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参戦

ー/ー



 会場までたどり着くと同時に、旭は顔を顰めた。そこには、試験官である獄蝶のジョカとアステシア、クラス・ジョカのそうそうたる面々、そして、ある二人の顔があった。


「やぁ、随分準備に時間がかかったみたいだな、旭」

「皆様、お久しぶりです!」


 顔を合わせると同時に金髪長髪の女がモニカ目掛けて両手を広げて飛び込む。思わずモニカは抱きしめるように受け止め、その顔を見て目を見開いて驚いた。


「ヴェローニカ!?」

「はい! ガイア・ヴェローニカ、このたび、長旅から帰って参りました!」

「ちょっと、離れなさいよ……!」

「断りますわクラウディア! 久しぶりの再開なのですもの! もう少しだけ堪能させてください!」


 アステシアとの思わぬ対面もあり、予想だにしない事ばかりが起きて旭は頭を抱える。ここ数ヶ月、連絡もつかず、噂話すら聞かなかった親友と級友が何の便りも無しに戻ってきたのだ。旭は呆れて声も出ず、とりあえずこれまでの鬱憤を晴らすように国綱に肘打ちを食らわせる。


「バカ野郎が、連絡くらい寄越せって何回も言ってんだろうが!」

「悪かったって。本当はもう少し遅くなる予定だったんだけど、アステシア先生に拾われてね。試験には間に合わないだろうと思ってたんだけど」

「おい国綱! 置き手紙だけ渡してさよならはちょっと酷いんじゃねぇの?!」

「それは……すまない……」

「レオにも挨拶するって言ってただろ」

「時間がなかったんだよ……」

「儂らには手紙すらなかったぞ!」


 積もる話に花を咲かせつつ、モニカたちは片時も集中を切らさない。賑やかに、さぞ楽しい話をしているように見えていただろう。だが、その表情は誰も彼も柔和ではなかった。戦うべき敵を見定めている。熱意を滾らせている。拳を握りしめている。そこには、仲良さげなクラスメイトの姿は存在していない。


「さぁ、そろそろ試験を始めようか」


 獄蝶のジョカの放ったその一言で一気に雰囲気が張り詰める。静まり返った訓練所に、ただ呼吸をする音だけが響いていた。どこか心地よささえ感じてしまう空気に旭は思わず口角を釣り上げる。

 どんな強敵が待っている?

 どんな魔法を駆使してくる?

 どんな戦い方をする?

 どれもこれも楽しみで仕方がない。おあずけの時間はもう限界だった。一人、二人、三人と、強者を見極めていく。そして、待ちきれずに一歩踏み出しそうになったところで、国綱に腕を引っ張られて引き止められる。


「気持ちは分かるが抑えろ。これは試験だ」

「わかってる。だからその手を離せ」


 旭は国綱の手を振りほどき、悪態をつく。数ヶ月とはいえ、国綱がいなかった期間はあまりにも長かったらしい。考え無しに突っ走ろうとする旭とレオノールの手綱を国綱が掴む、こんなお決まりのやり取りすらも懐かしく感じられた。だが、その懐かしさを感じられるほど離れていた時間があったからこそ、旭はその違和感に気がつく。
 不意に、旭は掴まれていた腕に目をやった。まだ、腕を掴まれているかのような圧力を僅かに感じる。跡がつくほど強く握り締められていたのかと、旭は数秒前のことを思い返す。


(まぁ、当然だよな)


 ()()()()()()()。少し見てなかった間に、見違えるほどに。疼く期待感を押さえつけて、旭は顔を上げて目の前を見る。はじまりの合図はもうすぐらしい。


「さぁ、正しさを示せ、若き魔法使いたち!」


 そして、モニカたちは試される。


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 会場までたどり着くと同時に、旭は顔を顰めた。そこには、試験官である獄蝶のジョカとアステシア、クラス・ジョカのそうそうたる面々、そして、ある二人の顔があった。
「やぁ、随分準備に時間がかかったみたいだな、旭」
「皆様、お久しぶりです!」
 顔を合わせると同時に金髪長髪の女がモニカ目掛けて両手を広げて飛び込む。思わずモニカは抱きしめるように受け止め、その顔を見て目を見開いて驚いた。
「ヴェローニカ!?」
「はい! ガイア・ヴェローニカ、このたび、長旅から帰って参りました!」
「ちょっと、離れなさいよ……!」
「断りますわクラウディア! 久しぶりの再開なのですもの! もう少しだけ堪能させてください!」
 アステシアとの思わぬ対面もあり、予想だにしない事ばかりが起きて旭は頭を抱える。ここ数ヶ月、連絡もつかず、噂話すら聞かなかった親友と級友が何の便りも無しに戻ってきたのだ。旭は呆れて声も出ず、とりあえずこれまでの鬱憤を晴らすように国綱に肘打ちを食らわせる。
「バカ野郎が、連絡くらい寄越せって何回も言ってんだろうが!」
「悪かったって。本当はもう少し遅くなる予定だったんだけど、アステシア先生に拾われてね。試験には間に合わないだろうと思ってたんだけど」
「おい国綱! 置き手紙だけ渡してさよならはちょっと酷いんじゃねぇの?!」
「それは……すまない……」
「レオにも挨拶するって言ってただろ」
「時間がなかったんだよ……」
「儂らには手紙すらなかったぞ!」
 積もる話に花を咲かせつつ、モニカたちは片時も集中を切らさない。賑やかに、さぞ楽しい話をしているように見えていただろう。だが、その表情は誰も彼も柔和ではなかった。戦うべき敵を見定めている。熱意を滾らせている。拳を握りしめている。そこには、仲良さげなクラスメイトの姿は存在していない。
「さぁ、そろそろ試験を始めようか」
 獄蝶のジョカの放ったその一言で一気に雰囲気が張り詰める。静まり返った訓練所に、ただ呼吸をする音だけが響いていた。どこか心地よささえ感じてしまう空気に旭は思わず口角を釣り上げる。
 どんな強敵が待っている?
 どんな魔法を駆使してくる?
 どんな戦い方をする?
 どれもこれも楽しみで仕方がない。おあずけの時間はもう限界だった。一人、二人、三人と、強者を見極めていく。そして、待ちきれずに一歩踏み出しそうになったところで、国綱に腕を引っ張られて引き止められる。
「気持ちは分かるが抑えろ。これは試験だ」
「わかってる。だからその手を離せ」
 旭は国綱の手を振りほどき、悪態をつく。数ヶ月とはいえ、国綱がいなかった期間はあまりにも長かったらしい。考え無しに突っ走ろうとする旭とレオノールの手綱を国綱が掴む、こんなお決まりのやり取りすらも懐かしく感じられた。だが、その懐かしさを感じられるほど離れていた時間があったからこそ、旭はその違和感に気がつく。
 不意に、旭は掴まれていた腕に目をやった。まだ、腕を掴まれているかのような圧力を僅かに感じる。跡がつくほど強く握り締められていたのかと、旭は数秒前のことを思い返す。
(まぁ、当然だよな)
 |強《・》|く《・》|な《・》|っ《・》|て《・》|い《・》|る《・》。少し見てなかった間に、見違えるほどに。疼く期待感を押さえつけて、旭は顔を上げて目の前を見る。はじまりの合図はもうすぐらしい。
「さぁ、正しさを示せ、若き魔法使いたち!」
 そして、モニカたちは試される。