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君の好きを響かせて

ー/ー



夜の森の奥で、ピアノの音が響いている。そのピアノの音色は綺麗であり、のびのびとしており、とても独創的だった。その旋律を聞いていると、まるで幻想世界の住人になったかのような気分になる。

 月明かりに照らされて伴奏を続けている演奏者、それはシロクマだった。かつてこの森に独り訪れた少女が、自分の思いのままに弾き続けたオリジナルの曲を弾いていた。

 シロクマはこの曲が大好きだった。少女が森からいなくなって1週間が経ち、3ヶ月が経ち、そして10年と経った今でも、この曲目を演奏し続けている。シロクマはこの曲を奏でる度に、少女のことを偲び思った。


 あの子は今、何をしているのだろう?
 あんなにピアノが上手だったのだから、どこかでまたピアノを演奏しているだろうか?
 それともあの日の夜に宣言した通り、ピアノなんてもう止めてしまっているだろうか? 
 
 シロクマは伴奏を続け、少女を想い続ける。


 あの子には今友達がいるのだろうか?
 自分の『好き』を分かち合える友達を見つけることができただろうか?
 あの子はもう、孤独ではないだろうか?


 月の夜にピアノが響く中、様々な想念がシロクマの頭の中を(よぎ)る。けれどその答えを明確にすることは、もはやシロクマにはできなかった。


 そういえば、あの子の名前も聞いてなかったな。
 あんなに素敵な演奏をできる子なんだから、名前ぐらい聞いておけば良かった。
 僕のことなんて、あの子はもうとっくに忘れているだろうか?

 
 夜の冷たい風が、シロクマの体にそよいでいく。
 そしてやはり、シロクマは孤独を感じたのだった。

 それでもシロクマは彼女の曲を奏で続けた。それはただ、あの子が作った曲がいつまでも変わることなく、ずっと大好きだったから。

 そしてシロクマは姿を消した少女に願い続ける。その長年募らせてきた思いは、あの日少女が去っていった夜からずっと変わらない。シロクマはただその願いが叶うことを祈り、ピアノを弾き続けている。そして少女が作った名もなき曲に、シロクマは名前を付けたのだった。






『君の好きを響かせて』


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夜の森の奥で、ピアノの音が響いている。そのピアノの音色は綺麗であり、のびのびとしており、とても独創的だった。その旋律を聞いていると、まるで幻想世界の住人になったかのような気分になる。
 月明かりに照らされて伴奏を続けている演奏者、それはシロクマだった。かつてこの森に独り訪れた少女が、自分の思いのままに弾き続けたオリジナルの曲を弾いていた。
 シロクマはこの曲が大好きだった。少女が森からいなくなって1週間が経ち、3ヶ月が経ち、そして10年と経った今でも、この曲目を演奏し続けている。シロクマはこの曲を奏でる度に、少女のことを偲び思った。
 あの子は今、何をしているのだろう?
 あんなにピアノが上手だったのだから、どこかでまたピアノを演奏しているだろうか?
 それともあの日の夜に宣言した通り、ピアノなんてもう止めてしまっているだろうか? 
 シロクマは伴奏を続け、少女を想い続ける。
 あの子には今友達がいるのだろうか?
 自分の『好き』を分かち合える友達を見つけることができただろうか?
 あの子はもう、孤独ではないだろうか?
 月の夜にピアノが響く中、様々な想念がシロクマの頭の中を過《よぎ》る。けれどその答えを明確にすることは、もはやシロクマにはできなかった。
 そういえば、あの子の名前も聞いてなかったな。
 あんなに素敵な演奏をできる子なんだから、名前ぐらい聞いておけば良かった。
 僕のことなんて、あの子はもうとっくに忘れているだろうか?
 夜の冷たい風が、シロクマの体にそよいでいく。
 そしてやはり、シロクマは孤独を感じたのだった。
 それでもシロクマは彼女の曲を奏で続けた。それはただ、あの子が作った曲がいつまでも変わることなく、ずっと大好きだったから。
 そしてシロクマは姿を消した少女に願い続ける。その長年募らせてきた思いは、あの日少女が去っていった夜からずっと変わらない。シロクマはただその願いが叶うことを祈り、ピアノを弾き続けている。そして少女が作った名もなき曲に、シロクマは名前を付けたのだった。
『君の好きを響かせて』