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運命の交差する場所

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 待って、待って、待って…  心のなかで必死に叫ぶ。  思うように動かない足がもつれる。  肺が苦しい、喉から鉄のような味がする。  それでも私は走ることを止められなかった。  いつもなら帰宅部の私はもっと早い時刻に下校している。  今日に限って担任の丹羽にわ先生に雑用を頼まれてしまい遅くなってしまった。  ため息をつきつつ、下駄箱の蓋をあけると、私の靴の上に一通の手紙が有った。  おしゃれな四角い封筒ではない。  普通に郵便局でも売っていそうな長方形の白い封筒。  手にとって裏表を確認するが差出人の名前は書かれていない。 (ラブレター…にしては便箋が素っ気ないし、なんだろう)  疑問に思いながら、封のされていない封筒から手紙を取り出す。  1枚の便箋が丁寧に三つ折りされていた。  便箋も特に柄のない真っ白な、普通のものだったのでますます混乱する。  内容を見てみなければ話は始まらない。  もし新聞の文字の切り貼りで、犯行予告とかだったらどうしよう。  一瞬有り得ない想像をして、ナイナイと自分でそれを否定する。 「澄華すみかへ  ずっと前から言おうと思っていたけどどうしてもいえなかったから  手紙を残すことにします。  俺は今日、東京に引っ越します。家の都合です。  澄華と付き合えて幸せだった。  半年くらいしか一緒に居られなかったけど…  それでも俺の人生で一番幸せだったと思う。  ありがとう…そしてサヨナラ。  15:27分の電車で行きます。      貴大」  手紙を読んだ瞬間、私の頭の中は真っ白になった。  半年前、相手から告白されて付き合い始めた貴大たかひろ  彼が引っ越す?今日?何で??  どうして言ってくれなかったの!と彼を責め立てたくなる。  そんな大事なことを、どうして当日に、しかも手紙で告げるのよ。  慌てて時計を見る。  15:11  駅まで普段なら20分かけて歩いている。 (走れば、間に合う?)  迷っている暇はない…私は全力で走り出した。  ----------------------------------------  まだなのと焦りが心を支配していく。  階段の残りは半分ほど。もう少しでホームが見える。  駅員の吹く笛の音が鳴り響く (あと少し、あと少し…もう少しだけ待って)  身体はもう悲鳴を上げている、とっくに限界を超えている。  でもひと目だけでも、最後に彼の姿を見たい。  あと3段  ガシャン  無情に扉の閉まる音がする。  階段を登りきりホームにたどり着く。  視線を電車に向ける。  どの車両なの、何処に乗っているの、貴大…。  必死に彼の姿を探す  電車が動き始める…彼の姿は見つからない…  やがて電車が視界から消えてしまった。  私は彼の姿を見つけることが出来なくて、ショックと疲労でその場に座り込んでしまう。  その時、風が吹いた…  とめどなく流れ続ける私の涙を乾かそうとするかのように…



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 待って、待って、待って…  心のなかで必死に叫ぶ。  思うように動かない足がもつれる。  肺が苦しい、喉から鉄のような味がする。  それでも私は走ることを止められなかった。  いつもなら帰宅部の私はもっと早い時刻に下校している。  今日に限って担任の丹羽にわ先生に雑用を頼まれてしまい遅くなってしまった。  ため息をつきつつ、下駄箱の蓋をあけると、私の靴の上に一通の手紙が有った。  おしゃれな四角い封筒ではない。  普通に郵便局でも売っていそうな長方形の白い封筒。  手にとって裏表を確認するが差出人の名前は書かれていない。 (ラブレター…にしては便箋が素っ気ないし、なんだろう)  疑問に思いながら、封のされていない封筒から手紙を取り出す。  1枚の便箋が丁寧に三つ折りされていた。  便箋も特に柄のない真っ白な、普通のものだったのでますます混乱する。  内容を見てみなければ話は始まらない。  もし新聞の文字の切り貼りで、犯行予告とかだったらどうしよう。  一瞬有り得ない想像をして、ナイナイと自分でそれを否定する。 「澄華すみかへ  ずっと前から言おうと思っていたけどどうしてもいえなかったから  手紙を残すことにします。  俺は今日、東京に引っ越します。家の都合です。  澄華と付き合えて幸せだった。  半年くらいしか一緒に居られなかったけど…  それでも俺の人生で一番幸せだったと思う。  ありがとう…そしてサヨナラ。  15:27分の電車で行きます。      貴大」  手紙を読んだ瞬間、私の頭の中は真っ白になった。  半年前、相手から告白されて付き合い始めた貴大たかひろ  彼が引っ越す?今日?何で??  どうして言ってくれなかったの!と彼を責め立てたくなる。  そんな大事なことを、どうして当日に、しかも手紙で告げるのよ。  慌てて時計を見る。  15:11  駅まで普段なら20分かけて歩いている。 (走れば、間に合う?)  迷っている暇はない…私は全力で走り出した。  ----------------------------------------  まだなのと焦りが心を支配していく。  階段の残りは半分ほど。もう少しでホームが見える。  駅員の吹く笛の音が鳴り響く (あと少し、あと少し…もう少しだけ待って)  身体はもう悲鳴を上げている、とっくに限界を超えている。  でもひと目だけでも、最後に彼の姿を見たい。  あと3段  ガシャン  無情に扉の閉まる音がする。  階段を登りきりホームにたどり着く。  視線を電車に向ける。  どの車両なの、何処に乗っているの、貴大…。  必死に彼の姿を探す  電車が動き始める…彼の姿は見つからない…  やがて電車が視界から消えてしまった。  私は彼の姿を見つけることが出来なくて、ショックと疲労でその場に座り込んでしまう。  その時、風が吹いた…  とめどなく流れ続ける私の涙を乾かそうとするかのように…



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