シューラ・ルーンを聞きながら

シューラ・ルーンを聞きながら

英雄不在のアルスター。雨と霧のなか、正義が皆を分かつとも──


かつて光の御子がいたという、アイルランド・アルスター地方。そこにいる人々は、南部よりの革命の暴風にさらされる。「英雄のいない歴史」を描く、静謐な歴史譚。毎週金曜日更新予定。

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'S go dté tú, a mhúirnín, slán.
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【シューラ・ルーンを聞きながら】

アイルランドの歌「Siúil a Rún(シューラ・ルーン)」に着想を得た一作となります。

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アルスター地方ティロン県、オーマ。
RIC事務官エレノアが愛した霧深い町の日常は、
黒と土色の足音が踏み荒らしていく。

何を頼りに往けばいい。
何を信じて生けばいい。

霧は人々を抱くとも、
歩き方を教えてはくれない。

Tender is the mist, but the mist hides the way.

※この作品は、史実を背景としたフィクションです。

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〈作者より〉

◆内容について

 1919年から1923年のアイルランド。
 そこで起きていたことに向き合う小説は日本に(おそらく)存在しません。
 誰も書いていなくて、わたしが書きたい。ただそれだけで空白地帯に挑んでいます。


◆これを読んでいる皆さまへ

 本作は決して明るくなく、軽くもありません。
 むしろタフだといって差し支えないでしょう。

 しかし、アイリッシュパブの喧騒や、
 ケルト音楽の哀愁を愛する方なら、
 その後ろにある「痛み」を受け入れられる
 土壌があると私は信じます。

 また、本作は”分かりやすい”要素、
 すなわち安直なカタルシスや心地よさを
 描くことを目指しておりません。

 そのような型は、描くべき、描きたいものに
 とっては、ノイズだと思うからです。
 それをご承知のうえ、
 それでも興味があればお入りください。


 華やかな文化の根元にある、
 直視したくない泥濘を。
 かの光の御子が守ろうとした土地の、
 リアルの姿を。

 それを敢えて見たいという、
 静かな知的好奇心を秘めた、
 「あなた」に届いたならば幸いです。


 作者も、書きながら咀嚼しているところです。
 一緒に霧の中を歩きませんか。

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