ部屋ってわけにもいかないじゃないか?別室だけど、食事とか船の中を散策するのは一緒にできるよ」と冷静に返す。私はこういう時、常識的な線引きをするタイプだ。

 ママが「ミキちゃん、何ば言いよるとね?バカなこと言いなさんな」とたしなめる。彼女の声には呆れと優しさが混じっていて、私は内心、「ママ、この子を本気で心配してるんだな」と温かい気持ちになった。
「うち、おじさんとやったら、同じ部屋でもよかっちゃけどなぁ~。間違いが起こってもよかやん?うち、気にせんばい。おじさんとやったら、喜んで間違いしちゃるもん」とミキちゃんがギョッとする発言をする。彼女は目をキラキラさせて、私を試すように笑う。内心、「おじさん、びっくりしたやろ?うち、怖いもの知らずやけん!」と得意げだった。

「ミキちゃんね、キミは私のことを知らないでしょ?もしかしたら、殺人鬼かもしれないし、ど変態かもしれないんだよ?」と冗談っぽく言う。私は彼女の突飛な発想に笑いつつ、少し牽制したかった。
 ミキちゃんは私の顔を覗き込んで、「おじさん、殺人鬼なん?ど変態?船の中やん。密室やん?もし殺人鬼やったとしても、今日会うたばっかりの女の子ば殺してどげんすると?船の中で逃げ場なかとよ?ど変態やって、うちかてど変態かもしれんやん?性病だって持っとるかもしれんっちゃけど?」と畳み掛ける。彼女の口調は無邪気で、内心、「おじさん、うちのこと怖がらせられんよ!負けんけん!」と挑発的だった。私は「この子、頭のネジが一本抜けてるな」と呆れつつ、どこか楽しかった。







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