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横山との出会い

ー/ー



結婚が決まって、少し前に加奈に聞かれた事があった。

「ねぇ、横山さんってどんな人なの?」
「どんな……。んー、チャラい奴かなぁ」
「大学で同じ学科だったんだよね?全然タイプ違う感じだし。私たちの恋のキューピットだし、二人がどう出会ったのかとか知りたいなって」

加奈にそう言われたので、横山と出会った時の事を思い出しながら話す事にした。

あれは大学に入学して割とすぐの事だった。
パソコンでのレポートを提出しなくてはいけない授業もあるからということで、全員パソコンの使い方講座みたいな講義を強制的に受けさせられた。
それで、その授業の先生がお節介な先生だったんだ。

「えー、まあ入学したばかりということで、皆さんの中には、他の人との交流が少ないという人もいるかもしれません。それでこの講義では、パソコンの使い方だけではなく、皆さんが仲良くなる一つの良いきっかけみたいなものになってくれたらいいなというのが私の思いでして。友達というのはですね、学生生活を送るうえで本当にいいものなんです。えー、それでですね、大学の大体の講義というのは自由席なんですが、この講義では、あえて席を決めたいと思います。なので、くじ引きを用意しました」

そんな感じでくじ引きで席順を決められた。

それでくじ引きで隣の席になった奴が金髪のヤンキーみたいな見た目の奴だったんだ。それが横山。

パソコンの使い方をあれこれ説明する先生。
文章書くソフトだとか表作ったり計算したりするソフトの使い方だとかそんなのオタクの俺からしたら楽勝にも程がある。聞く価値ないなと思ってパッと作業を終わらせてボーッとしてたら、金髪の奴が俺の肩をコンコンと叩いてきたんだ。

「なぁ、これどうやるんだ?文字の大きさ変えられないんだけど」
「これは大きさを変えたい文字をこうやって選択してこうやれば……」
「おお、選択してないからできなかったのか。サンキュー!!後さ、ついでにコレも教えてくれね?」

三回くらい分からないところを聞かれたから教えてやったんだ。
それで講義が終わって席を立ったら、また横山が話しかけてきたんだ。

「さっきはありがとうな。お前スゲェな。パソコン詳しいんだな。俺、横山って言うんだ。よろしくな」

横山は、にやりっとしながら言った。

「ああ、うん」

見た目でビビッていたが、意外と良い奴だと思った。

「なぁ、よかったら昼飯食いに行かね?」
「別にいいけど。じゃあ食堂行く?」
「食堂なんて混んでるって。それよりさ、美味いラーメン屋があるんだ。行こうぜ」
「どこにあるの?」
「バイクで十分くらいのとこだから結構近い」
「あー、ごめん。俺自転車なんだ」
「大丈夫だって。後ろ乗せてやる」

そして俺は、横山からヘルメットを渡されて、後ろに乗って人生で初めてバイクで走った。風を切って走るのが気持ちよかったし、同い年でバイクを運転する横山が凄い奴に感じた。
それでラーメン屋に着いて、その店のラーメンが本当に美味しくて。
横山が連れてきてくれたラーメン屋は、今でも横山とよく行っている。

「なぁ、お前さ……」
「えっ?」
「お前絶対オタクだろ?アニメとかゲームとか好きなんじゃね?」
「えっ、ああ、まあそうだけど……」
「だよなぁ!!やっぱりそうか。パソコンとか詳しいからそうじゃないかと思ったんだ。見た目どおりだな」
「そ、そうかな?」
「ああ。俺、機械系は全然得意じゃねぇから、分かんねぇ事あったらこれからもよろしく頼むわ。後、俺漫画も好きだから面白い漫画とかもあったら教えてくれよ」
「あ、ああ……うん……」

それから俺は、横山とよく一緒にいるようになった。
横山はイケてる感じの友達も多かったけど、オタクの俺でも嫌な顔とかせず普通に接してくれた。

その話を聞いて、加奈から横山にスピーチをお願いしたいという提案があった。

そして現在。
俺達の結婚式の最中だ。

結婚式の友人代表に横山がマイクを前にして口を開く。

「えー、智也君。加奈さん。結婚おめでとうございます。まさか俺のような奴が友人代表のスピーチをするだなんて夢にも思っていませんでした。このような大役に正直、緊張していて今にも心臓が飛び出しそうな状態です。ご出席の皆さん、もし俺の心臓が止まったら智也君を責めて下さい」

会場から笑い声が聞こえる。
嘘つけ。どこが緊張してるんだよ。
ノリノリじゃないか。

「えー、冗談はさておき……。僕は智也君とは大学時代に出会いました。授業中、パソコンの使い方が分からず、隣で作業が終わり、余裕で涼しそうな顔をしていた智也君の肩を勇気を出してコンコンと叩きました。なぜ勇気を出したかというと、実はこの時、初めて彼と話したからです。怖い人だったらどうしよう。小心者の僕はドキドキでした。ですが智也君は、優しく丁寧にパソコンの事を教えてくれました。それが彼と初めて出会った時の事です。それ以来、大学を卒業した今でも遊ぶ仲です。智也君がいないと、きっと僕はパソコンの使い方が分からずレポートを書く事もできず、そうなっていたら大学を卒業できてなかった事でしょう。本当に感謝しています。そんな彼と遊んでいたある日、ラーメン屋で一緒にご飯を食べていたら相談を持ちかけられました。なあ、横山。俺、彼女ができないと。ラーメンをすすっていた手を止めて、それはもう深刻そうな顔をして言われました。その時、僕は思いました。今こそ大学時代を助けてもらった借りを返さなくてはならない。そこで僕と智也君は、彼女を作ろう大作戦を計画して頑張りました。そして加奈さんという本当に素敵な女性と出会うことができました。加奈さん、本当に智也君を選んでくれてありがとう。彼は初めての彼女なので至らない点は沢山あるんですけど、どうか末永くよろしくお願いします。頼りない智也君をずっと支えてあげてください。智也君、加奈さんを一生大事にしてください。困った事があったら独身の僕で良ければいつでも相談に乗るので言って下さい」

会場から大きな拍手が聞こえた。
終始ユーモアを含ませながらもしっかりスピーチをして、”独身の僕”とイントネーションをしっかりと強調して話すことで、ついでに自分は独身というアピールまでして加奈の女友達を狙っているんじゃないかと思わせるような横山らしいスピーチだった。

そして、一生の思い出に残る最高の結婚式が終わった。

二次会の帰りに横山が

「今日は楽しかった。お前に良い物をプレゼントしたいんだが時間がかかる。一か月くらい待ってろ」

そう言われた。

そして一カ月が経ち、横山から家に何かが届いた。
中を開けてみると、一枚のディスクが入っていた。
加奈と一緒に観てみる事にした。
再生してみると、そこには綺麗に編集された俺と加奈の結婚式の映像が入っていた。
まるでプロが作ったかのようなクオリティーだ。
作るのにかなり時間がかかっただろう。
そしてエンディングになった。
ピアノの曲を綺麗な声をした女性ボーカルが歌いながら、出演者の名前のテロップが流れてきた。

知らない曲だけど雰囲気の良い曲だ。

曲名が結婚おめでとうと書いてあった。
作詞作曲の欄に、横山の名前が書いてあった。
ボーカルは、川田水菜と書いてあった。

「ええーー!!!!!」

俺と加奈は二人で声をあげた。
この曲、お前が作ったのか。
そして横山がピアノを弾く姿の映像が流れてきた。
そして曲が終わり、横山が画面に向かって喋りかける。

「矢口智也。お前から結婚するって初めて言われた時、物凄くビックリさせられた。絶対にお前より先に俺が結婚すると思っていた。実に悔しい思いだ。だから仕返しだ。ビックリしただろ。この曲は俺が作った。俺は子供の頃、近所にあったピアノ教室に通っていたからな。ピアノを弾くなんて簡単なことなんだ。それからもう一つ、ビックリさせてやる」

「え、なに?」

加奈と二人で画面に釘付けになる。

「今この曲を歌っていたボーカルの水菜を紹介する」
「はじめまして、川田水菜です。私達、結婚します。私、横山水菜になる事になりました!」
「ええええーーーー!!!!」

俺と加奈は、また二人して声をあげた。

「お前が俺に一番最初に結婚報告したように、俺もお前に一番最初に報告する。じゃあな!」

映像はここで終わった。

全く……。
アイツには、いつも驚かされっぱなしだな……。

今度は俺が、アイツに結婚おめでとうと言う為、スマホを握りしめた。




みんなのリアクション

結婚が決まって、少し前に加奈に聞かれた事があった。
「ねぇ、横山さんってどんな人なの?」
「どんな……。んー、チャラい奴かなぁ」
「大学で同じ学科だったんだよね?全然タイプ違う感じだし。私たちの恋のキューピットだし、二人がどう出会ったのかとか知りたいなって」
加奈にそう言われたので、横山と出会った時の事を思い出しながら話す事にした。
あれは大学に入学して割とすぐの事だった。
パソコンでのレポートを提出しなくてはいけない授業もあるからということで、全員パソコンの使い方講座みたいな講義を強制的に受けさせられた。
それで、その授業の先生がお節介な先生だったんだ。
「えー、まあ入学したばかりということで、皆さんの中には、他の人との交流が少ないという人もいるかもしれません。それでこの講義では、パソコンの使い方だけではなく、皆さんが仲良くなる一つの良いきっかけみたいなものになってくれたらいいなというのが私の思いでして。友達というのはですね、学生生活を送るうえで本当にいいものなんです。えー、それでですね、大学の大体の講義というのは自由席なんですが、この講義では、あえて席を決めたいと思います。なので、くじ引きを用意しました」
そんな感じでくじ引きで席順を決められた。
それでくじ引きで隣の席になった奴が金髪のヤンキーみたいな見た目の奴だったんだ。それが横山。
パソコンの使い方をあれこれ説明する先生。
文章書くソフトだとか表作ったり計算したりするソフトの使い方だとかそんなのオタクの俺からしたら楽勝にも程がある。聞く価値ないなと思ってパッと作業を終わらせてボーッとしてたら、金髪の奴が俺の肩をコンコンと叩いてきたんだ。
「なぁ、これどうやるんだ?文字の大きさ変えられないんだけど」
「これは大きさを変えたい文字をこうやって選択してこうやれば……」
「おお、選択してないからできなかったのか。サンキュー!!後さ、ついでにコレも教えてくれね?」
三回くらい分からないところを聞かれたから教えてやったんだ。
それで講義が終わって席を立ったら、また横山が話しかけてきたんだ。
「さっきはありがとうな。お前スゲェな。パソコン詳しいんだな。俺、横山って言うんだ。よろしくな」
横山は、にやりっとしながら言った。
「ああ、うん」
見た目でビビッていたが、意外と良い奴だと思った。
「なぁ、よかったら昼飯食いに行かね?」
「別にいいけど。じゃあ食堂行く?」
「食堂なんて混んでるって。それよりさ、美味いラーメン屋があるんだ。行こうぜ」
「どこにあるの?」
「バイクで十分くらいのとこだから結構近い」
「あー、ごめん。俺自転車なんだ」
「大丈夫だって。後ろ乗せてやる」
そして俺は、横山からヘルメットを渡されて、後ろに乗って人生で初めてバイクで走った。風を切って走るのが気持ちよかったし、同い年でバイクを運転する横山が凄い奴に感じた。
それでラーメン屋に着いて、その店のラーメンが本当に美味しくて。
横山が連れてきてくれたラーメン屋は、今でも横山とよく行っている。
「なぁ、お前さ……」
「えっ?」
「お前絶対オタクだろ?アニメとかゲームとか好きなんじゃね?」
「えっ、ああ、まあそうだけど……」
「だよなぁ!!やっぱりそうか。パソコンとか詳しいからそうじゃないかと思ったんだ。見た目どおりだな」
「そ、そうかな?」
「ああ。俺、機械系は全然得意じゃねぇから、分かんねぇ事あったらこれからもよろしく頼むわ。後、俺漫画も好きだから面白い漫画とかもあったら教えてくれよ」
「あ、ああ……うん……」
それから俺は、横山とよく一緒にいるようになった。
横山はイケてる感じの友達も多かったけど、オタクの俺でも嫌な顔とかせず普通に接してくれた。
その話を聞いて、加奈から横山にスピーチをお願いしたいという提案があった。
そして現在。
俺達の結婚式の最中だ。
結婚式の友人代表に横山がマイクを前にして口を開く。
「えー、智也君。加奈さん。結婚おめでとうございます。まさか俺のような奴が友人代表のスピーチをするだなんて夢にも思っていませんでした。このような大役に正直、緊張していて今にも心臓が飛び出しそうな状態です。ご出席の皆さん、もし俺の心臓が止まったら智也君を責めて下さい」
会場から笑い声が聞こえる。
嘘つけ。どこが緊張してるんだよ。
ノリノリじゃないか。
「えー、冗談はさておき……。僕は智也君とは大学時代に出会いました。授業中、パソコンの使い方が分からず、隣で作業が終わり、余裕で涼しそうな顔をしていた智也君の肩を勇気を出してコンコンと叩きました。なぜ勇気を出したかというと、実はこの時、初めて彼と話したからです。怖い人だったらどうしよう。小心者の僕はドキドキでした。ですが智也君は、優しく丁寧にパソコンの事を教えてくれました。それが彼と初めて出会った時の事です。それ以来、大学を卒業した今でも遊ぶ仲です。智也君がいないと、きっと僕はパソコンの使い方が分からずレポートを書く事もできず、そうなっていたら大学を卒業できてなかった事でしょう。本当に感謝しています。そんな彼と遊んでいたある日、ラーメン屋で一緒にご飯を食べていたら相談を持ちかけられました。なあ、横山。俺、彼女ができないと。ラーメンをすすっていた手を止めて、それはもう深刻そうな顔をして言われました。その時、僕は思いました。今こそ大学時代を助けてもらった借りを返さなくてはならない。そこで僕と智也君は、彼女を作ろう大作戦を計画して頑張りました。そして加奈さんという本当に素敵な女性と出会うことができました。加奈さん、本当に智也君を選んでくれてありがとう。彼は初めての彼女なので至らない点は沢山あるんですけど、どうか末永くよろしくお願いします。頼りない智也君をずっと支えてあげてください。智也君、加奈さんを一生大事にしてください。困った事があったら独身の僕で良ければいつでも相談に乗るので言って下さい」
会場から大きな拍手が聞こえた。
終始ユーモアを含ませながらもしっかりスピーチをして、”独身の僕”とイントネーションをしっかりと強調して話すことで、ついでに自分は独身というアピールまでして加奈の女友達を狙っているんじゃないかと思わせるような横山らしいスピーチだった。
そして、一生の思い出に残る最高の結婚式が終わった。
二次会の帰りに横山が
「今日は楽しかった。お前に良い物をプレゼントしたいんだが時間がかかる。一か月くらい待ってろ」
そう言われた。
そして一カ月が経ち、横山から家に何かが届いた。
中を開けてみると、一枚のディスクが入っていた。
加奈と一緒に観てみる事にした。
再生してみると、そこには綺麗に編集された俺と加奈の結婚式の映像が入っていた。
まるでプロが作ったかのようなクオリティーだ。
作るのにかなり時間がかかっただろう。
そしてエンディングになった。
ピアノの曲を綺麗な声をした女性ボーカルが歌いながら、出演者の名前のテロップが流れてきた。
知らない曲だけど雰囲気の良い曲だ。
曲名が結婚おめでとうと書いてあった。
作詞作曲の欄に、横山の名前が書いてあった。
ボーカルは、川田水菜と書いてあった。
「ええーー!!!!!」
俺と加奈は二人で声をあげた。
この曲、お前が作ったのか。
そして横山がピアノを弾く姿の映像が流れてきた。
そして曲が終わり、横山が画面に向かって喋りかける。
「矢口智也。お前から結婚するって初めて言われた時、物凄くビックリさせられた。絶対にお前より先に俺が結婚すると思っていた。実に悔しい思いだ。だから仕返しだ。ビックリしただろ。この曲は俺が作った。俺は子供の頃、近所にあったピアノ教室に通っていたからな。ピアノを弾くなんて簡単なことなんだ。それからもう一つ、ビックリさせてやる」
「え、なに?」
加奈と二人で画面に釘付けになる。
「今この曲を歌っていたボーカルの水菜を紹介する」
「はじめまして、川田水菜です。私達、結婚します。私、横山水菜になる事になりました!」
「ええええーーーー!!!!」
俺と加奈は、また二人して声をあげた。
「お前が俺に一番最初に結婚報告したように、俺もお前に一番最初に報告する。じゃあな!」
映像はここで終わった。
全く……。
アイツには、いつも驚かされっぱなしだな……。
今度は俺が、アイツに結婚おめでとうと言う為、スマホを握りしめた。


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