===第二章 あらすじ===
もと一族であるユイランから『昔の鷹刀』について語ってもらった数日後。ルイフォンは、主要メンバーを集めて会議を開いた。昔のことを話したがらない年寄り連中に、知っていることを洗いざらい吐き出させ、皆で情報を共有するためである。
イーレオはルイフォンの要求に応え、かつて自分とシャオリエは〈悪魔〉であったと告白した。それは〈七つの大罪〉から情報を得るためであり、現在は、縁を切っていることも伝えた。
更にイーレオは、現在の〈七つの大罪〉は、自分が属していた〈七つの大罪〉とは別組織であり、本来の〈七つの大罪〉は瓦解したはずだと言い切った。
それに対し、母キリファの生前の言葉から『〈七つの大罪〉の正体は、|王族《フェイラ》の研究機関』だと推測していたルイフォンは、王のための組織が簡単になくなるはずがない、と反論する。
説明を求めたルイフォンに、答えようとしたイーレオが突然、苦しみだした。〈悪魔〉は、|王族《フェイラ》の『秘密』を口外すると死を迎える『契約』を交わしており、その警告がなされたのだ。
ルイフォンは大いに焦ったが、エルファンが「お前の言う通り、〈七つの大罪〉は|王族《フェイラ》の研究機関だ」と代わりに答えることで、事態は収まった。
イーレオが言うには、先王の暗殺によって、突然、現女王へと代替わりしたため、〈七つの大罪〉は運営がうまく引き継がれずに瓦解したという。それというのも、先王を殺したのは、先王がもっとも頼みにしており、〈七つの大罪〉の運営を一任していた甥だったからだ。
国王の暗殺は重罪だが、甥が|王族《フェイラ》であるために、ことは公にはされなかった。甥は病気療養という形で幽閉された。
そして、甥はつい最近、幽閉を解かれ、「女王の婚約者」として表舞台に戻ってきた。故に、甥こそが、現在の〈七つの大罪〉を牛耳っている人物ではないか、という話で、会議がお開きになる――というところで、メイシアが声を上げた。
もと|貴族《シャトーア》のメイシアにとって、先王の甥は顔見知りの|再従兄妹《はとこ》であった。甥は、理由もなく王を暗殺するような人物ではない、しかも女王が生まれたときから婚約者に内定していたので、権力欲しさに凶行に及んだということはあり得ないと言う。
更にメイシアは、以前、イーレオに「ルイフォンの母、キリファを殺した犯人を知っている」と言われたが、その犯人とは先王ではないか、と問いかける。
殺されたからといって、先王が潔白とは限らない。先王には何かある。キリファの死も無関係とは思えない。だから、キリファの死の真相を教えてほしいと、イーレオに迫った。
しかし、イーレオは、自分は詳しいことを何も知らないのだと答えた。知っているのは、キリファの家にある人工知能〈ケル〉だ、と。
〈ケル〉に話を聞くため、ルイフォンはメイシアを伴い、キリファと住んでいた家に来た。彼は苦労しつつも、無事に〈ケル〉へのアクセスに成功する。しかし〈ケル〉には、キリファの死の真相は話せない、と謝られてしまった。
それでも、メイシアの洞察力によって、〈ケル〉と打ち解けることができた。真相は教えてもらえなかったが、キリファは先王に一方的に殺されたわけではなく、どうやら先王を利用していたらしいことが分かった。
〈ケル〉は、ルイフォンたちに、エルファンに対して犯した罪の告白を聞いてほしいと言ってきた。
四年前。命を懸けるつもりのキリファを止めようと、〈ケル〉はエルファンを呼び出した。しかし、彼が到着したときには既にキリファは殺され、体が持ち去られたあとだった。
残された状況から、エルファンは、キリファは襲われ、連れ去られたと考えた。キリファが亡くなっているなどとは思わず、地の果てまで探しに行きそうな勢いだった。それを止めるために、〈ケル〉はやむを得ず、キリファが殺される映像を彼に見せた。
自分は酷いことをしたと悔いる〈ケル〉に、「真実を教えられてよかったと思えないか」とルイフォンが言い、〈ケル〉は救われる。
調査という意味では空振りに終わった〈ケル〉との邂逅。その報告の会議の場で、リュイセンは「ルイフォンばかりに働かせて、鷹刀は何もしていない」とイーレオに噛み付いた。
リュイセンは、イーレオが〈|蝿《ムスカ》〉に対して手ぬるいのは、いったい、どういう見解なのかと問い詰めた。
イーレオは、生前の〈|蝿《ムスカ》〉が、彼の妻=イーレオの娘のために『死者の蘇生』技術を作り上げたと言った。新しい肉体を作り、それに保存しておいた記憶を書き込むのだ。この技術によって、現在の〈|蝿《ムスカ》〉は作り出されたのだろうと言った。
現在の〈七つの大罪〉は、イーレオへの刺客として〈|蝿《ムスカ》〉を作ったのではない。彼の天才的頭脳を、『デヴァイン・シンフォニア|計画《プログラム》』に利用するために、生き返らせたのだ。――その説明に、ルイフォンたちは納得する。
イーレオは、現在の〈|蝿《ムスカ》〉がイーレオの命を狙うのは、生前の彼との最後の電話のやり取りを恨んでいるからだと思っている。その気持ちは受け止めたい、自分の娘のために尽くしてくれた男だから、と言う。
しかし、リュイセンは、イーレオが見ているのは『過去』。鷹刀の『未来』のために、全力で〈|蝿《ムスカ》〉の捜索をするべきだ、と主張した。そして、『未来』のために、イーレオが折れた。
その晩、イーレオがエルファンの部屋を訪ね、ルイフォンの父親はエルファンだと告白した。エルファンは激怒して、どういうことだと迫る。
エルファンとキリファの娘、ルイフォンの姉であるセレイエは、子供のころ、敵対する|凶賊《ダリジィン》に襲われた。それをきっかけに、彼女が持って生まれた運命が明らかになり、通常の医療の効かない高熱で死にかけた。
そのとき、キリファは「もう子供は産まない。次の子供もセレイエと同じに違いないから」と宣言した。その誓いのために、キリファはルイフォンを妊娠したことを隠したのだという。
イーレオは過去を語る。
キリファは、鷹刀を出ていこうとしていたところをユイランに気づかれ、イーレオのもとに連れてこられた。非力なキリファが、ふたりの幼い子供を抱えて、まともな生活を送れるとは思えない。イーレオは説得を試みた。
キリファには、エルファンを悲しませたくない、という思いがあった。それならば、イーレオの子供ということにすればどうか、と提案した。落ち着いたころに真実を話せばよいと、安易に考えてしまったのだ。
しかし、人の心はそんな簡単なものではなく、キリファとエルファンの仲はこじれたまま、キリファは亡くなった。イーレオは後悔と共にエルファンに謝罪する。そして、エルファンもまた、自分にも非があったことに気づいたのだった。
イーレオが、今ごろになって真実を話したのには理由がある。〈ケル〉の言動が、キリファの思いを代弁していたから。
そして。
まだ、ルイフォンたちに隠している『生まれながらのセレイエの運命』が、『デヴァイン・シンフォニア|計画《プログラム》』に大きく関わっているであろうから――だった。
イーレオとエルファンは、これからの『未来』のために、ルイフォンたちにセレイエのことを明かそうと約束したのだった。
===登場人物===
鷹刀ルイフォン
|凶賊《ダリジィン》鷹刀一族総帥、鷹刀イーレオの末子。十六歳。
――ということになっているが、本当は次期総帥エルファンの息子なので、イーレオの孫にあたる。
母親のキリファから、〈|猫《フェレース》〉というクラッカーの通称を継いでいる。
端正な顔立ちであるのだが、表情のせいでそうは見えない。
長髪を後ろで一本に編み、毛先を母の形見である金の鈴と、青い飾り紐で留めている。
|凶賊《ダリジィン》の一員ではなく、何にも属さない「対等な協力者〈|猫《フェレース》〉」であることを主張し、認められている。
※「ハッカー」という用語は、「コンピュータ技術に精通した人」の意味であり、悪い意味を持たない。むしろ、尊称として使われていた。
「クラッカー」には悪意を持って他人のコンピュータを攻撃する者を指す。
よって、本作品では、〈|猫《フェレース》〉を「クラッカー」と表記する。
メイシア
元・|貴族《シャトーア》の藤咲家の娘。十八歳。
ルイフォンと共に居るために、表向き死亡したことになっている。
箱入り娘らしい無知さと明晰な頭脳を持つ。
すなわち、育ちの良さから人を疑うことはできないが、状況の矛盾から嘘を見抜く。
白磁の肌、黒絹の髪の美少女。
[鷹刀一族]
|凶賊《ダリジィン》と呼ばれる、大華王国マフィアの一族。
秘密組織〈七つの大罪〉の介入により、近親婚によって作られた「強く美しい」一族。
――と、説明されていたが、実は〈七つの大罪〉が〈|贄《にえ》〉として作った一族であった。
鷹刀イーレオ
|凶賊《ダリジィン》鷹刀一族の総帥。六十五歳。
若作りで洒落者。
かつては〈七つの大罪〉の研究者、〈悪魔〉の〈|獅子《レオ》〉であった。
鷹刀エルファン
イーレオの長子。次期総帥。
ルイフォンとは親子ほど歳の離れた異母兄弟ということになっているが、実は父親。
感情を表に出すことが少ない。冷静、冷酷。
鷹刀リュイセン
エルファンの次男。イーレオの孫。十九歳。本人は知らないが、ルイフォンの異母兄にあたる。
文句も多いが、やるときはやる男。
『神速の双刀使い』と呼ばれている。
長兄レイウェンが一族を抜けたため、エルファンの次の総帥になる予定である。
鷹刀ミンウェイ
母親がイーレオの娘であり、イーレオの孫娘にあたる。二十代半ばに見える。
鷹刀一族の屋敷を切り盛りしている。
緩やかに波打つ長い髪と、豊満な肉体を持つ絶世の美女。ただし、本来は直毛。
薬草と毒草のエキスパート。医師免状も持っている。
かつて〈ベラドンナ〉という名の毒使いの暗殺者として暗躍していた。
父親ヘイシャオに、溺愛という名の虐待を受けていた。
草薙チャオラウ
イーレオの護衛にして、ルイフォンの武術師範。
無精髭を弄ぶ癖がある。
料理長
鷹刀一族の屋敷の料理長。
恰幅の良い初老の男。人柄が体格に出ている。
キリファ
ルイフォンの母。四年前に当時の国王シルフェンに首を落とされて死亡。
天才クラッカー〈|猫《フェレース》〉。
〈七つの大罪〉の〈悪魔〉、〈|蠍《スコリピウス》〉に〈天使〉にされた。
また〈|蠍《スコリピウス》〉に右足首から下を斬られたため、歩行は困難だった。
もとエルファンの愛人で、セレイエとルイフォンを産んだ。
ただし、イーレオ、ユイランと結託して、ルイフォンがエルファンの息子であることを隠していた。
ルイフォンに『手紙』と称し、人工知能〈スー〉のプログラムを託した。
〈ケル〉〈ベロ〉〈スー〉
キリファが作った三台の兄弟コンピュータ。
表向きは普通のコンピュータだが、それは張りぼてで、本当は〈七つの大罪〉の技術を使った、人間と同じ思考の出来る人工知能を搭載できる機体である。
〈ベロ〉に載せられた人工知能の人格は、シャオリエを元に作られているらしい。
〈ケル〉は、キリファの親友といってもよい間柄である。
また〈スー〉は、ルイフォンがキリファの『手紙』を正確に打ち込まないと出てこない。
セレイエ
エルファンとキリファの娘。
表向きは、ルイフォンの異父姉となっているが、同父母姉である。
リュイセンにとっては、異母姉になる。
|貴族《シャトーア》と駆け落ちして消息不明。
〈影〉と思われるホンシュアの『中身』だと推測されている。
メイシアを選び、ルイフォンと引き合わせた、らしい。
[〈七つの大罪〉・他]
〈七つの大罪〉
現代の『七つの大罪』=『新・七つの大罪』を犯す『闇の研究組織』。
実は、王の私設研究機関。
〈悪魔〉
知的好奇心に魂を売り渡した研究者を〈悪魔〉と呼ぶ。
〈悪魔〉は〈神〉から名前を貰い、潤沢な資金と絶対の加護、蓄積された門外不出の技術を元に、更なる高みを目指す。
代償は体に刻み込まれた『契約』。――|王族《フェイラ》の『秘密』を口にすると死ぬという、〈天使〉による脳内介入を受けている。
『契約』
〈悪魔〉が、|王族《フェイラ》の『秘密』を口外しないように施される脳内介入。
記憶の中に刻まれるため、〈七つの大罪〉とは縁を切ったイーレオも、『契約』に縛られている。
〈天使〉
「記憶の書き込み」ができる人体実験体。
脳内介入を行う際に、背中から光の羽を出し、まるで天使のような姿になる。
〈天使〉とは、脳という記憶装置に、|記憶《データ》や|命令《コード》を書き込むオペレーター。いわば、人間に|侵入《クラッキング》して相手を乗っ取るクラッカー。
羽は、〈天使〉と|侵入《クラッキング》対象の人間との|接続装置《インターフェース》であり、限度を超えて酷使すれば熱暴走を起こす。
〈影〉
〈天使〉によって、脳を他人の記憶に書き換えられた人間。
体は元の人物だが、精神が別人となる。
『呪い』・便宜上、そう呼ばれているもの
〈天使〉の脳内介入によって受ける影響、被害といったもの。悪魔の『契約』も『呪い』の一種である。
服従が快楽と錯覚するような他人を支配する|命令《コード》や、「パパがチョコを食べていいと言った」という他愛のない嘘の|記憶《データ》まで、いろいろである。
『di;vine+sin;fonia デヴァイン・シンフォニア|計画《プログラム》』
〈|蛇《サーペンス》〉が企んでいる計画。
〈|蝿《ムスカ》〉の協力が必要であるらしいのだが、謎に包まれている。
『di』は、『ふたつ』を意味する接頭辞。『vine』は、『|蔓《つる》』。
つまり、『ふたつの|蔓《つる》』――転じて、『二重螺旋』『DNAの立体構造』――『命』の暗喩。
『sin』は『罪』。『fonia』は、ただの語呂合わせ。
これらの意味を繋ぎ合わせて『命に対する冒涜』と、ホンシュアは言った。
ヘイシャオ
〈七つの大罪〉の〈悪魔〉、〈|蝿《ムスカ》〉。ミンウェイの父。故人。
医者で暗殺者。
病弱な妻のために〈悪魔〉となった。
〈七つの大罪〉の技術を否定したイーレオを恨んでいるらしい。
娘を、亡くした妻の代わりにするという、異常な愛情で溺愛していた。
そのため、娘に、妻と同じ名前『ミンウェイ』と名付けている。
十数年前に、娘のミンウェイを連れて現れ、自殺のような状態でエルファンに殺された。
現在の〈|蝿《ムスカ》〉
〈七つの大罪〉が『デヴァイン・シンフォニア|計画《プログラム》』に必要な技術を得るために、蘇らせたと思われるヘイシャオ。
イーレオに恨みを抱き、命を狙ってくる。
記憶も姿も、ヘイシャオそのものであるが、実姉のユイランに言わせれば『第三者が自分の目的を果たすために作った、ただの駒』であり、ヘイシャオとは『別人』。
ホンシュア
セレイエの〈影〉と思われる人物で、〈天使〉の体にさせられていた。
〈影〉にされたメイシアの父親に、死ぬ前だけでも本人に戻れるような細工をしたため、体が限界を超え、熱暴走を起こして死亡。
〈|蛇《サーペンス》〉
〈|蝿《ムスカ》〉が、ホンシュアのことを〈|蛇《サーペンス》〉と呼んでいた。
ホンシュアの中身はセレイエだと思われるため、セレイエが〈|蛇《サーペンス》〉である……かは不明。
ライシェン
ホンシュアがルイフォンに向かって呼びかけた名前。
それ以外は不明。
斑目タオロン
よく陽に焼けた浅黒い肌に、意思の強そうな目をした斑目一族の若い衆。
堂々たる体躯に猪突猛進の性格。
二十四歳だが、童顔ゆえに、二十歳そこそこに見られる。
ファンルゥの母親である最愛の女性を斑目一族に殺害されている。
斑目一族が愛娘に害を及ぼさないようにと、不本意ながら〈|蝿《ムスカ》〉に従うことになった。
斑目ファンルゥ
タオロンの娘。四、五歳くらい。
くりっとした丸い目に、ぴょんぴょんとはねた癖っ毛が愛らしい。
[王家・他]
女王
大華王国の現女王。十五歳。
彼女の婚約を|開始条件《トリガー》に、すべてが――『デヴァイン・シンフォニア|計画《プログラム》』が始まったと思われる。
メイシアの|再従姉妹《はとこ》にあたるが、メイシア曰く『私は数多の|貴族《シャトーア》のひとりに過ぎなかった』。
シルフェン
先王。四年前、腹心だった甥のヤンイェンに殺害されたらしい。
ヤンイェン
先王を殺害し、幽閉されていたが、女王の婚約者として表舞台に戻ってきた謎の人物。
メイシアの|再従兄妹《はとこ》にあたる。
|平民《バイスア》を後妻に迎えたメイシアの父、コウレンに好意的だったらしい。
摂政
摂政。女王の兄に当たる人物。
摂政を含む、女王以外の兄弟は〈神の御子〉の外見を持たないために、王位継承権はない。
[草薙家]
草薙レイウェン
エルファンの長男。リュイセンの兄。
エルファンの後継者であったが、幼馴染で妻のシャンリーを外の世界で活躍させるために
鷹刀一族を出た。
――ということになっているが、リュイセンに後継者を譲ろうと、シャンリーと画策したというのが真相。
服飾会社、警備会社など、複数の会社を興す。
草薙シャンリー
レイウェンの妻。チャオラウの姪だが、赤子のころに両親を亡くしたためチャオラウの養女になっている。
王宮に召されるほどの剣舞の名手。
遠目には男性にしかみえない。本人は男装をしているつもりはないが、男装の麗人と呼ばれる。
草薙クーティエ
レイウェンとシャンリーの娘。リュイセンの姪に当たる。十歳。
可愛らしく、活発。
鷹刀ユイラン
エルファンの正妻。レイウェン、リュイセンの母。
レイウェンの会社の専属デザイナーとして、鷹刀一族の屋敷を出た。
ルイフォンが、エルファンの子であることを隠したいキリファに協力して、愛人をいじめる正妻のふりをしてくれた。
メイシアの異母弟ハオリュウに、メイシアの花嫁衣装を依頼された。
[藤咲家・他]
藤咲ハオリュウ
メイシアの異母弟。十二歳。
父親を亡くしたため、若年ながら藤咲家の当主を継いだ。
十人並みの容姿に、子供とは思えない言動。いずれは一角の人物になると目される。
異母姉メイシアを自由にするために、表向き死亡したことにしたのは彼である。
女王陛下の婚礼衣装制作に関して、草薙レイウェンと提携を決めた。
|緋扇《ひおうぎ》シュアン
『狂犬』と呼ばれるイカレ警察隊員。三十路手前程度。イーレオには『野犬』と呼ばれた。
ぼさぼさに乱れまくった頭髪、隈のできた血走った目、不健康そうな青白い肌をしている。
|凶賊《ダリジィン》の抗争に巻き込まれて家族を失っており、|凶賊《ダリジィン》を恨んでいる。
|凶賊《ダリジィン》を殲滅すべく、情報を求めて鷹刀一族と手を結んだ。
敬愛する先輩が〈|蝿《ムスカ》〉の手に堕ちてしまい、自らの手で射殺した。
似た境遇に遭ったハオリュウに庇護欲を感じ、彼に協力することにした。
[繁華街]
シャオリエ
高級娼館の女主人。|年齢不詳《若くはないはず》。
外見は嫋やかな美女だが、中身は『姐さん』。
元鷹刀一族であり、イーレオを育てた、と言っている。
実は〈影〉であり、体は別人。そのことをイーレオが気にしないようにと、一族を離れた。
イーレオと同じく、〈七つの大罪〉の〈悪魔〉であった。
スーリン
シャオリエの店の娼婦。
くるくる巻き毛のポニーテールが似合う、小柄で可愛らしい少女。
本人曰く、もと女優の卵。
トンツァイ
繁華街の情報屋。
痩せぎすの男。
===大華王国について===
黒髪黒目の国民の中で、白金の髪、青灰色の瞳を持つ王が治める王国である。
身分制度は、|王族《フェイラ》、|貴族《シャトーア》、|平民《バイスア》、|自由民《スーイラ》に分かれている。
また、暴力的な手段によって団結している集団のことを|凶賊《ダリジィン》と呼ぶ。彼らは|平民《バイスア》や|自由民《スーイラ》であるが、|貴族《シャトーア》並みの勢力を誇っている。