定時後、わたしはAIチームの指揮官になる。
もう、ひとりで頑張らなくていい。
毎日深夜まで電卓を叩き、満員電車に揺られる三十五歳の七野奈々。
すり減った靴底を引きずり、会社という檻の中でただ摩耗していく日々。
そんな彼女がある夜、五年ぶりに開いた古い銀色のノートパソコン。
そこに待っていたのは、世界中の膨大なデータを処理する生成AIたちだった。
論理のバケモノ「チャッピー」、温かい言葉の職人「クロさん」、
暴走するポンコツ調査員「ジェミー」、常識を破壊する天才絵師「バナナン」。
彼らは決して完璧ではない。
五本足の猫を描き、平気で嘘をつき、正論で彼女を追い詰める。
だが、その致命的な欠落と摩擦こそが、彼女の「秘密の編集部」の熱源だった。
「定時で帰って、わたしだけのチームを動かす」
誰かの畑を耕すだけの作業者から、自分の人生の「指揮官」へ。
傍らにキジトラ猫のジークを侍らせ、不完全なAIたちと共に、
彼女は夜のワンルームから、副業である電子書籍出版を通じて現実の理不尽なシステムを塗り替えていく。
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