奇妙な男の奇妙な会話(幕間)
10/19
【本編に直接関係のない、幕間の本のちょっとした出来事】 慶介の考え方の根本になったきっかけのEpisodeを入れてみたいと思い 付け足した部分になります。すこし本編と毛色が違うのでご容赦を ☆☆☆☆☆ その人と出会ったのは、駅前の広場だった。 自作の詩を売りながら旅をしているという変わった男だった。 まだそれほどの年齢でもない、若そうな男だったが、色々なところを旅して、いろいろな人と関わり合って、とても面白い話をしてくれる男だった。 女は幾つも処女を持っている。 その男は言った。 処女って、初めての時の一回きりではないのか?という在り来りの疑問を返した記憶がある。 若いねぇ…そういう考えかたは、あまりに普通すぎて面白くない。 いいか、肉体的な処女ってのはお前の言う通り、人生に一度きりのもんだ。 だがな、女はもっと深いんだ。 女はな、身体を捧げることと、心を捧げることって2つを使い分けるんだ。 身体を捧げる…でも心は伴っていない…そういう抱かれ方もするんだよ。 でもな、心は女が捧げようと思ったときにしか捧げられない。 そしてな、心の処女はその女が、惚れた男に捧げようと思った時、はじめて処女を喪失するんだ。 例えばな、俺と付き合い、俺に処女を捧げた女がいるとする。だが何がしかの理由で俺と添い遂げることが出来なかったとしようじゃないか。 俺が死んだでも良いし、何かの原因で別れたでも良い。 その女が後におまえに惚れた。そしてやがてお前に抱かれる日が来たとするぞ。 その時、最初はお前をつなぎとめるために身体を捧げた。だがお前と過ごす時間が彼女の愛情を育み、やがて女は前に、心も体も捧げたいと思うようになった。 そうして心を捧げると決めた後、初めてお前に抱かれた。その時女の心の処女はお前に捧げられたんだと、そう考えるとロマンがないか? うーん、わかるようなわからないような話だな…。 それまでの経験なんて関係ない。その女がお前に心を捧げようと思った時、その女の心を抱いた時、処女にも匹敵するくらいのものをもらえたと思えば良いんだよ。 なら逆に聞こうじゃないか。 人生生きていて、1人としか付き合ったことがなくて、その人が伴侶です… 無いわけじゃないが、そんなのは少数派だよな。大抵は何度も恋愛して、ゴールインする。 その相手が、既にもう経験は済ませていた時、そいつをお前はふしだらな女と思うか?俺以外の男に抱かれやがってと思うか? いや、それは流石に思わないけどさ その女が、生まれて初めて、相手を伴侶として認めて、そして心を捧げてくれる…これは処女的じゃないか? はじめて「心」を捧げる…これも一つの処女を捧げることだと思うんだがな。 というかそう考えたほうが幸せになれると思うぞ。 まぁ、何となく分かるけどさ・・一つだけ言いか? どうした青二才…言いたいことがあるのか いや、駅前であまり処女処女連呼するのはどうかと…。
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