4.桜
ー/ー「空澄さん……だったんですね」
ずっと探していた想いが、空澄さんだとわかるとカタチがぴったり嵌ったように、気持ちが晴れやかになった。
「俺も、正直驚いたよ」
「時間の違う世界でお互い暮らしていても、こうやって出逢えちゃうなんて……」
「神様が俺らを導いたのかもしれないな」
神様が、こんな私を空澄さんと出会うために導いてくれた? だと良いな。
すると空澄さんは、腕に付けていたものを見て嬉しそうにこう言った。まるで何かを期待して待っていたかのようだ。
「冴耶、今日は少し出掛けようか。久しぶりに雪が降ったおかげて外の見回りをしていたアンドロイドたちが故障して一時停止しているみたいなんだ。もし何かあったら、冴耶は俺が守るから」
最後の言葉に少しドキッとしたまま、私は差し出す手を握った。
昔、あの人だった空澄さんと手を繋いで外を歩いた記憶が蘇る。
とても寒く、昔の私は凍えて死にそうでひとりでしゃがんでいた時、空澄さんが優しく手を握ってくれて、一気に温まる感じがした。大きな手は温かくて、優しく握ってくれる。ずっと握って居たいぐらいだった。
それは今も変わらなく、この手に包まれていたらどんなことでも大丈夫、安心して、と言ってくれるかのように心さえ温まる。
五歳なんてまだ恋も知らない年のはずなのに、何故かあの時から空澄さんは他の人とは違う感覚がする。
頭を出して外を覗いてみるけれど、何処にもアンドロイドの姿は見えない。
太陽の眩しさが辺りを照らし、元の日本に戻ったように美しい。
キョロキョロと辺りをもう一度確認した後、空澄さんに続いて外に体を出す。
「どこに行くんですか?」
「それはお楽しみだよ。もしまた逢えたら連れて行ってあげたいところだったんだ」
一応すべてのアンドロイドが止まっているけれど、一体でも生き残ていたら生き残れるかわからない。私はそう考えていたとき、空澄さんも同じことを考えていたのか早歩きで身を隠しながら進んでいった。
以心伝心しているようで、私たちの動きが合いすぎて少し面白い。
そのまま警戒を緩めることなく空澄さんについて行った__。
案外近くにあったようで、十分すれば「ここだよ」と空澄さんはドームのような建物に指差していた。
無人の建物なので、中に入るためのお金や証明書は必要ない。
私がいつもいる時間軸では、お金は絶対いるしパスポートを作らないといけないところもあってややこしかった。
そう考えると、寂しいというより楽でいいな。傍に、空澄さんもいるし。
いつの間にか私の中にあった恋心は、空澄さんと居るといつもドキドキとして、上手く話せていないかもしれない。五
歳の時からずっと追いかけてた恋は、時間軸が違うところで生きている人。もしかしたら、この恋は実る事は出来ないのかもしれない__?
「冴耶? どうしたの? 何処か具合悪い?」
ボーっとしていたようで、空澄さんは考え込む私を心配してくれていた。
覗き込む顔が近いと思った瞬間、顔が熱くなるのが分かる。
「大丈夫、ちょっと考え事を」
すると、ポンと頭に手を乗せて私を撫でる。
「早く元の時間の世界に戻りたいよね。こんな世界いない方がいい。俺も、もうすぐいなくなるだろうし」
もうすぐいなくなるだろうし……? どういう事なんだろう。
少し寂しそうな空澄さんの瞳は、やっぱり変わりない。
このお出かけ……というかデートなのかな? このデート終わったら、何か相談でものってあげられないだろうか。
ドームの中に入ると、薄暗い広い場所だった。
何が置いてあるのか、ぎりぎり見えず、ただ大きくて背の高い何かが沢山あるのがわかる。
「目を瞑ってて」
空澄さんはそう言うと、遠くなる足音が聞こえた。
どこかに行ったらしい。
取り合えず私は言われた通り目を瞑った。
数分して、近づいてくる足音が聞こえたときには、目を瞑っていてもほんのりと明かりがついたのがわかった。
いつまで目を瞑っているのだろうと少し不安になっていると、手に温かみを感じ始める。
空澄さんが、手を握っていたのだ。
そして、目を瞑り手を握られたまま何処かに歩いていく。
「もう開けていいよ」
歩いている途中でそう言われ、足を止めてゆっくりを目を開いた。
光が段々と差し込んでいく。
目を開き終わったときには、淡い桃色の小さな花が沢山の木に咲いている、美しい風景が広がっていた。
まだ冬で、桜が咲くに早い時期なはずなのに、今、目の前に満開に咲いている。
言葉に表せないほど綺麗で、心が淡い桃色によって濁りが無くなる。落ち着ける。
「凄く綺麗……」
見れば見るほど感じられる儚げや華やかさは、まだ冬のはずなのに春を表している。
少し透明感があり、何故だか自然と涙が出てきそうだ。
「此処はアンドロイドに支配される少し前、ある科学者がどんな季節でも違う季節を味わえるようにと、この施設を作った。その人は、春夏秋冬すべての季節が完成する前にアンドロイドに殺された。そして、春だけがきちんと完成したまま残されてしまったんだ」
未来には、こんな発明もされているんだ……。
時代が流れるにつれ、この桜も咲いて枯れてまた咲いてを繰り返している。
この桜がもし他の場所から植えなおしたものなら、何十年も、もしかしたら私たちよりも時を重ねているのかもしれない。
そう考えたらすごいなぁ、桜って。桜だけじゃない植物たちもだけど。
「私、こんな素敵なものを見せてくれた空澄さんに何をお礼したら……」
空澄さんは、私の言った言葉の返しに悩んだのか、うーんと少し考える。
考えている姿は、何を考えているのかわからないけど、たまに首を振って考え直す感じになっていたり、顔を両手で隠したりと、かっこいいところがほとんどだけど、案外可愛らしい一面もあるらしい。
空澄さんは、ふぅと一息ついてから、私の方を見た。顔が少し赤くなっている。
きっと私もそうだろう。
ドキドキと鼓動が何故かうるさくなっていく。心臓を落ち着かせるために目を瞑って胸に手を当てた。
ドクンドクンの響く鼓動は、何かを予感しているように感じる。
私のどこかで何かを期待しているのだろうか。何か恥ずかしいな。
そして落ち着いたかなと目を開こうとした。
その瞬間、唇に何かが触れた。
驚いて少し目を開くと、私は今、空澄さんと口付けをしていた。
綺麗な空澄さんとの距離が、今は〇メートルになっている。
落ち着いたはずの鼓動はまたうるさくなっていく。
恥ずかしいようで嬉しいようで、困惑した気持ちが混ざり合う。
唇が離れると、空澄さんは恥ずかしそうな顔をしながら、「ごめん」と言った。
さっき一瞬だったけれど、大好きな人と、く、口付けしてたんだ……。
一気に顔が赤くなっていることがわかってしまう。
「冴耶、」
「は、はいっ」
恥ずかしくて、上手く声が出ない。
緊張しながら、空澄さんの方を見た。
すると、彼はこう言った。
「俺は、キミが好きだ。まだ会って数日だけど、五歳の冴耶と出逢った時から、何か特別なものを感じて、五歳の冴耶が少し今のキミに見えた。その時から、好きになってしまったんだ」
桜の花びらが、建物に設定された風によって流れていく。
私と彼を、桜の花びらがほんのり包んでいた。
ずっと探していた想いが、空澄さんだとわかるとカタチがぴったり嵌ったように、気持ちが晴れやかになった。
「俺も、正直驚いたよ」
「時間の違う世界でお互い暮らしていても、こうやって出逢えちゃうなんて……」
「神様が俺らを導いたのかもしれないな」
神様が、こんな私を空澄さんと出会うために導いてくれた? だと良いな。
すると空澄さんは、腕に付けていたものを見て嬉しそうにこう言った。まるで何かを期待して待っていたかのようだ。
「冴耶、今日は少し出掛けようか。久しぶりに雪が降ったおかげて外の見回りをしていたアンドロイドたちが故障して一時停止しているみたいなんだ。もし何かあったら、冴耶は俺が守るから」
最後の言葉に少しドキッとしたまま、私は差し出す手を握った。
昔、あの人だった空澄さんと手を繋いで外を歩いた記憶が蘇る。
とても寒く、昔の私は凍えて死にそうでひとりでしゃがんでいた時、空澄さんが優しく手を握ってくれて、一気に温まる感じがした。大きな手は温かくて、優しく握ってくれる。ずっと握って居たいぐらいだった。
それは今も変わらなく、この手に包まれていたらどんなことでも大丈夫、安心して、と言ってくれるかのように心さえ温まる。
五歳なんてまだ恋も知らない年のはずなのに、何故かあの時から空澄さんは他の人とは違う感覚がする。
頭を出して外を覗いてみるけれど、何処にもアンドロイドの姿は見えない。
太陽の眩しさが辺りを照らし、元の日本に戻ったように美しい。
キョロキョロと辺りをもう一度確認した後、空澄さんに続いて外に体を出す。
「どこに行くんですか?」
「それはお楽しみだよ。もしまた逢えたら連れて行ってあげたいところだったんだ」
一応すべてのアンドロイドが止まっているけれど、一体でも生き残ていたら生き残れるかわからない。私はそう考えていたとき、空澄さんも同じことを考えていたのか早歩きで身を隠しながら進んでいった。
以心伝心しているようで、私たちの動きが合いすぎて少し面白い。
そのまま警戒を緩めることなく空澄さんについて行った__。
案外近くにあったようで、十分すれば「ここだよ」と空澄さんはドームのような建物に指差していた。
無人の建物なので、中に入るためのお金や証明書は必要ない。
私がいつもいる時間軸では、お金は絶対いるしパスポートを作らないといけないところもあってややこしかった。
そう考えると、寂しいというより楽でいいな。傍に、空澄さんもいるし。
いつの間にか私の中にあった恋心は、空澄さんと居るといつもドキドキとして、上手く話せていないかもしれない。五
歳の時からずっと追いかけてた恋は、時間軸が違うところで生きている人。もしかしたら、この恋は実る事は出来ないのかもしれない__?
「冴耶? どうしたの? 何処か具合悪い?」
ボーっとしていたようで、空澄さんは考え込む私を心配してくれていた。
覗き込む顔が近いと思った瞬間、顔が熱くなるのが分かる。
「大丈夫、ちょっと考え事を」
すると、ポンと頭に手を乗せて私を撫でる。
「早く元の時間の世界に戻りたいよね。こんな世界いない方がいい。俺も、もうすぐいなくなるだろうし」
もうすぐいなくなるだろうし……? どういう事なんだろう。
少し寂しそうな空澄さんの瞳は、やっぱり変わりない。
このお出かけ……というかデートなのかな? このデート終わったら、何か相談でものってあげられないだろうか。
ドームの中に入ると、薄暗い広い場所だった。
何が置いてあるのか、ぎりぎり見えず、ただ大きくて背の高い何かが沢山あるのがわかる。
「目を瞑ってて」
空澄さんはそう言うと、遠くなる足音が聞こえた。
どこかに行ったらしい。
取り合えず私は言われた通り目を瞑った。
数分して、近づいてくる足音が聞こえたときには、目を瞑っていてもほんのりと明かりがついたのがわかった。
いつまで目を瞑っているのだろうと少し不安になっていると、手に温かみを感じ始める。
空澄さんが、手を握っていたのだ。
そして、目を瞑り手を握られたまま何処かに歩いていく。
「もう開けていいよ」
歩いている途中でそう言われ、足を止めてゆっくりを目を開いた。
光が段々と差し込んでいく。
目を開き終わったときには、淡い桃色の小さな花が沢山の木に咲いている、美しい風景が広がっていた。
まだ冬で、桜が咲くに早い時期なはずなのに、今、目の前に満開に咲いている。
言葉に表せないほど綺麗で、心が淡い桃色によって濁りが無くなる。落ち着ける。
「凄く綺麗……」
見れば見るほど感じられる儚げや華やかさは、まだ冬のはずなのに春を表している。
少し透明感があり、何故だか自然と涙が出てきそうだ。
「此処はアンドロイドに支配される少し前、ある科学者がどんな季節でも違う季節を味わえるようにと、この施設を作った。その人は、春夏秋冬すべての季節が完成する前にアンドロイドに殺された。そして、春だけがきちんと完成したまま残されてしまったんだ」
未来には、こんな発明もされているんだ……。
時代が流れるにつれ、この桜も咲いて枯れてまた咲いてを繰り返している。
この桜がもし他の場所から植えなおしたものなら、何十年も、もしかしたら私たちよりも時を重ねているのかもしれない。
そう考えたらすごいなぁ、桜って。桜だけじゃない植物たちもだけど。
「私、こんな素敵なものを見せてくれた空澄さんに何をお礼したら……」
空澄さんは、私の言った言葉の返しに悩んだのか、うーんと少し考える。
考えている姿は、何を考えているのかわからないけど、たまに首を振って考え直す感じになっていたり、顔を両手で隠したりと、かっこいいところがほとんどだけど、案外可愛らしい一面もあるらしい。
空澄さんは、ふぅと一息ついてから、私の方を見た。顔が少し赤くなっている。
きっと私もそうだろう。
ドキドキと鼓動が何故かうるさくなっていく。心臓を落ち着かせるために目を瞑って胸に手を当てた。
ドクンドクンの響く鼓動は、何かを予感しているように感じる。
私のどこかで何かを期待しているのだろうか。何か恥ずかしいな。
そして落ち着いたかなと目を開こうとした。
その瞬間、唇に何かが触れた。
驚いて少し目を開くと、私は今、空澄さんと口付けをしていた。
綺麗な空澄さんとの距離が、今は〇メートルになっている。
落ち着いたはずの鼓動はまたうるさくなっていく。
恥ずかしいようで嬉しいようで、困惑した気持ちが混ざり合う。
唇が離れると、空澄さんは恥ずかしそうな顔をしながら、「ごめん」と言った。
さっき一瞬だったけれど、大好きな人と、く、口付けしてたんだ……。
一気に顔が赤くなっていることがわかってしまう。
「冴耶、」
「は、はいっ」
恥ずかしくて、上手く声が出ない。
緊張しながら、空澄さんの方を見た。
すると、彼はこう言った。
「俺は、キミが好きだ。まだ会って数日だけど、五歳の冴耶と出逢った時から、何か特別なものを感じて、五歳の冴耶が少し今のキミに見えた。その時から、好きになってしまったんだ」
桜の花びらが、建物に設定された風によって流れていく。
私と彼を、桜の花びらがほんのり包んでいた。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
「空澄さん……だったんですね」
ずっと探していた想いが、空澄さんだとわかるとカタチがぴったり嵌ったように、気持ちが晴れやかになった。
「俺も、正直驚いたよ」
「時間の違う世界でお互い暮らしていても、こうやって出逢えちゃうなんて……」
「神様が俺らを導いたのかもしれないな」
神様が、こんな私を空澄さんと出会うために導いてくれた? だと良いな。
すると空澄さんは、腕に付けていたものを見て嬉しそうにこう言った。まるで何かを期待して待っていたかのようだ。
すると空澄さんは、腕に付けていたものを見て嬉しそうにこう言った。まるで何かを期待して待っていたかのようだ。
「冴耶、今日は少し出掛けようか。久しぶりに雪が降ったおかげて外の見回りをしていたアンドロイドたちが故障して一時停止しているみたいなんだ。もし何かあったら、冴耶は俺が守るから」
最後の言葉に少しドキッとしたまま、私は差し出す手を握った。
昔、あの人だった空澄さんと手を繋いで外を歩いた記憶が蘇る。
とても寒く、昔の私は凍えて死にそうでひとりでしゃがんでいた時、空澄さんが優しく手を握ってくれて、一気に温まる感じがした。大きな手は温かくて、優しく握ってくれる。ずっと握って居たいぐらいだった。
それは今も変わらなく、この手に包まれていたらどんなことでも大丈夫、安心して、と言ってくれるかのように心さえ温まる。
五歳なんてまだ恋も知らない年のはずなのに、何故かあの時から空澄さんは他の人とは違う感覚がする。
とても寒く、昔の私は凍えて死にそうでひとりでしゃがんでいた時、空澄さんが優しく手を握ってくれて、一気に温まる感じがした。大きな手は温かくて、優しく握ってくれる。ずっと握って居たいぐらいだった。
それは今も変わらなく、この手に包まれていたらどんなことでも大丈夫、安心して、と言ってくれるかのように心さえ温まる。
五歳なんてまだ恋も知らない年のはずなのに、何故かあの時から空澄さんは他の人とは違う感覚がする。
頭を出して外を覗いてみるけれど、何処にもアンドロイドの姿は見えない。
太陽の眩しさが辺りを照らし、元の日本に戻ったように美しい。
キョロキョロと辺りをもう一度確認した後、空澄さんに続いて外に体を出す。
キョロキョロと辺りをもう一度確認した後、空澄さんに続いて外に体を出す。
「どこに行くんですか?」
「それはお楽しみだよ。もしまた逢えたら連れて行ってあげたいところだったんだ」
一応すべてのアンドロイドが止まっているけれど、一体でも生き残ていたら生き残れるかわからない。私はそう考えていたとき、空澄さんも同じことを考えていたのか早歩きで身を隠しながら進んでいった。
以心伝心しているようで、私たちの動きが合いすぎて少し面白い。
そのまま警戒を緩めることなく空澄さんについて行った__。
以心伝心しているようで、私たちの動きが合いすぎて少し面白い。
そのまま警戒を緩めることなく空澄さんについて行った__。
案外近くにあったようで、十分すれば「ここだよ」と空澄さんはドームのような建物に指差していた。
無人の建物なので、中に入るためのお金や証明書は必要ない。
私がいつもいる時間軸では、お金は絶対いるしパスポートを作らないといけないところもあってややこしかった。
そう考えると、寂しいというより楽でいいな。傍に、空澄さんもいるし。
いつの間にか私の中にあった恋心は、空澄さんと居るといつもドキドキとして、上手く話せていないかもしれない。五
歳の時からずっと追いかけてた恋は、時間軸が違うところで生きている人。もしかしたら、この恋は実る事は出来ないのかもしれない__?
無人の建物なので、中に入るためのお金や証明書は必要ない。
私がいつもいる時間軸では、お金は絶対いるしパスポートを作らないといけないところもあってややこしかった。
そう考えると、寂しいというより楽でいいな。傍に、空澄さんもいるし。
いつの間にか私の中にあった恋心は、空澄さんと居るといつもドキドキとして、上手く話せていないかもしれない。五
歳の時からずっと追いかけてた恋は、時間軸が違うところで生きている人。もしかしたら、この恋は実る事は出来ないのかもしれない__?
「冴耶? どうしたの? 何処か具合悪い?」
ボーっとしていたようで、空澄さんは考え込む私を心配してくれていた。
覗き込む顔が近いと思った瞬間、顔が熱くなるのが分かる。
覗き込む顔が近いと思った瞬間、顔が熱くなるのが分かる。
「大丈夫、ちょっと考え事を」
すると、ポンと頭に手を乗せて私を撫でる。
「早く元の時間の世界に戻りたいよね。こんな世界いない方がいい。俺も、もうすぐいなくなるだろうし」
もうすぐいなくなるだろうし……? どういう事なんだろう。
少し寂しそうな空澄さんの瞳は、やっぱり変わりない。
このお出かけ……というかデートなのかな? このデート終わったら、何か相談でものってあげられないだろうか。
少し寂しそうな空澄さんの瞳は、やっぱり変わりない。
このお出かけ……というかデートなのかな? このデート終わったら、何か相談でものってあげられないだろうか。
ドームの中に入ると、薄暗い広い場所だった。
何が置いてあるのか、ぎりぎり見えず、ただ大きくて背の高い何かが沢山あるのがわかる。
何が置いてあるのか、ぎりぎり見えず、ただ大きくて背の高い何かが沢山あるのがわかる。
「目を瞑ってて」
空澄さんはそう言うと、遠くなる足音が聞こえた。
どこかに行ったらしい。
取り合えず私は言われた通り目を瞑った。
どこかに行ったらしい。
取り合えず私は言われた通り目を瞑った。
数分して、近づいてくる足音が聞こえたときには、目を瞑っていてもほんのりと明かりがついたのがわかった。
いつまで目を瞑っているのだろうと少し不安になっていると、手に温かみを感じ始める。
空澄さんが、手を握っていたのだ。
そして、目を瞑り手を握られたまま何処かに歩いていく。
いつまで目を瞑っているのだろうと少し不安になっていると、手に温かみを感じ始める。
空澄さんが、手を握っていたのだ。
そして、目を瞑り手を握られたまま何処かに歩いていく。
「もう開けていいよ」
歩いている途中でそう言われ、足を止めてゆっくりを目を開いた。
光が段々と差し込んでいく。
目を開き終わったときには、淡い桃色の小さな花が沢山の木に咲いている、美しい風景が広がっていた。
まだ冬で、桜が咲くに早い時期なはずなのに、今、目の前に満開に咲いている。
言葉に表せないほど綺麗で、心が淡い桃色によって濁りが無くなる。落ち着ける。
「凄く綺麗……」
見れば見るほど感じられる儚げや華やかさは、まだ冬のはずなのに春を表している。
少し透明感があり、何故だか自然と涙が出てきそうだ。
少し透明感があり、何故だか自然と涙が出てきそうだ。
「此処はアンドロイドに支配される少し前、ある科学者がどんな季節でも違う季節を味わえるようにと、この施設を作った。その人は、春夏秋冬すべての季節が完成する前にアンドロイドに殺された。そして、春だけがきちんと完成したまま残されてしまったんだ」
未来には、こんな発明もされているんだ……。
時代が流れるにつれ、この桜も咲いて枯れてまた咲いてを繰り返している。
この桜がもし他の場所から植えなおしたものなら、何十年も、もしかしたら私たちよりも時を重ねているのかもしれない。
そう考えたらすごいなぁ、桜って。桜だけじゃない植物たちもだけど。
この桜がもし他の場所から植えなおしたものなら、何十年も、もしかしたら私たちよりも時を重ねているのかもしれない。
そう考えたらすごいなぁ、桜って。桜だけじゃない植物たちもだけど。
「私、こんな素敵なものを見せてくれた空澄さんに何をお礼したら……」
空澄さんは、私の言った言葉の返しに悩んだのか、うーんと少し考える。
考えている姿は、何を考えているのかわからないけど、たまに首を振って考え直す感じになっていたり、顔を両手で隠したりと、かっこいいところがほとんどだけど、案外可愛らしい一面もあるらしい。
空澄さんは、ふぅと一息ついてから、私の方を見た。顔が少し赤くなっている。
きっと私もそうだろう。
ドキドキと鼓動が何故かうるさくなっていく。心臓を落ち着かせるために目を瞑って胸に手を当てた。
ドクンドクンの響く鼓動は、何かを予感しているように感じる。
私のどこかで何かを期待しているのだろうか。何か恥ずかしいな。
空澄さんは、ふぅと一息ついてから、私の方を見た。顔が少し赤くなっている。
きっと私もそうだろう。
ドキドキと鼓動が何故かうるさくなっていく。心臓を落ち着かせるために目を瞑って胸に手を当てた。
ドクンドクンの響く鼓動は、何かを予感しているように感じる。
私のどこかで何かを期待しているのだろうか。何か恥ずかしいな。
そして落ち着いたかなと目を開こうとした。
その瞬間、唇に何かが触れた。
その瞬間、唇に何かが触れた。
驚いて少し目を開くと、私は今、空澄さんと口付けをしていた。
綺麗な空澄さんとの距離が、今は〇メートルになっている。
落ち着いたはずの鼓動はまたうるさくなっていく。
恥ずかしいようで嬉しいようで、困惑した気持ちが混ざり合う。
綺麗な空澄さんとの距離が、今は〇メートルになっている。
落ち着いたはずの鼓動はまたうるさくなっていく。
恥ずかしいようで嬉しいようで、困惑した気持ちが混ざり合う。
唇が離れると、空澄さんは恥ずかしそうな顔をしながら、「ごめん」と言った。
さっき一瞬だったけれど、大好きな人と、く、口付けしてたんだ……。
一気に顔が赤くなっていることがわかってしまう。
さっき一瞬だったけれど、大好きな人と、く、口付けしてたんだ……。
一気に顔が赤くなっていることがわかってしまう。
「冴耶、」
「は、はいっ」
恥ずかしくて、上手く声が出ない。
緊張しながら、空澄さんの方を見た。
すると、彼はこう言った。
緊張しながら、空澄さんの方を見た。
すると、彼はこう言った。
「俺は、キミが好きだ。まだ会って数日だけど、五歳の冴耶と出逢った時から、何か特別なものを感じて、五歳の冴耶が少し今のキミに見えた。その時から、好きになってしまったんだ」
桜の花びらが、建物に設定された風によって流れていく。
私と彼を、桜の花びらがほんのり包んでいた。