電話を切って、ふと窓に目をやる。
外は相変わらず一面の銀世界だった。雪がすべてを覆い尽くして、幻想のように美しい冬の光景。
だからと言って、降りつもる雪は『美しくない』ものを消したわけでも何でもない。ただ見えないように隠しているだけだ。春になって雪が
融けたら、また元通りの日常が戻って来る。
透はここで冬を越した経験はないが、その筈だ。
自分より遥かに優秀な妹に、複雑な気分もなくはなかった。だからこそ、いざ彼女が自分には指の先さえ届かなかった夢に大きく近づいたことを知ったら、薄暗い思いを抱いてしまうかもしれない、という危惧が拭えなかった。本音を言えば、今の今まで。
身の内に確かに存在した、少しずつ積もった醜い
何かはいつの間にかどこにも見つけられなくなっていた。外の景色とは違い、隠されているうちに綺麗に消え去っていたらしい。
他人事のようにそう考えているのが不思議なほどだ。
──純粋に、心の底から妹を祝福できた己を、ひっそりと誇りに思う。
「よーし、思い切って掃除するか! まずはゴミ集めて分別しないと。……大掃除ってなんで冬なんだろ。絶対夏の方が効率良いのにさ」
ぶつぶつと呟きながらも、透は布団から出て着替えるとごみ袋を取りにキッチンへ向かった。
~END~