第185話 リハーサル前 集合して実感して
ー/ー 日曜日。今日はリハーサルということで集合場所は学校ではなかった。
自転車を駅近くの駐輪場へ止め、電車に乗って数駅。
ホームに降りてそのまま改札へ、そしてと外に出ると数名が集まっていた。
「おはよう杉野」
「おはよー」
「おう、おはよう樫田、山路」
俺が近づくと、樫田と山路が挨拶をしてきた。
周りを確認しながら返事をする。
どうやら現状、他にいるのは轟先輩と木崎先輩、それと池本と金子のようだ。
俺に気づいたのか、池本と金子もこっちへ来た。
「おはようございます。杉野先輩」
「っす。おはようございますっす!」
「二人ともおはよう。早いな」
軽く挨拶をして、俺はスマホで時間を確認した。
まだ集合には十分以上余裕があった。結構早めに来たつもりだったんだけどな。
「ちなみに一番早く着いたのは池本らしいよー」
「で、俺が二番目」
「っす。めっちゃ早くからいたらしいっす!」
「へぇー。そりゃ気合十分だ」
そう言いながら視線を池本へと向けると、恥ずかしそうに目をそらされた。
別におかしいことでないのに……。
池本の性格を考えると集合時間の三十分前とかにいても不思議ではない。
「他のメンツはまだか?」
「夏村と椎名はお手洗いだ」
「他はまだだねー。大槻は遅れないといいんだけどねー」
「おいおい山路、縁起でもないこと言うなよ」
「冗談だって―」
「ありえそうだから怖いんだよ」
「杉野は心配性だな」
笑う樫田と山路。それにつられる形で池本と金子も微笑する。
そうは言うがな。万が一ってことが。
「誰が遅刻するって?」
そんな話をしていると、俺の背後から知った声が聞こえた。
振り返ると、そこには大槻が立っていた。
「よう、杉野。何があり得そうだって?」
「そりゃ、あれだ、ほら。杞憂ってやつだ」
「ふーん」
何故か気まずい感じを覚えた俺は、適当に言葉を濁した。
大槻は何か言いたげにこっちを見ていた。気まずい感じを壊したのは樫田だった。
「そう不機嫌になるなよ大槻。冗談だって分かってんだろ?」
「分かってるって、こっちも冗談だよ冗談」
大槻が笑顔になると、気まずさが薄れていく。
ったく。リハの前から胃を痛くさせるなよ。
そうこうしているうちに、増倉と田島もやってきた。
どうやら大槻と同じ電車に乗っていたようだ。
「おはようございますぅー! ん? 杉野先輩どうしたんですかぁ?」
「おはよう。何かあった?」
俺の様子を見て、田島と増倉が不思議そうな顔をした。
それに樫田たちが呆れ顔で返答する。
「いいや? ちょっとしたジョークだよ」
「だねー。ちょっとだけブラックなやつー」
「やーね。付き合いは長いってのに」
あ! テメーら嵌めたな!?
おそらく樫田と山路の角度からこっちに近づいてくる大槻が見えたのだろう。
それでわざと、あんなこと言ったな!?
「? よく分かりませんが面白いことを逃した気がしますぅ!」
「バカばっか」
田島は何故か悔しがり、増倉は溜息をついた。
そして金子と池本は笑っていた。
――――――――――――――
そんなこんなで。
お花摘みから戻ってきた椎名と夏村。そしてギリギリに来た津田先輩で演劇部は全員集合した。
春大会のリハーサルのために市の文化ホールへと向かった。
ちなみに顧問のコバセンは車で大道具などを積んで別行動。
駅から歩いて十五分ほどで目的に辿り着く。
目の前に我が市が誇る大きな市民会館が広がった。
中には大ホールと小ホールがあり、春大会で使用するのは小ホールの方だ。
それでも客席数は四百を超える立派なホールだ。
俺の中に、懐かしさと新鮮さが溢れてくる。
緩みそうな気を引き締めて集中していく。
俺たちはまずコバセンと合流して、施設の駐車場の端で輪になった。
「では、皆さん! 前々から言っていましたが今日はここで春大会のリハーサルです! 貴重な一時間ですので、二年生はしっかりと指示を出して一年生はしっかりとそれを聞くようにしてください! あと、施設のルールは守って、施設の人や他校の生徒と出会った際にはちゃんと挨拶をするように! ここからの指示は樫田んを中心にお願いします!」
轟先輩が部長として一通り説明をした。
その言葉に緊張した雰囲気が一気に増した。
話を振られた樫田は少し間を置いてから、ゆっくりと口を開いた。
「はい。では部長からの注意事項が終わったところで、リハーサル前に動きの最終確認です。まず音響の金子は木崎先輩から機材の説明を受けてください。その間に俺と津田先輩でゼラの色の確認をします。役者は大道具の搬入後、舞台で声を出してください。特に一年生は舞台を体感してください。そこら辺の指示は杉野、頼むな」
「ああ」
名前を呼ばれた俺はしっかりと頷いて返事をした。
実際のホールを目の前にしているからだろうか、急激に春大会を実感し始めた。
それはみんなも同じなのかもしれない。緊迫感が場を支配し始めた。
説明を終えると、樫田は最後にみんなを見渡して穏やかな口調で言った。
「貴重な時間だからと気負うのもいいが、楽しむことを忘れるな。まだ本番じゃないし、それにいつもの練習通り、予定通りにすれば大丈夫だから」
不思議と、あるいは自然とその言葉が場の空気を緩和させた。
真剣さを残しながらも、場の雰囲気は軽くなっていく。
それを感じた樫田は、轟先輩へと視線を送る。
「では! いざ参らん! 出陣じゃあ!」
『はい!』
轟先輩の号令に俺たちは高らかに返事をする。
そして、ホールの中へと入っていく。
自転車を駅近くの駐輪場へ止め、電車に乗って数駅。
ホームに降りてそのまま改札へ、そしてと外に出ると数名が集まっていた。
「おはよう杉野」
「おはよー」
「おう、おはよう樫田、山路」
俺が近づくと、樫田と山路が挨拶をしてきた。
周りを確認しながら返事をする。
どうやら現状、他にいるのは轟先輩と木崎先輩、それと池本と金子のようだ。
俺に気づいたのか、池本と金子もこっちへ来た。
「おはようございます。杉野先輩」
「っす。おはようございますっす!」
「二人ともおはよう。早いな」
軽く挨拶をして、俺はスマホで時間を確認した。
まだ集合には十分以上余裕があった。結構早めに来たつもりだったんだけどな。
「ちなみに一番早く着いたのは池本らしいよー」
「で、俺が二番目」
「っす。めっちゃ早くからいたらしいっす!」
「へぇー。そりゃ気合十分だ」
そう言いながら視線を池本へと向けると、恥ずかしそうに目をそらされた。
別におかしいことでないのに……。
池本の性格を考えると集合時間の三十分前とかにいても不思議ではない。
「他のメンツはまだか?」
「夏村と椎名はお手洗いだ」
「他はまだだねー。大槻は遅れないといいんだけどねー」
「おいおい山路、縁起でもないこと言うなよ」
「冗談だって―」
「ありえそうだから怖いんだよ」
「杉野は心配性だな」
笑う樫田と山路。それにつられる形で池本と金子も微笑する。
そうは言うがな。万が一ってことが。
「誰が遅刻するって?」
そんな話をしていると、俺の背後から知った声が聞こえた。
振り返ると、そこには大槻が立っていた。
「よう、杉野。何があり得そうだって?」
「そりゃ、あれだ、ほら。杞憂ってやつだ」
「ふーん」
何故か気まずい感じを覚えた俺は、適当に言葉を濁した。
大槻は何か言いたげにこっちを見ていた。気まずい感じを壊したのは樫田だった。
「そう不機嫌になるなよ大槻。冗談だって分かってんだろ?」
「分かってるって、こっちも冗談だよ冗談」
大槻が笑顔になると、気まずさが薄れていく。
ったく。リハの前から胃を痛くさせるなよ。
そうこうしているうちに、増倉と田島もやってきた。
どうやら大槻と同じ電車に乗っていたようだ。
「おはようございますぅー! ん? 杉野先輩どうしたんですかぁ?」
「おはよう。何かあった?」
俺の様子を見て、田島と増倉が不思議そうな顔をした。
それに樫田たちが呆れ顔で返答する。
「いいや? ちょっとしたジョークだよ」
「だねー。ちょっとだけブラックなやつー」
「やーね。付き合いは長いってのに」
あ! テメーら嵌めたな!?
おそらく樫田と山路の角度からこっちに近づいてくる大槻が見えたのだろう。
それでわざと、あんなこと言ったな!?
「? よく分かりませんが面白いことを逃した気がしますぅ!」
「バカばっか」
田島は何故か悔しがり、増倉は溜息をついた。
そして金子と池本は笑っていた。
――――――――――――――
そんなこんなで。
お花摘みから戻ってきた椎名と夏村。そしてギリギリに来た津田先輩で演劇部は全員集合した。
春大会のリハーサルのために市の文化ホールへと向かった。
ちなみに顧問のコバセンは車で大道具などを積んで別行動。
駅から歩いて十五分ほどで目的に辿り着く。
目の前に我が市が誇る大きな市民会館が広がった。
中には大ホールと小ホールがあり、春大会で使用するのは小ホールの方だ。
それでも客席数は四百を超える立派なホールだ。
俺の中に、懐かしさと新鮮さが溢れてくる。
緩みそうな気を引き締めて集中していく。
俺たちはまずコバセンと合流して、施設の駐車場の端で輪になった。
「では、皆さん! 前々から言っていましたが今日はここで春大会のリハーサルです! 貴重な一時間ですので、二年生はしっかりと指示を出して一年生はしっかりとそれを聞くようにしてください! あと、施設のルールは守って、施設の人や他校の生徒と出会った際にはちゃんと挨拶をするように! ここからの指示は樫田んを中心にお願いします!」
轟先輩が部長として一通り説明をした。
その言葉に緊張した雰囲気が一気に増した。
話を振られた樫田は少し間を置いてから、ゆっくりと口を開いた。
「はい。では部長からの注意事項が終わったところで、リハーサル前に動きの最終確認です。まず音響の金子は木崎先輩から機材の説明を受けてください。その間に俺と津田先輩でゼラの色の確認をします。役者は大道具の搬入後、舞台で声を出してください。特に一年生は舞台を体感してください。そこら辺の指示は杉野、頼むな」
「ああ」
名前を呼ばれた俺はしっかりと頷いて返事をした。
実際のホールを目の前にしているからだろうか、急激に春大会を実感し始めた。
それはみんなも同じなのかもしれない。緊迫感が場を支配し始めた。
説明を終えると、樫田は最後にみんなを見渡して穏やかな口調で言った。
「貴重な時間だからと気負うのもいいが、楽しむことを忘れるな。まだ本番じゃないし、それにいつもの練習通り、予定通りにすれば大丈夫だから」
不思議と、あるいは自然とその言葉が場の空気を緩和させた。
真剣さを残しながらも、場の雰囲気は軽くなっていく。
それを感じた樫田は、轟先輩へと視線を送る。
「では! いざ参らん! 出陣じゃあ!」
『はい!』
轟先輩の号令に俺たちは高らかに返事をする。
そして、ホールの中へと入っていく。
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