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作者: 理乃碧王





3話:爆誕! その名もオディオ武地也ッ! どうなるギャル神輿ッ?!

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 武地也がプリヤの前に立ち塞がった。
 いや『立ち塞がってしまった』という言葉が適切であろう。
 男である、学生プロレス出身である、プロレスラーの卵である。

 更
 に
 は
 !

 紺色の法被を着た危ないヤツ!

 『ザ・イエロー・シャーマン』!

 何ていったって、フォークを自分の額に突き刺すヤツだ!
 しかも、いきなり想像の斜め上! 180度明後日の方向の感情をぶつけてきた!

 武地也がいかに『純粋な愛』を持っていたとしても――。

「な、何よあれ……」

「い、いきなり自分の額にフォークを突き刺したわよ!」

 神輿を担ぐギャル達はドン引きするのは当たり前。

「アカン! なんやあいつ!」

「ヤバすぎるでオマ!」

「兄ちゃん、何を力んでるんや(その目は優しかった)」

「コレは教育やろなあ」

 と浪速の人々もドン引きするのは当たり前。

「ワ、ワッショイ……」

 そして、プリヤもドン引きするのは当たり前。

 当たり前!
 当たり前!
 当たり前体操である!

 そ
 し
 て
 ッ
 !

 自然と起こるのは……。

「きっしょい!」

 の言葉。

 そ
 れ
 に
 合
 わ
 せ
 て
 !

 きっしょい! きっしょい! きっしょい!
 きっしょい! きっしょい! きっしょい!
 きっしょい! きっしょい! きっしょい!

 わっしょいコールが――。

 きっしょい! きっしょい! きっしょい!
 きっしょい! きっしょい! きっしょい!
 きっしょい! きっしょい! きっしょい!

 きっしょいコールへと様変わりするッ!

「う、うう……」

 哀れ武地也は、

「雄吼吼吼吼吼吼吼吼吼吼吼吼吼吼吼!」

 額から大量出血をしての大号泣!
 それもそのはず!

「キッショイ!」

 きっしょいコールにプリヤの「キッショイ!」も含まれていたからだ!
 愛をドストレートに伝えたものの!
 拒まれ! 嫌がれ! 否定された!

 どうする?
 どうする武地也!
 愛を無くした男はこう述べるしかないのだ!

「愛などいらぬ!」

 と!
 増悪入り混じった黒き感情!
 歪んだ赤き炎が心に灯る!

「プリヤ、ボンバイエ!」

 武地也は言った!

 ボ

 ン

 バ

 イ

 エ

 !

 と!

 ボンバイエ。
 ザイール(現・コンゴ民主共和国)で用いられるリンガラ語で「ぶっ殺せ」「やっちまえ」の意味を持つ。
 つまり、武地也は愛よりも憎しみを選んでしまったのだ!

「今日から俺は『ザ・イエロー・シャーマン』を捨てる!」

 憎しみを選んだ武地也は――。

「今日より俺、いや私は『ザ・グレート・サタン』!」

 額から流れる血を使い血化粧を施し!
 クマドリを作り出す!

「オディオ武地也にギミックチェンジだ!」

 オディオ! それは憎しみを意味する!

 従
 っ
 て
 !

 武地也は『オディオ武地也』と変貌したのであった!

 オ

 デ

 ィ

 オ

 武

 地

 也

 爆

 誕

 ッ

 !

「フハハハハハ!」

 両手を掲げドヤ顔のオディオ武地也。
 そんな彼の前に見物人の男が現れた。

「アホか、オディオつけただけやないか」

 彼の名前は山田龍馬、年齢は25歳。
 関西一帯を縄張りとする『牛若丸空手塾』の黒帯(段位は三段)である。
 フルコンタクト空手の各種大会で優勝しており、地元の十三では『阪急のゴッドハンド』と呼ばれる。

「ワ、ワッショイ?」

 プリヤはこのあんちゃんのことは知らない。
 その界隈(阪急、十三駅一帯)でしか有名なだけだからだ、哀しいね。

「おう、ギャル神輿で目の保養してるのに邪魔すんなや」
「誰だ貴様は?」
「阪急のゴッドハンド! 山田龍馬や!」
「誰だよ……何にせよ、消えてもらうがな」

 オディオ武地也は右手を貫手の形へと変える。
 そう、得意の『地獄突き』の体制へと入ったのだ。

「それ、ひょっとして空手?」

 対する龍馬はバカにしたような顔となった。
 そして、リズミカルにステップを刻む。
 オディオ武地也の構えから『なんちゃって空手』であることを見抜いたのだ。

「そのガマ・オテナなウソ空手でワイを――」

 イキる龍馬!

「倒せると思ったら大間違いや!」

 ――必殺! 十三乱打乱蹴スパーク!

 得意の足技繰り出した!
 その名も『十三乱打乱蹴スパーク』!
 阪急十三駅周辺の活気と混沌を表現した連続蹴り!
 十三にちなみ十三連撃お見舞いするぞ!

「ダリャアアアアアッ!」

 龍馬はこの必殺蹴りで勝利を狙うも!

「チェエエエエエエエエイ!」

「ぐぎゃあ!」

 瞬
 殺
 さ
 れ
 て
 し
 ま
 っ
 た
 !

 地獄突きが喉仏にクリーンヒット!
 涎を垂らしながら倒れて果てた!
 何だったんだお前!

「プリヤ、ボンバイエ!」

 倒れた龍馬を踏みつけながら睨む!
 オディオ武地也!

「た、助けて!」

「警察や! 警察呼ばんと!」

「きゅ、救急車もやで!」

「で、でも、そないなことすると『ギャル神輿』が中止になるかもしれんのやで!?」

「そ、それはそうやけども!」

 天神橋商店街は大混乱だ!
 この招かれざる客が起こした蛮行を止めねばならない!
 本来であれば警察(と救急車)を呼んだ方が得策だ!

 しかし、商店街の人々は出来なかった!

 こんなところで警察(と救急車)を呼べば、メディアに騒がれ『ギャル神輿は危険!』というレッテルが貼られるからだ!
 只でさえ、うら若き乙女達が行う大イベント! 商店街の人々は! 浪速の人々は!
 アレ系のお客をそれとなく近づかさないように頑張ってきた!

 しかし、今年はアイタタな乱入者を許してしまった!
 この想定外すぎるトラブルをどう対処するか!?

 その策も! マニュアルも! 攻略法も!

 何
 も
 な
 か
 っ
 た
 !

「プリヤ、あんた何とかしなさいよ!」

「そーよ、そーよ!」

「ワ、ワッショイ……」

 プリヤの周りの神輿ギャルが騒ぎ始めた。
 それもそのはず、オディオ武地也はプリヤだけが目的なのだ。
 別にこのギャル神輿を中止するつもりはない。
 ただただ、プリヤが「ワッショイ!」と偽りでもいいので愛に答えればいいだけだ。

「ワッショイ!」

 でも、プリヤにそれは出来なかった!
 インド人はウソつけなかったのだ!

 混乱する商店街の人々、恐怖する神輿ギャル、悩むプリヤ。

 あ

 ゝ

 ど

 う

 な

 る

 ギ

 ャ

 ル

 神

 輿

 !

「あきまへんで」

 その時だ!
 映画の吹き替えのような『渋い声』が商店街に木霊した!

「ギャル神輿を邪魔したら、あきまへんで」

 縦じまの法被を着た男がスッと割り込んできた。
 彼は天神橋商店街青年会の会長。

 藤

 村

 虎

 之

 助

 登

 場

 !

 その名も藤村虎之助!
 猛虎のような猛々しい雄々しさ!
 高校球児のような熱き魂を持った男である!

「ワ、ワッショイ!」

 そして!
 プリヤがバイトするカレー店『Socoイチバンや!』の店長であり!

「ワッショイ……」

 プリヤが恋焦がれる想い人であった!





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次話:4話:引き合わせるは『カレーの奇跡』!そしてオディオ武地也ッ!!



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