表示設定
表示設定
目次 目次




第13話 思わずバスに乗っちゃったっちゃろ?図星っちゃろ?

ー/ー



「ママ、宮部さんのホテル、リーガロイヤルホテルっちゅうとこ。六時にロビーで待ち合わせやけ、まだどっか行こーや」
「よかけど、宮部さんに悪かろーもん」っち言う。何が悪かっちゅうんよ?

 ママ、美術の好いとるけ、駅からタクシー乗って国立国際美術館に行ったっちゃ。

 ここ、ちょうどよかっちゃ。明彦の泊まっとるホテルがリーガロイヤルホテルちゅうて、美術館から歩いて9分やけね。昼飯ん時に明彦からメール来たけ、ルート調べとったんよ。だって、うちは全財産の入った重たかバッグ持っとるプータローやん?あんま歩きたなかっちゃ。ほんなら、ロッカー見つけたけ、うちとママの荷物預けたっちゃ。…ママのバッグ、日帰り荷物やなかね?これ、お泊まりセット入っとろーもん。しめしめ。

 美術館の展示品は、国内外の現代美術がメインち言う話やった。おもろかったんは、美術館の主要部分が全部地下にあることやね。エントランスやらレストランやらショップが地下1階で、展示室は地下2階、3階っちゅうわけ。

 ママが、イサム・ノグチやらウォーホル、エルンスト、カルダー、カンディンスキー、セザンヌ、デュシャン、デュビュッフェ、ピカソ、ミロ…って、次々と絵ば見て回りよる。めっちゃ目キラキラさせとるし。うれしそーやん。そらそうやろ、ママ、美大の院卒やもんね。そげん人が、なんで小倉のバーのママしよるんやろか?

 作品ば見て回りながら、「この絵のマチエールがね」とか「構図がね」っち、いろいろ教えてくれる。なるほどねえ。ただ眺めるんじゃのうて、絵の具の使い方やら構図の焦点、時代背景とか知ると、もっと面白かとね。

 それから、美術館の地下1階のカフェでお茶したっちゃ。美術館のカフェは、どこも静かで落ち着くけん好いとるっちゃ。フードコートみたいにガヤガヤしとらんしね。

 うちがママに「ねえ、迎えに来てくれてありがとう。でも、夜行バスで追いかけてくるなんて…」っち言うたら、ママが「だって、宮部さんもちゃんとした人やろうけど、フェリーの一室で男女二人っちゃろ?何があるかわからんし、ケンカするかもしれんやん。もしもの時のために迎えに来たっちゃ。何もなかったら、おじゃまやけ帰ろうと思っとったとよ。ミキちゃんは、うちにとって妹みたいなもんやけ、心配やったとよ」

「ママ、白状しぃや。ほんとはそげんことやなかろ?」
「は?」
「ママはさ、うちと明彦が同じ部屋で、ああいうことやこういうこと、しよると想像して、悶々となって…『もしかしたら、明彦とうちやったかもしれん』とか思って、葛藤があって、気づいたらバスに乗っとったんやろ?違う?」
「……」
「図星やろ?ねえ?図星やろ?」
「…そうよ…その通りたい…」

「そげんやろ?ほんならね、うちと明彦、ご想像通り、しちゃいました。何回もね」
「あ~あ…」
「はい、気持ちよかったです。初めていくって、こういうことやったとねーって、感動したもん」
「…ちょっと悔しか…羨ましか…」っち、思いっきり睨んできた。

「そんでさ、ママ。じゃあさ、ママもしよ?」
「はぁ?」

「えっとね、フェリー乗り場でうちが明彦に耳打ちしたやん?あの時、ふと悪知恵が湧いてきて、『明彦の部屋、三人泊まれる?手配してくれる?そんで夕方、うちとママがその部屋に直接行って、してもしなくてもいいけ、ママが良かっち言ったら、三人でしよ』って聞いたとよ。そしたらさ、彼、何言いよるんかよーわからんみたいやったけど、さっきメッセくれて、三人部屋取ったっちゅうこと。デラックスツインやて。さ、ママ、どげんする?」
「ミキちゃん…そんな…三人!?そげん経験なかとよ!」

「大声出しちゃダメよ、ママ。うちかて、そげん経験なかっちゃ。第一、明彦が人生二人目の男やもん」
「やったら、ミキちゃんと彼で二人でしぃや?なんで、うちば誘うん?」
「ママ、違うとよ。ママはうちを拾ってくれて、恩人で、姉ちゃんみたいな存在やもん。うちはね、初めて感じたこの幸福感と安心感ば、姉ちゃんみたいなママと共有したかっちゃ。彼、うまかし、優しかしね。それ、ママも味わってみらん?うちもママが感じるとこ見てみたいし、うちが感じるのもママに見てほしかっちゃ。それと…うち、レズやなかばってん…ママとしちゃいたかとよ」

「……頭おかしかと?」
「いたって正常よ。まあまあ、部屋行って、即やるわけやなかし、飯でも食って、気が向いたらしよーや、って話」
「宮部さんは?彼、どげん思っとるん?」
「うちのいたずら程度に思っとるやろね。でもさ、ママが本気なら、彼、してくれるかもしれんよ?バーでママのこと『タイプ』って言いよったやん」
「あ~あ…なんてこと…」

「ママが本人に直接聞いてみれば?ママがその気なら、据え膳食わんやろ。溜まっとるんやないと?」
「…わ、わかった。部屋には行きます。泊めてもらいます。でも、うちか宮部さんがイヤやったら、ミキちゃん、彼とせんで!」
「大丈夫大丈夫。うちの勘じゃ、ママも明彦もやる気になるばい」

「……行くわよ…行けばいいんやろ?」
「そうそう、それでよか!」

 そいで、うちらは国立国際美術館から歩いてリーガロイヤルホテルに向かったっちゃ。おおー!立派なホテルやん!さてさて、どうなることやら…ワクワクするばい!


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 第14話 そうよ!溜まっとるとよ!


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



「ママ、宮部さんのホテル、リーガロイヤルホテルっちゅうとこ。六時にロビーで待ち合わせやけ、まだどっか行こーや」
「よかけど、宮部さんに悪かろーもん」っち言う。何が悪かっちゅうんよ?
 ママ、美術の好いとるけ、駅からタクシー乗って国立国際美術館に行ったっちゃ。
 ここ、ちょうどよかっちゃ。明彦の泊まっとるホテルがリーガロイヤルホテルちゅうて、美術館から歩いて9分やけね。昼飯ん時に明彦からメール来たけ、ルート調べとったんよ。だって、うちは全財産の入った重たかバッグ持っとるプータローやん?あんま歩きたなかっちゃ。ほんなら、ロッカー見つけたけ、うちとママの荷物預けたっちゃ。…ママのバッグ、日帰り荷物やなかね?これ、お泊まりセット入っとろーもん。しめしめ。
 美術館の展示品は、国内外の現代美術がメインち言う話やった。おもろかったんは、美術館の主要部分が全部地下にあることやね。エントランスやらレストランやらショップが地下1階で、展示室は地下2階、3階っちゅうわけ。
 ママが、イサム・ノグチやらウォーホル、エルンスト、カルダー、カンディンスキー、セザンヌ、デュシャン、デュビュッフェ、ピカソ、ミロ…って、次々と絵ば見て回りよる。めっちゃ目キラキラさせとるし。うれしそーやん。そらそうやろ、ママ、美大の院卒やもんね。そげん人が、なんで小倉のバーのママしよるんやろか?
 作品ば見て回りながら、「この絵のマチエールがね」とか「構図がね」っち、いろいろ教えてくれる。なるほどねえ。ただ眺めるんじゃのうて、絵の具の使い方やら構図の焦点、時代背景とか知ると、もっと面白かとね。
 それから、美術館の地下1階のカフェでお茶したっちゃ。美術館のカフェは、どこも静かで落ち着くけん好いとるっちゃ。フードコートみたいにガヤガヤしとらんしね。
 うちがママに「ねえ、迎えに来てくれてありがとう。でも、夜行バスで追いかけてくるなんて…」っち言うたら、ママが「だって、宮部さんもちゃんとした人やろうけど、フェリーの一室で男女二人っちゃろ?何があるかわからんし、ケンカするかもしれんやん。もしもの時のために迎えに来たっちゃ。何もなかったら、おじゃまやけ帰ろうと思っとったとよ。ミキちゃんは、うちにとって妹みたいなもんやけ、心配やったとよ」
「ママ、白状しぃや。ほんとはそげんことやなかろ?」
「は?」
「ママはさ、うちと明彦が同じ部屋で、ああいうことやこういうこと、しよると想像して、悶々となって…『もしかしたら、明彦とうちやったかもしれん』とか思って、葛藤があって、気づいたらバスに乗っとったんやろ?違う?」
「……」
「図星やろ?ねえ?図星やろ?」
「…そうよ…その通りたい…」
「そげんやろ?ほんならね、うちと明彦、ご想像通り、しちゃいました。何回もね」
「あ~あ…」
「はい、気持ちよかったです。初めていくって、こういうことやったとねーって、感動したもん」
「…ちょっと悔しか…羨ましか…」っち、思いっきり睨んできた。
「そんでさ、ママ。じゃあさ、ママもしよ?」
「はぁ?」
「えっとね、フェリー乗り場でうちが明彦に耳打ちしたやん?あの時、ふと悪知恵が湧いてきて、『明彦の部屋、三人泊まれる?手配してくれる?そんで夕方、うちとママがその部屋に直接行って、してもしなくてもいいけ、ママが良かっち言ったら、三人でしよ』って聞いたとよ。そしたらさ、彼、何言いよるんかよーわからんみたいやったけど、さっきメッセくれて、三人部屋取ったっちゅうこと。デラックスツインやて。さ、ママ、どげんする?」
「ミキちゃん…そんな…三人!?そげん経験なかとよ!」
「大声出しちゃダメよ、ママ。うちかて、そげん経験なかっちゃ。第一、明彦が人生二人目の男やもん」
「やったら、ミキちゃんと彼で二人でしぃや?なんで、うちば誘うん?」
「ママ、違うとよ。ママはうちを拾ってくれて、恩人で、姉ちゃんみたいな存在やもん。うちはね、初めて感じたこの幸福感と安心感ば、姉ちゃんみたいなママと共有したかっちゃ。彼、うまかし、優しかしね。それ、ママも味わってみらん?うちもママが感じるとこ見てみたいし、うちが感じるのもママに見てほしかっちゃ。それと…うち、レズやなかばってん…ママとしちゃいたかとよ」
「……頭おかしかと?」
「いたって正常よ。まあまあ、部屋行って、即やるわけやなかし、飯でも食って、気が向いたらしよーや、って話」
「宮部さんは?彼、どげん思っとるん?」
「うちのいたずら程度に思っとるやろね。でもさ、ママが本気なら、彼、してくれるかもしれんよ?バーでママのこと『タイプ』って言いよったやん」
「あ~あ…なんてこと…」
「ママが本人に直接聞いてみれば?ママがその気なら、据え膳食わんやろ。溜まっとるんやないと?」
「…わ、わかった。部屋には行きます。泊めてもらいます。でも、うちか宮部さんがイヤやったら、ミキちゃん、彼とせんで!」
「大丈夫大丈夫。うちの勘じゃ、ママも明彦もやる気になるばい」
「……行くわよ…行けばいいんやろ?」
「そうそう、それでよか!」
 そいで、うちらは国立国際美術館から歩いてリーガロイヤルホテルに向かったっちゃ。おおー!立派なホテルやん!さてさて、どうなることやら…ワクワクするばい!