煤まみれの少年と、暗き灯りの少女

煤まみれの少年と、暗き灯りの少女

願うのは、ただ隣で生きること。


世界樹の死骸(いしころ)を掘り、少年は「痛み」を燃やして生きる。

奈落へと掘り進む巨大な縦穴〈世界樹炭鉱〉。

罪人の子として生まれた少年コールは、古びた外骨格アーム「ハチ」を相棒に、肺を焼く煤煙病に耐えながら石炭を掘っていた。

彼の願いはひとつだけ。
いつか父が語った「本物の青い空」を、この目で見ること。

だが現実は過酷だった。

逃げ出すための金を稼ぐには、友を失い、痛みを呑み込み、ただ下へ下へと潜るしかない。

「奈落へ逃げるほど、多くを失う」

それが、この場所の掟だった。

そんなある日、コールは炭鉱の異常域で、人ならざる少女と出会う。
暗闇で星のような瞳を輝かせ、石炭を食べ、名もなき唄を口ずさむ少女。

彼女がコールの胸に触れた瞬間、あれほど彼を苦しめていた肺の痛みは、嘘のように消えた。

コールは少女に〈エオ〉という名を与える。
絶望ばかりを燃やす世界の底で出会った二人は、互いの孤独に触れながら、炭鉱のさらに深くへと進んでいく。

沈みながらしか辿り着けない場所で、それでも誰かと繋がろうとする。

これは、喪失の底から始まる、少年と少女の再生の物語。







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