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【復讐の相手】

ー/ー




 無事に解放されたジョージは、レオールたちと向き合っていた。
 四つの目でレオールを見つめ、口もとの触手をうねらせる。

 サリーはレオールの隣で穏やかな表情をしながら、ジョージを見つめ、エルキデスはシャドウダイヤの指輪を指にはめたりしていた。
 当然、指輪はぶかぶかだ。

「カシラ、持ってきました!」

 船員の一人が剣を持ち、ジョージに手渡す。
 その剣の鞘には文字のような模様がある。

 受け取ったジョージは、レオールたちの後ろに隠れているディルを見た。

「ほぉら、お前さんの剣だ」

 ジョージに言われ、ディルは恐る恐る前に出る。
 そしてそっと剣を受け取った。

「ま、間違いなくボクの剣です」

 ディルがレオールに言うと、レオールは「良かったな」と返す。
 剣を腰につけ、ディルはほっと息をついた。

「さて、ジョージ、これからの話しをしようか」

 レオールは腕を組み、ジョージを見る。
 ジョージは素直に頷いてかぶっている帽子をつまむ。
 軽く帽子を左右に動かし、向きを整えた。

「なぁーんでも言ってください、我々は貴方に従いまぁすよ」

 両腕を広げ、ジョージは歌うように言う。

「ジョージ、お前にはオレたちの手伝いをしてもらう」

 その言葉を聞いたエルキデスが、指輪を手に握りながら、レオールを睨んだ。

「コイツらを仲間にでもする気か? 冗談はよせ、こんな馬鹿共、足手まといにしかならんぞ」

 エルキデスの言葉に、レオールは苦笑する。

「そこの鬼神族の少年よぉ、これでもオレたちクラーケン海賊団は魔王様の右腕だったんだぜぇー、五百年前はぁ、魔王様のために、人間どもを倒したもんさぁ」

 ジョージがそう言った途端、エルキデスが眉間にシワを寄せた。

「はぁ?」

 思わずエルキデスが喧嘩腰になる。

「落ち着け、こんな雑魚にムキになるな」

 レオールがエルキデスの頭に手を置く。
 エルキデスはレオールを見上げた。

「え? あの、魔王って、その……」

 おどおどしながらディルが言うと、ジョージは「どーうしたぁ?」とディルに聞く。
 レオールはため息をつき、ジョージの方に目を向ける。

「あのな、ジョージ、大切なことだから言っておく」

 レオールが言うと、ジョージはレオールの方を見て言葉を待つ。
 ジョージの様子に、ちゃんと話しを聞こうという姿勢が見えたレオールは、口を開いた。

「まず、ディルは人間だがオレは人間じゃない、オレは邪神だ。 それからサリーは天使族、エルキデスは鬼神族ではない、魔王だ」

 単刀直入にレオールは教える。

 ジョージは無言で視線をエルキデスの方に向け、触手をうねうねと動かした。

 ほんの二秒ほどの間を置いてから、ジョージは「はっはっは」と笑い出す。

「魔王様のわけがない! 魔王様は五百年前に死んでいる! なかなか良い冗談じゃあないか!」

 ジョージが笑い出すと、固唾を飲んで様子を見ていた船員たちもワッと笑い出した。

「冗談なんかじゃない」

 真面目な顔でレオールが言う。

 あまりにも真剣な眼差しで言われたジョージは笑うのを止め、今一度エルキデスを見た。

「……本、当?」

 ジョージの声が震える。

「ワシの右腕を自称しているくせに無知な奴だ、どこまでも不快だな」

 冷たい視線を向けられたジョージの顔色が薄茶色になった。

 そして一歩後退し、その場に膝を折る。
 床につきそうなほどに頭を下げ、土下座をした。

「申し訳ありませんでした!」

 大きな声でジョージが謝る。
 これはマズイと思ったらしき船員たちも、ジョージに続き土下座をした。

「で、ですが、魔王様? あなたは死んだはず! それに、そのお姿は?!」

 ガタガタと体を震わせながら、ジョージが聞く。
 エルキデスは舌打ちし、レオールを見あげた。

 レオールはとりあえず震えて床に座り込むジョージの手を持ち、立ち上がらせる。
 立ったジョージは完全にへっぴり腰になっていた。

「オレが魔王を復活させた」

 そうレオールが言うと、ジョージの目に涙が浮かぶ。
 その涙は恐怖からなのか、はたまた別の感情なのか、レオールには分からなかった。

「復活させた時、準備した魔力が大いに足りなくてな……結果、子どもの姿になってしまったんだ」

 その話しを聞いたジョージは「な、なる、ほど」と震えながら返す。
 と、それまで話しを聞いていたディルが、目を丸くする。

「え? 子どもの姿に、なってしまったって……元々子どもだったわけでは無いのですか?」

 ディルの言葉に、レオールは「そうだった、ディルには言ってなかった」と呟く。
 状況が分かっていないサリーは、首を傾げた。

「細かいことを気にするな」

 エルキデスがディルに言う。
 するとディルは、安心したようにほっと息を吐いた。

「良かった……ボクのご先祖様は鬼畜じゃなかったんだ」

 心の底から安心したディルは、微笑む。

「して、魔王様、復活なされたということは、人間どもに復讐するのですか?」

 ジョージが前のめりになりながら、エルキデスに聞く。
 人間に復讐、と聞いたディルが顔を青ざめさせた。

「ん? 復讐の手伝いはするが……相手は人間なのか?」

 エルキデスはレオールを見上げ、返事を求める。
 レオールは首を振り、エルキデスの目を見た後にジョージを見た。

「オレたちが復讐する相手は人間じゃない……相手は神だ」

 それを聞いたエルキデスとジョージ、そしてディルと船員たちは驚いた表情になった。


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 無事に解放されたジョージは、レオールたちと向き合っていた。
 四つの目でレオールを見つめ、口もとの触手をうねらせる。
 サリーはレオールの隣で穏やかな表情をしながら、ジョージを見つめ、エルキデスはシャドウダイヤの指輪を指にはめたりしていた。
 当然、指輪はぶかぶかだ。
「カシラ、持ってきました!」
 船員の一人が剣を持ち、ジョージに手渡す。
 その剣の鞘には文字のような模様がある。
 受け取ったジョージは、レオールたちの後ろに隠れているディルを見た。
「ほぉら、お前さんの剣だ」
 ジョージに言われ、ディルは恐る恐る前に出る。
 そしてそっと剣を受け取った。
「ま、間違いなくボクの剣です」
 ディルがレオールに言うと、レオールは「良かったな」と返す。
 剣を腰につけ、ディルはほっと息をついた。
「さて、ジョージ、これからの話しをしようか」
 レオールは腕を組み、ジョージを見る。
 ジョージは素直に頷いてかぶっている帽子をつまむ。
 軽く帽子を左右に動かし、向きを整えた。
「なぁーんでも言ってください、我々は貴方に従いまぁすよ」
 両腕を広げ、ジョージは歌うように言う。
「ジョージ、お前にはオレたちの手伝いをしてもらう」
 その言葉を聞いたエルキデスが、指輪を手に握りながら、レオールを睨んだ。
「コイツらを仲間にでもする気か? 冗談はよせ、こんな馬鹿共、足手まといにしかならんぞ」
 エルキデスの言葉に、レオールは苦笑する。
「そこの鬼神族の少年よぉ、これでもオレたちクラーケン海賊団は魔王様の右腕だったんだぜぇー、五百年前はぁ、魔王様のために、人間どもを倒したもんさぁ」
 ジョージがそう言った途端、エルキデスが眉間にシワを寄せた。
「はぁ?」
 思わずエルキデスが喧嘩腰になる。
「落ち着け、こんな雑魚にムキになるな」
 レオールがエルキデスの頭に手を置く。
 エルキデスはレオールを見上げた。
「え? あの、魔王って、その……」
 おどおどしながらディルが言うと、ジョージは「どーうしたぁ?」とディルに聞く。
 レオールはため息をつき、ジョージの方に目を向ける。
「あのな、ジョージ、大切なことだから言っておく」
 レオールが言うと、ジョージはレオールの方を見て言葉を待つ。
 ジョージの様子に、ちゃんと話しを聞こうという姿勢が見えたレオールは、口を開いた。
「まず、ディルは人間だがオレは人間じゃない、オレは邪神だ。 それからサリーは天使族、エルキデスは鬼神族ではない、魔王だ」
 単刀直入にレオールは教える。
 ジョージは無言で視線をエルキデスの方に向け、触手をうねうねと動かした。
 ほんの二秒ほどの間を置いてから、ジョージは「はっはっは」と笑い出す。
「魔王様のわけがない! 魔王様は五百年前に死んでいる! なかなか良い冗談じゃあないか!」
 ジョージが笑い出すと、固唾を飲んで様子を見ていた船員たちもワッと笑い出した。
「冗談なんかじゃない」
 真面目な顔でレオールが言う。
 あまりにも真剣な眼差しで言われたジョージは笑うのを止め、今一度エルキデスを見た。
「……本、当?」
 ジョージの声が震える。
「ワシの右腕を自称しているくせに無知な奴だ、どこまでも不快だな」
 冷たい視線を向けられたジョージの顔色が薄茶色になった。
 そして一歩後退し、その場に膝を折る。
 床につきそうなほどに頭を下げ、土下座をした。
「申し訳ありませんでした!」
 大きな声でジョージが謝る。
 これはマズイと思ったらしき船員たちも、ジョージに続き土下座をした。
「で、ですが、魔王様? あなたは死んだはず! それに、そのお姿は?!」
 ガタガタと体を震わせながら、ジョージが聞く。
 エルキデスは舌打ちし、レオールを見あげた。
 レオールはとりあえず震えて床に座り込むジョージの手を持ち、立ち上がらせる。
 立ったジョージは完全にへっぴり腰になっていた。
「オレが魔王を復活させた」
 そうレオールが言うと、ジョージの目に涙が浮かぶ。
 その涙は恐怖からなのか、はたまた別の感情なのか、レオールには分からなかった。
「復活させた時、準備した魔力が大いに足りなくてな……結果、子どもの姿になってしまったんだ」
 その話しを聞いたジョージは「な、なる、ほど」と震えながら返す。
 と、それまで話しを聞いていたディルが、目を丸くする。
「え? 子どもの姿に、なってしまったって……元々子どもだったわけでは無いのですか?」
 ディルの言葉に、レオールは「そうだった、ディルには言ってなかった」と呟く。
 状況が分かっていないサリーは、首を傾げた。
「細かいことを気にするな」
 エルキデスがディルに言う。
 するとディルは、安心したようにほっと息を吐いた。
「良かった……ボクのご先祖様は鬼畜じゃなかったんだ」
 心の底から安心したディルは、微笑む。
「して、魔王様、復活なされたということは、人間どもに復讐するのですか?」
 ジョージが前のめりになりながら、エルキデスに聞く。
 人間に復讐、と聞いたディルが顔を青ざめさせた。
「ん? 復讐の手伝いはするが……相手は人間なのか?」
 エルキデスはレオールを見上げ、返事を求める。
 レオールは首を振り、エルキデスの目を見た後にジョージを見た。
「オレたちが復讐する相手は人間じゃない……相手は神だ」
 それを聞いたエルキデスとジョージ、そしてディルと船員たちは驚いた表情になった。