表示設定
表示設定
目次 目次




【2】②

ー/ー



    ◇  ◇  ◇
《陽奈ちゃん、今案内送ったけど今度小学校の同窓会があるの。五月の連休に。来るよね?》
 まだ馴染んだとは言えない、東京の自分の部屋で受け取ったメッセージ。
 転校してからもずっとやり取りが続いている一人、有香(ゆか)の誘いに動揺する。

《え、行きたいけど、……いいのかな?》
 もちろん行きたかった。しかし卒業もしていない陽奈が顔を出していい場だろうか、と迷ってしまう。

《いいに決まってんじゃーん! 出欠はこれからだけど、あたしが直接聞いた限りでは結構集まりそうな感じよ。》
奈々子(ななこ)も来るって! まどかみたいに遠くの大学行った子なんかは無理だけどさあ。》
 明るく不安を消してくれる有香のメッセージに、自然笑みが溢れた。

《ありがとう。じゃあ行くわ。》
 念の為にメールで送られて来た「同窓会の案内」に目を通し、不都合がないことを確認して承諾の返事を送った。

 小学校の同窓会。
 彼、は来るだろうか。
 もし来たとしても、向こうが陽奈を覚えているか、……気にしているかもわからない。
 それでも、こうして東京に「戻った」からこそ巡って来た機会には違いなかった。

 同窓会当日。
 幹事を引き受けている有香と、もう一人付き合いの続いている友人である奈々子と、待ち合わせて訪れた会場の店。
 くじ引きで割り当てられた席につき、何も聞かされていなかったようで突然の懐かしい顔(陽奈)の登場に驚く元クラスメイトと挨拶を交わす。

三倉(みくら)さん、久しぶり」
 そこへ背後から掛けられた低い声。
 あの頃とは違う声の主は、振り向いて顔を見るまでまったく誰かも思い当たらなかった。
 ……見てすぐにわかった。「彼」だ。時間も距離も一気に飛び越えたかのような、不思議な感覚。

「わぁ、小野寺くん」
 上手くさり気なさを装えているだろうか。
 とりあえず声が上擦ったりはしなかった。表情もおそらくは自然、なはず。

 「遠く離れた」ことで、すべてが終わった気になっていた。諦めていた。
 けれど、打ち合わせも何もしてないのに本当に会えた。こんなに早く。

 ──これも運命なの?

 もう陽奈と宏基は「遠距離」に阻まれた二人ではなくなった。だからここから先は二人の気持ち次第だ。

  ~END~


スタンプを贈って作者を応援しよう!



みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



    ◇  ◇  ◇
《陽奈ちゃん、今案内送ったけど今度小学校の同窓会があるの。五月の連休に。来るよね?》
 まだ馴染んだとは言えない、東京の自分の部屋で受け取ったメッセージ。
 転校してからもずっとやり取りが続いている一人、|有香《ゆか》の誘いに動揺する。
《え、行きたいけど、……いいのかな?》
 もちろん行きたかった。しかし卒業もしていない陽奈が顔を出していい場だろうか、と迷ってしまう。
《いいに決まってんじゃーん! 出欠はこれからだけど、あたしが直接聞いた限りでは結構集まりそうな感じよ。》
《|奈々子《ななこ》も来るって! まどかみたいに遠くの大学行った子なんかは無理だけどさあ。》
 明るく不安を消してくれる有香のメッセージに、自然笑みが溢れた。
《ありがとう。じゃあ行くわ。》
 念の為にメールで送られて来た「同窓会の案内」に目を通し、不都合がないことを確認して承諾の返事を送った。
 小学校の同窓会。
 彼、は来るだろうか。
 もし来たとしても、向こうが陽奈を覚えているか、……気にしているかもわからない。
 それでも、こうして東京に「戻った」からこそ巡って来た機会には違いなかった。
 同窓会当日。
 幹事を引き受けている有香と、もう一人付き合いの続いている友人である奈々子と、待ち合わせて訪れた会場の店。
 くじ引きで割り当てられた席につき、何も聞かされていなかったようで突然の|懐かしい顔《陽奈》の登場に驚く元クラスメイトと挨拶を交わす。
「|三倉《みくら》さん、久しぶり」
 そこへ背後から掛けられた低い声。
 あの頃とは違う声の主は、振り向いて顔を見るまでまったく誰かも思い当たらなかった。
 ……見てすぐにわかった。「彼」だ。時間も距離も一気に飛び越えたかのような、不思議な感覚。
「わぁ、小野寺くん」
 上手くさり気なさを装えているだろうか。
 とりあえず声が上擦ったりはしなかった。表情もおそらくは自然、なはず。
 「遠く離れた」ことで、すべてが終わった気になっていた。諦めていた。
 けれど、打ち合わせも何もしてないのに本当に会えた。こんなに早く。
 ──これも運命なの?
 もう陽奈と宏基は「遠距離」に阻まれた二人ではなくなった。だからここから先は二人の気持ち次第だ。
  ~END~