69.退屈世界の破壊神【プロローグ】
ー/ー 現代日本――中心都市。
無機質な背の高いビルが建ち並び、ひしめき合うたくさんの人間。
信号が赤になれば止まり、青になれば進む……そんなルールが普通で、日常。
規律と秩序で成り立つ、平和な世界。
「はぁ……っ……はぁ……」
そこで息をしているひとりの青年は、その体を金と忘却の為だけに売り、日々を退屈に過ごしていた。友人と遊び歩くことも、憧れの職業に就くこともなく、さまよい、逃げるだけ。
腹を満たす為と、大衆浴場に立ち寄る以外は、人混みを避け、暗い路地に潜み、決まった住処はない。
ひとつの所にとどまれば……未来は途絶えるのを知っているから。
「う……っ」
ある時から、自分を呼ぶ者の夢を見るようになった。
それは懐かしく、温かく、優しく柔らかい透き通った声。その白く広い空間で、姿ははっきりと見えないままであったが……その日が近づいていることを知らせているのだと、青年は胸を高鳴らせた。
「ああ」
青年の待ち望んでいたものが、絶えぬ欲望に変わり、日に日に増していくのを感じていた。
逃げるだけの世界で、未来が消え去った世界に、明るい希望なんてものはもう、持っていない。
この青年が強く願っているもの……心に決めた決意は――ひとつ。
「やっと、か」
ビジネス街の大通り。たまたま寄ったコンビニを出た、すぐ後のことだった。
ゆっくりと世界が止まっていくのを感じ、口に運ぼうとしていた菓子パンを捨て、空に手を伸ばす。
「さあ、連れて行け」
青年を求め、それはキレイな少女の手が差し伸べられている……迷いなく、掴んだ。
世界が、明転する。
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