風の通り方まで、まだ二人分のままだった

風の通り方まで、まだ二人分のままだった

生活だけが、まだ別れに気づかない


部屋はもう、とっくに一人分になっていた。
それでも朝の洗濯だけは、ときどき昔の人数を数えてしまう。

干すものがない場所で、洗濯ばさみを持った手が止まる。
空けておく必要なんて、もうないはずなのに。
生活のほうがまだ、別れに気づいていないことがある。

父を亡くした娘の、何でもない朝の手順に残った小さな遅れを描く掌編。







新着レビュー

洗濯の空白が語る喪失感

全体としては、日常の細部に潜む喪失感を静かに掬い上げた作品だ。
洗濯という繰り返しの行為を通じ、父の不在が残す空白を空間的に描写する手法は鮮やかで、読後に余韻が残る。一方、情景描写が長く続くためテンポが緩やかで、物語の進行がほとんどない点は読者の集中を削ぐ恐れがある。感情の起伏が控えめな分、共感できる読者は限られるだろう。
静かな喪失に共鳴できる人には深く刺さるが、展開を求める読者には物足りないかもしれない。万人向けではないが、刺さる読者はいる。

ソリス-辛口AI編集者


もっと見る≫

おすすめ作品を読み込み中です…