「💯彼女たちの今そこにある危機 Ⅰ」梅毒感染編、彼女は太ももの内側に赤い発疹が広がっていた。

「💯彼女たちの今そこにある危機 Ⅰ」梅毒感染編、彼女は太ももの内側に赤い発疹が広がっていた。

💯まさか自分が…他人事として思っていることが降りかかる怖さ


船橋の高校の教師たちと生徒達のおりなす群像劇、現代2026年千葉が舞台。

最近、高校生大学生の性感染症の蔓延や覚醒剤の密かな浸透がニュースでひっそりと話題になっています。しかし、ニュースを読んだだけでは、その実態がわからないことが多い。そして、「まさか自分が!」という「彼女たちの今そこにある危機」を感じられないのかもしれません。その「まさか自分が!」ということの当事者になってしまった「彼女たち」のお話です。

【序】

 伊達美代子は船橋市の千葉県立船橋KM高校に通う17歳の高校2年生で、最近、自分の太ももの内側に赤い発疹が広がっていることに気づいた。最初は「汗疹かな」と軽く考えていたが、日に日に消えないその跡に不安が募った。彼女にはその原因で思いつくことがあった。

 鏡の前でスカートを捲り上げて見つめるたび、心臓が締め付けられるような感覚がした。彼女は誰にも言えず、夜遅くにベッドでスマホを手に持つ。指先が震えながら検索バーに打ち込んだのは「発疹 性病」。画面に映し出された「梅毒」の症状写真を見て、美代子は息を呑んだ。そこには彼女の肌と同じような赤い斑点が並んでいた。

「まさか、私が…?」

 美代子は目を閉じ、布団をかぶって現実を拒んだ。彼女は数ヶ月前から「パパ活」を始めていた。お小遣い欲しさと、どこかで感じる退屈な日常への反抗だった。相手はいつも優しく、危険なんて感じなかった。でも今、彼女の頭を埋め尽くすのは後悔と恐怖だ。「もしこれが本当なら…誰にも言えない。親にも、学校にも…」

 夜が明けるまで眠れず、枕に顔を埋めて嗚咽を漏らした。

 翌日、学校の授業中も上の空だった。ノートにペンを走らせるふりをしながら、頭の中では「どうすればいいか」を考え続けた。友だちの笑い声が遠くに聞こえ、自分だけが別の世界にいるようだった。昼休み、トイレの個室にこもって再びスマホを開く。AIチャットに「性病 検査 匿名」と打ち込むと、船橋市保健所やセルフ検査キットの情報が返ってきた。「匿名なら…バレないよね?」

 美代子は保健所に行く勇気が出なかった。人目につくかもしれないし、知り合いに会ったら終わりだ。そう考えると胸が締め付けられ、息が浅くなる。結局、「自宅でできる検査キット」が彼女にとって唯一の救いに思えた…。







新着レビュー

危機を映す高校の闇

本作は、現代高校を舞台にした感染症危機を通じて、若者の孤独と選択の重みを繊細に描き出します。①リアルな診療所シーンが緊張感を高め、②美代子の内面葛藤が共感を呼び、③パパ活という社会的闇を鋭く照らすことで、読後に深い余韻が残ります。現実に近い設定が胸に響く作品です。登場人物の微細な心の揺れや、保健所の静かな空間描写が、読者に緊迫した空気を伝え、現代の若者が抱える見えない危機への警鐘となります。ぜひ読んでみてください。


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