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カタメウオを探しに

ー/ー



約束の土曜日。


虫取り網を持ったヒロは、自転車に乗ってシュウヤの家へと向かった。


シュウヤの家はヒロとコテツの家のちょうど中間あたりで、昔から三人の集合場所になることが多い。


「網か、悪くない」


家の前には、細長い布製のカバンを背負ったシュウヤが自転車を止めて既に待ち構えていた。その隣には、自転車にまたがったままスポーツドリンクをがぶ飲みしてる野球着姿のコテツ。


「着替えてこなくてよかったのか?」


ヒロはそう尋ねた。


「どうせ汚れるなら、これでいい。服汚すと母ちゃんに怒られるし」


「え、そんなサバイバル予定なの?」


不安になって、ヒロはシュウヤを見た。


「いや?今回の目撃情報があったのは普通の大きな川だし、水の中入るつもりもないから安心して」


―じゃ、行こっか。


自転車をこぎ出したシュウヤの後を、すぐにコテツが追いかける。


ヒロは少し遅れて、その後ろについて行く。


シュウヤがどこからか不思議な現象を調べてきて、それを確かめに行くのはこの三人でよくする遊びだ。


学校裏の貯め池に、公園の倒れた大木、落書きされたトンネルの中、時には廃ビルなんかも。シュウヤに連れまわされた場所は数知れない。


情報通りの不思議な現象を見たことは今まで一度だってないけれど、何かあるかもって冒険するのは、嫌いじゃない。


自転車で20分ほど走ってたどり着いたのは、地元で一番大きな河川敷のある川だった。


釣り糸を垂らしているおじさんがいつも数人はいる場所なんだけど、土曜の昼過ぎの今日、どうしてか釣り人は誰もいない。


「だれもいねーな」


コテツがつぶやく。


「そうだね。それに静かだ」


ヒロも同意して、ちらりとシュウヤの様子を伺った


「気味悪がって、普段ここで釣りしてる人たちは近づいてないんだって」


それを聞いてヒロは、今回は本当にマジのやつ?と身構えた。


自転車ごと土手を下った三人は、川べりに自転車を停めた。


するとシュウヤが、背負ってたカバンの中身を取り出す


「何持ってきたのさ」


コテツが興味深そうにシュウヤのカバンをまじまじと見る。


「釣り竿だよ。父さんのを借りて来た」


そう言って、シュウヤは慣れた様子で取り出したものを組み立て始める。


あっという間にそれは長い釣り竿になって、竿の先の紐に結んだ針に、シュウヤは持ってきたタッパーから出した小さなエビを刺した。


そして釣り糸を川へと垂らし、コテツに問いかけた。


「で、コテツは何持ってきたの」


シュウヤの本気度を感じたヒロは、自分が持ってきた虫取り網を握りしめて震えた。


―マジだ。シュウヤはマジで片目の魚を捕まえに来てる。


「ふふん!オレはこれだっ‼」


コテツが取り出したのは、見覚えのある肘まで長いゴム手袋だ。


食器洗いや風呂掃除で見かける、あれだ。


「……へぇ」


シュウヤの笑みがちょっと黒いのは、見間違いじゃないと思う。


「魚ってヌルヌルすべるだろ?それをこのゴムの力でバッとやってカッとやって捕まえる!」


「そっか……。この川、透き通っていないから水の中の様子がわからないんだけど、コテツは水面から魚を見つける、あるいは魚をおびき寄せる特殊能力があるんだね」


コテツはハッとした様子で川へ駆け寄り、水面を確認した。


「あー!何も見えねぇ。近所の川の鯉はめっちゃ見えるんだけどなぁ」


「俺、魚が釣れるって言ったよね。近所の小さい川と同じなわけないじゃん」




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約束の土曜日。
虫取り網を持ったヒロは、自転車に乗ってシュウヤの家へと向かった。
シュウヤの家はヒロとコテツの家のちょうど中間あたりで、昔から三人の集合場所になることが多い。
「網か、悪くない」
家の前には、細長い布製のカバンを背負ったシュウヤが自転車を止めて既に待ち構えていた。その隣には、自転車にまたがったままスポーツドリンクをがぶ飲みしてる野球着姿のコテツ。
「着替えてこなくてよかったのか?」
ヒロはそう尋ねた。
「どうせ汚れるなら、これでいい。服汚すと母ちゃんに怒られるし」
「え、そんなサバイバル予定なの?」
不安になって、ヒロはシュウヤを見た。
「いや?今回の目撃情報があったのは普通の大きな川だし、水の中入るつもりもないから安心して」
―じゃ、行こっか。
自転車をこぎ出したシュウヤの後を、すぐにコテツが追いかける。
ヒロは少し遅れて、その後ろについて行く。
シュウヤがどこからか不思議な現象を調べてきて、それを確かめに行くのはこの三人でよくする遊びだ。
学校裏の貯め池に、公園の倒れた大木、落書きされたトンネルの中、時には廃ビルなんかも。シュウヤに連れまわされた場所は数知れない。
情報通りの不思議な現象を見たことは今まで一度だってないけれど、何かあるかもって冒険するのは、嫌いじゃない。
自転車で20分ほど走ってたどり着いたのは、地元で一番大きな河川敷のある川だった。
釣り糸を垂らしているおじさんがいつも数人はいる場所なんだけど、土曜の昼過ぎの今日、どうしてか釣り人は誰もいない。
「だれもいねーな」
コテツがつぶやく。
「そうだね。それに静かだ」
ヒロも同意して、ちらりとシュウヤの様子を伺った
「気味悪がって、普段ここで釣りしてる人たちは近づいてないんだって」
それを聞いてヒロは、今回は本当にマジのやつ?と身構えた。
自転車ごと土手を下った三人は、川べりに自転車を停めた。
するとシュウヤが、背負ってたカバンの中身を取り出す
「何持ってきたのさ」
コテツが興味深そうにシュウヤのカバンをまじまじと見る。
「釣り竿だよ。父さんのを借りて来た」
そう言って、シュウヤは慣れた様子で取り出したものを組み立て始める。
あっという間にそれは長い釣り竿になって、竿の先の紐に結んだ針に、シュウヤは持ってきたタッパーから出した小さなエビを刺した。
そして釣り糸を川へと垂らし、コテツに問いかけた。
「で、コテツは何持ってきたの」
シュウヤの本気度を感じたヒロは、自分が持ってきた虫取り網を握りしめて震えた。
―マジだ。シュウヤはマジで片目の魚を捕まえに来てる。
「ふふん!オレはこれだっ‼」
コテツが取り出したのは、見覚えのある肘まで長いゴム手袋だ。
食器洗いや風呂掃除で見かける、あれだ。
「……へぇ」
シュウヤの笑みがちょっと黒いのは、見間違いじゃないと思う。
「魚ってヌルヌルすべるだろ?それをこのゴムの力でバッとやってカッとやって捕まえる!」
「そっか……。この川、透き通っていないから水の中の様子がわからないんだけど、コテツは水面から魚を見つける、あるいは魚をおびき寄せる特殊能力があるんだね」
コテツはハッとした様子で川へ駆け寄り、水面を確認した。
「あー!何も見えねぇ。近所の川の鯉はめっちゃ見えるんだけどなぁ」
「俺、魚が釣れるって言ったよね。近所の小さい川と同じなわけないじゃん」