【形勢逆転】
ー/ー 剣を受け取ったディルは、武器を振り上げ攻撃してくる船員たちの攻撃から逃げながら、反撃のタイミングを狙う。
しかし、数の多さに押され、ディルは泣きそうになっていた。
幸いなことに、ディルが船員の注意を引きつけていたため、レオールの方は手薄になる。
レオールは自分に攻撃を仕掛けて来た船員の足を短剣で切り落とし、彼らを踏みつけながら前に進んだ。
「ぐえっ、踏むなよー!」
踏まれた船員がぷんぷんと怒る。
足を切られたことは、あまり問題ではないらしく、踏んだ事への文句をぶつけてきた。
レオールは船員の上からテーブルの上へと移動すると、テーブルの上を走りジョージの方に向かう。
「おおっとー! それ以上近付くなぁ! このハーピーが怪我をする事になーるぞう!」
ジョージはサリーの首に剣を近付ける。
レオールは立ち止まり、ジョージを睨んだ。
「お前こそ、サリーを怒らせるなよ、この船が沈むことになる」
余裕ありげに口角を上げて、レオールが返す。
ジョージは「何を馬鹿な」とこぼした。
「サリー、あと少しの我慢だ、怒るなよ」
レオールがサリーに言うと、サリーは頷く。
自分の腕の中で余裕を見せつけられたジョージの目がつり上がる。
「お前たち! この男に実力の差を見せつけてやれぇ!」
ジョージが叫ぶと、ディルを追いかけ回していた船員たちの目が、レオールに向いた。
「アイアイサー!」
船員たちが一気にレオールの方へと集まる。
「いいかぁ? これが現実だぁ! お前さんたちは無力なのさぁー」
ジョージが声を上げ、サリーに向けていた剣を下ろした時。
後ろから首に縄がかかる。
「お?」
縄に気付いたジョージだったが、次の瞬間その縄で首を絞められた。
「あ! ぐぅ!」
苦しそうにジョージは口もとの触手をうねらせ、剣を落として縄を掴む。
気付いたサリーが後ろを見ると、そこにはエルキデスがいた。
ジョージの首に掛けた縄に全体重を乗せ、更に締め付けようとジョージの背中を両足で押している。
「エルキデス様!」
サリーが笑顔で言う。
「サリー、そこの剣をコイツの頭に向けろ」
エルキデスに言われ、サリーは剣を持ち上げる。
そしてジョージの頭に剣を突きつけた。
「よくやった!」
船員たちを相手にしていたレオールが言う。
船員たちも気付いて、慌て出した。
ディルは一人の船員を足止めしていたが、レオールの声に気付いて顔を向ける。
動けなくなっているジョージを見て、ディルは弱々しく笑う。
「キサマら、動いたらコイツの頭に剣を刺す」
エルキデスが言う。
レオールは船員たちを手で退かしながら、サリーの近くへと向かう。
すぐにサリーの後ろに回り、翼を縛っている細い縄を短剣で切り落とした。
「大丈夫か、サリー」
レオールが聞くと、サリーは数回頷く。
「大丈夫ですわ、レオール様」
嬉しそうにサリーは言った。
レオールはそのままサリーから剣を受け取り、ジョージを睨む。
「カシラー!」
船員たちが不安そうに声を上げる。
ジョージは険しい表情をして、ゆっくりと縄から手を放した。
苦しそうな呼吸を繰り返しながら、手を上げようとする。
「おっと、動くな」
レオールが言って、ジョージの手を掴む。
「エルキデス、これが何か分かるか?」
そう言いながらレオールは、ジョージの指にはめられている指輪を見せた。
エルキデスは指輪を見て、目を細める。
「シャドウダイヤの指輪だな……シャドウダイヤは封魔の効果を無くすものだ」
それを聞いたレオールは、にっと笑ってジョージの指から指輪を奪い取った。
「そ、それ、を、がえ、ぜ」
焦った様子でジョージが言う。
「だまれ」
レオールは剣をジョージの額に押し付けた。
ジョージは息をのみ、固まる。
「お前の心臓が頭にあることは知っている。 負けを認めろ、ジョージ・クラーケン」
ジョージに冷たい眼差しを向け、レオールは言う。
船員たちは「卑怯だぞ!」「カシラを解放しろ!」と声を荒らげるが、レオールはそれを無視してジョージを見つめた。
「……わ、わか、った」
苦しそうにジョージは言い、船員たちは目を丸くする。
「カシラ!」
「お前たちっ、武器を、下ろぜ」
驚く船員たちに指示を出す。
ジョージの呼吸は浅く、喉がゼエゼエと音を立てた。
さすがにこれ以上はマズイと思ったのだろう。
船員たちは何も言わず、武器を下ろした。
「ディル、リュートを奪え」
レオールに言われ、ディルは「は、はい!」と言って駆け出す。
転びそうになりながらジョージのもとへ駆け寄ると、ジョージの隣に置かれていた封魔のリュートを抱えた。
「エルキデス、もう大丈夫だ」
微笑んでレオールが言うと、エルキデスは縄から手を放し、床に着地する。
ジョージはその場に膝をつき、咳込んだ。
「さて、ジョージ、これからは仲良くしようじゃないか」
レオールに言われたジョージは、首をさすりながら、頷いた。
「レオール様」
サリーは短剣を握るレオールの手に触れる。
レオールは短剣から手を放した。
短剣は髪飾りになり、レオールの髪に戻る。
サリーは手のひらにある傷を見て、悲しげな表情になった。
「血を使われたのですね」
優しく、サリーはレオールの傷を撫でた。
サリーが触れたところから傷が消え、レオールは笑う。
「有難うサリー」
笑顔で言われたサリーは、微笑み返した。
「レオール様、助けてくれて有難うございますわ」
穏やかに、優しく、サリーは言った。
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