第30話 夜明け前の荷
ー/ー隠れ場所へ戻ったあとも、誰もすぐには動かなかった。
動けなかった、の方が近いのかもしれない。
トマが北舎にいる。
しかも夜明け前に上へ送ると、はっきり聞いた。
それだけで十分すぎるほどだった。
古い染物屋の二階には、まだ夜が残っている。板で半ば塞がれた窓の隙間から、細い闇が差し込んでいた。明かりは小さく、机代わりの木箱の上に広げた紙の白さだけが、かえって目につく。
ミナが毛布の端を握ったまま口を開く。
「……今夜?」
「はい」
セシアが答えると、ミナの指先が少しだけ震えた。
エナも、ルイも黙っている。止める言葉が出ない顔だった。
「動くなら、支度が全部終わる前」
低い声だった。
「扉から荷車へ移す瞬間が一番乱れる」
セシアは頷く。
北舎の中で見たものが、まだ鮮明に残っている。椅子に座らされたトマ。手首に巻かれようとしていた布。白くない服の男の、穏やかすぎる声
「狙うのはトマだけ」
リゼが重ねる。
「分かってます」
「分かってても言う。今は一人。欲張ると全部落とすよ」
その現実が胸に刺さる。
けれど、その痛みごと飲み込むしかなかった。
エナが小さく言った。
「トマ、朝が苦手」
セシアとリゼがそちらを見る。
「起きてすぐ、足がちゃんと動かないことが多いの」
ミナも続ける。
「壁につけられる時、左から二番目の子から呼ばれることが多かった」
ルイは少しだけ迷ってから口を開いた。
「運ぶ前の子、白い布かけられる。……眠ってなくても」
それぞれの断片が、小さく重なっていく。
夜明け前
足が鈍いトマ
白布
側面の扉
小さな荷車
リゼは木炭を置いた。
「十分」
短く言う。
「行ける」
誰も、それ以上は言わなかった。
セシアは祈祷書を胸に抱え直す。
トマの名前は、そこにある。
だから、もう見送れない。
部屋を出る前、ミナがぽつりと言った。
「……トマ、名前呼ばれると、ちゃんと返事する」
その言葉に、セシアは振り返る。
「番号だと、黙ること多いけど」
ミナは少しだけ視線を落とした。
「名前なら、たぶん来る」
セシアは頷いた。
「分かりました」
それだけ言って、扉を閉める。
夜の町は、朝になる前が一番さむい。
北へ向かう道には人影がなかった。倉庫街の石畳は湿っていて、足音を少しだけ吸ってくれる。遠くで荷車の車輪が鳴ったような気がしたが、風の音と混ざってすぐ消えた。
北舎は、昨夜よりも低く見えた。
いや、建物は変わらない。
こちらの方が、近づいているのだ。
側面の塀沿いへ回る。
小さな荷車はまだ壁際にあった。馬は繋がれたまま、落ち着かなげに足を鳴らしている。荷台には白布と縄、それから薄い木箱が一つ。荷を積むには足りない。人を載せるための準備だと分かってしまう。
リゼが荷車の影へ身を沈めた。
「まだ動いてない」
北舎の側面扉は閉じている。
だが下の隙間から細く灯りが漏れていた。
セシアは胸の奥へ意識を向ける。
遠くない。
白い家で聞いた時よりずっと近いところで、かすかな気配が揺れている。
『……いや』
声は細い。
でも、はっきり届いた。
「……います」
囁くと、リゼが頷く。
「合図出したら入るよ」
「どうやって」
そう聞いた時には、リゼはもう荷台の縄に手をかけていた。
「馬って音に弱いんだよね」
さらりと言って、白布の端をわざと大きく揺らす。続けて、荷車の後ろの木箱を少しだけずらす。木がこすれる嫌な音。
馬が首を振る。
もう一度、蹄が石を打つ。
次の瞬間、リゼが手綱の金具をわずかに外した。
馬がいななき、荷車が横へ大きく揺れた。
側面扉の内側で、すぐに人の声が上がる。
「どうした!」
「馬が――」
扉が開く。
白くない服の男が一人、外へ飛び出した。その後ろからもう一人。
ふたりの視線が荷車と馬へ向いた、その一瞬で十分だった。
「今」
リゼの声と同時に、セシアは扉の内側へ滑り込んだ。
中は狭い通路だった。薬と古布の匂いが濃い。灯りは弱く、壁際に箱が積まれている。昨夜見た移送前の小部屋は、半開きのままだった。
セシアは迷わずそこへ向かう。
部屋の中には、トマがいた。
椅子に座らされたまま、肩へ白布を掛けられかけている。手首にはまだ布紐が巻かれていない。
白くない服の女が背を向けて荷台用の縄を整えていた。
トマの目が、こちらへ向く。
焦点が定まりきらないまま、でも確かに揺れた。
「トマ」
名を呼ぶ。
ミナの言葉通りだった。
番号ではなく、名前で呼ばれた瞬間、トマの目がわずかに開く。
「……だれ」
「迎えに来ました」
小さく言って、セシアは部屋へ踏み込む。
女が振り返る。
声を上げるより早く、セシアはトマの手を取った。
冷たい。
だが、反応はある。
「立てますか」
トマはすぐには頷けなかった。
それでも、名を呼び続ける。
「トマ。行きます。ここから出ます」
女がようやく息を呑み、叫ぼうとした時、通路の方で箱の崩れる音が響いた。
リゼだ。
女の意識がそちらへ逸れる。
その隙にセシアはトマの腕を肩へ回し、半ば抱えるようにして立たせた。
軽い。
それなのに足取りは重い。
「……歩ける」
トマが小さく呟いた。
「名前、呼ばれたから」
その一言が胸に刺さる。
女が「待ちなさい」と声を上げる。
だが、それは命令というより願いに近かった。もう遅い。
通路へ出る。
リゼが箱を蹴り散らしたまま待っている。外では馬がまだ興奮していて、白くない服の男たちが押さえるのに手間取っていた。
「こっち」
リゼがトマの反対側の腕を取る。
三人で側面扉を抜ける。
外気が頬を打つ。
その瞬間、北舎の奥から低い声が響いた。
「何をしている」
白い上着だった。
昨夜、北舎の中で見た年上の男。
髪に白いものが混じり、頬のこけた、感情を外へ出さない顔。
男は荷車の脇で止まり、トマではなく、まずセシアを見た。
「……そうか」
わずかに細くなる目。
「白い家の穴は、君たちか」
静かな声だった。
怒鳴らない。
だからこそ不気味だった。
リゼが一歩だけ前へ出る。
「道をあけて」
「その子は上へ送る」
男はそう言って、荷車の木箱を指先で軽く叩いた。
「ここで留める意味はもうない」
その仕草で、セシアの目に荷台の端が映る。
木箱の脇に、薄い札が差し込まれていた。
全部は読めない。
だが、最後の二文字だけは見えた。
本舎
やはり、まだ先がある。
「どこへ送るつもりですか」
セシアが思わず問うと、男はほんの少しだけ口元を緩めた。
「君に教えると思うかい」
善意のような顔で、そう言う。
「だが、いずれ分かる。君も本来は、その流れの内側にいたのだから」
その言い方に、白祈院の記録が頭をよぎる。
自分もまた、どこかへ送られる側だったのだ。
だが今は止まれない。
リゼが荷車の車輪を蹴る。
外れかけていた金具が大きく鳴り、馬がさらに暴れた。
男たちの視線がそちらへ逸れる。
「走れ!」
トマを支えたまま、セシアは塀沿いへ飛び出した。
リゼがすぐ後ろにつく。
背後で叫び声が上がる。
白い上着の男は追ってこなかった。
代わりに白くない服の職員が二人、こちらへ駆け出してくる。
トマの足が何度ももつれる。そのたびにセシアが肩を支え、リゼが後ろから押す。
「ほら、もう少しだよ」
声をかけると、トマはかすれた声で答えた。
「……うん」
まだ薬が残っているのか、言葉が遅い。
それでも意識はある。
角を二つ曲がったところで、追う足音が少し遠ざかった。
倉庫街の地形が味方したのだろう。
それでも止まらず、古い井戸の脇を抜け、裏通りまで戻る。
隠れ場所へ辿り着いた時には、空が本当に白み始めていた。
扉を閉めた瞬間、ミナが立ち上がる。
エナとルイも、その後ろの影を見て息を呑んだ。
「……トマ」
名を呼ばれたトマは、すぐには返事ができなかった。
だが、寝台へ座らされ、水袋を受け取り、ミナの顔を見たところで、ようやく口を開いた。
「……ミナ」
その一言だけで、部屋の空気が少し変わる。
エナが目を伏せ、ルイがそっと息を吐いた。
これで四人だ。
セシアは壁へ背を預け、ようやく大きく息をつく。
喉が痛い。
足も重い。
それでも、祈祷書の中の名前と、今ここにいるトマが繋がったことだけははっきりしていた。
リゼが先に口を開く。
「これで四人」
短く、事実だけを言う。
「でも終わりじゃない」
セシアも頷く。
「はい」
北舎は残っている。
白い家も残っている。
そして、その先に本舎がある。
トマが水を飲んだあと、小さな声で聞いた。
「……なんで」
セシアは祈祷書を開いた。
そこにある名前を見せる。
ミナ。
エナ。
ルイ。
トマ。
「ここにあるからです」
トマはしばらくその頁を見ていた。
やがて、ほんのわずかに指先を伸ばし、自分の名前の近くへ触れる。
「……ある」
それだけで十分だった。
セシアは祈祷書を閉じる。
本舎。
その二文字が、もう次の行き先になっている。
名前は四つ、ここへ戻った。
でも、白い流れそのものはまだ切れていない。
動けなかった、の方が近いのかもしれない。
トマが北舎にいる。
しかも夜明け前に上へ送ると、はっきり聞いた。
それだけで十分すぎるほどだった。
古い染物屋の二階には、まだ夜が残っている。板で半ば塞がれた窓の隙間から、細い闇が差し込んでいた。明かりは小さく、机代わりの木箱の上に広げた紙の白さだけが、かえって目につく。
ミナが毛布の端を握ったまま口を開く。
「……今夜?」
「はい」
セシアが答えると、ミナの指先が少しだけ震えた。
エナも、ルイも黙っている。止める言葉が出ない顔だった。
「動くなら、支度が全部終わる前」
低い声だった。
「扉から荷車へ移す瞬間が一番乱れる」
セシアは頷く。
北舎の中で見たものが、まだ鮮明に残っている。椅子に座らされたトマ。手首に巻かれようとしていた布。白くない服の男の、穏やかすぎる声
「狙うのはトマだけ」
リゼが重ねる。
「分かってます」
「分かってても言う。今は一人。欲張ると全部落とすよ」
その現実が胸に刺さる。
けれど、その痛みごと飲み込むしかなかった。
エナが小さく言った。
「トマ、朝が苦手」
セシアとリゼがそちらを見る。
「起きてすぐ、足がちゃんと動かないことが多いの」
ミナも続ける。
「壁につけられる時、左から二番目の子から呼ばれることが多かった」
ルイは少しだけ迷ってから口を開いた。
「運ぶ前の子、白い布かけられる。……眠ってなくても」
それぞれの断片が、小さく重なっていく。
夜明け前
足が鈍いトマ
白布
側面の扉
小さな荷車
リゼは木炭を置いた。
「十分」
短く言う。
「行ける」
誰も、それ以上は言わなかった。
セシアは祈祷書を胸に抱え直す。
トマの名前は、そこにある。
だから、もう見送れない。
部屋を出る前、ミナがぽつりと言った。
「……トマ、名前呼ばれると、ちゃんと返事する」
その言葉に、セシアは振り返る。
「番号だと、黙ること多いけど」
ミナは少しだけ視線を落とした。
「名前なら、たぶん来る」
セシアは頷いた。
「分かりました」
それだけ言って、扉を閉める。
夜の町は、朝になる前が一番さむい。
北へ向かう道には人影がなかった。倉庫街の石畳は湿っていて、足音を少しだけ吸ってくれる。遠くで荷車の車輪が鳴ったような気がしたが、風の音と混ざってすぐ消えた。
北舎は、昨夜よりも低く見えた。
いや、建物は変わらない。
こちらの方が、近づいているのだ。
側面の塀沿いへ回る。
小さな荷車はまだ壁際にあった。馬は繋がれたまま、落ち着かなげに足を鳴らしている。荷台には白布と縄、それから薄い木箱が一つ。荷を積むには足りない。人を載せるための準備だと分かってしまう。
リゼが荷車の影へ身を沈めた。
「まだ動いてない」
北舎の側面扉は閉じている。
だが下の隙間から細く灯りが漏れていた。
セシアは胸の奥へ意識を向ける。
遠くない。
白い家で聞いた時よりずっと近いところで、かすかな気配が揺れている。
『……いや』
声は細い。
でも、はっきり届いた。
「……います」
囁くと、リゼが頷く。
「合図出したら入るよ」
「どうやって」
そう聞いた時には、リゼはもう荷台の縄に手をかけていた。
「馬って音に弱いんだよね」
さらりと言って、白布の端をわざと大きく揺らす。続けて、荷車の後ろの木箱を少しだけずらす。木がこすれる嫌な音。
馬が首を振る。
もう一度、蹄が石を打つ。
次の瞬間、リゼが手綱の金具をわずかに外した。
馬がいななき、荷車が横へ大きく揺れた。
側面扉の内側で、すぐに人の声が上がる。
「どうした!」
「馬が――」
扉が開く。
白くない服の男が一人、外へ飛び出した。その後ろからもう一人。
ふたりの視線が荷車と馬へ向いた、その一瞬で十分だった。
「今」
リゼの声と同時に、セシアは扉の内側へ滑り込んだ。
中は狭い通路だった。薬と古布の匂いが濃い。灯りは弱く、壁際に箱が積まれている。昨夜見た移送前の小部屋は、半開きのままだった。
セシアは迷わずそこへ向かう。
部屋の中には、トマがいた。
椅子に座らされたまま、肩へ白布を掛けられかけている。手首にはまだ布紐が巻かれていない。
白くない服の女が背を向けて荷台用の縄を整えていた。
トマの目が、こちらへ向く。
焦点が定まりきらないまま、でも確かに揺れた。
「トマ」
名を呼ぶ。
ミナの言葉通りだった。
番号ではなく、名前で呼ばれた瞬間、トマの目がわずかに開く。
「……だれ」
「迎えに来ました」
小さく言って、セシアは部屋へ踏み込む。
女が振り返る。
声を上げるより早く、セシアはトマの手を取った。
冷たい。
だが、反応はある。
「立てますか」
トマはすぐには頷けなかった。
それでも、名を呼び続ける。
「トマ。行きます。ここから出ます」
女がようやく息を呑み、叫ぼうとした時、通路の方で箱の崩れる音が響いた。
リゼだ。
女の意識がそちらへ逸れる。
その隙にセシアはトマの腕を肩へ回し、半ば抱えるようにして立たせた。
軽い。
それなのに足取りは重い。
「……歩ける」
トマが小さく呟いた。
「名前、呼ばれたから」
その一言が胸に刺さる。
女が「待ちなさい」と声を上げる。
だが、それは命令というより願いに近かった。もう遅い。
通路へ出る。
リゼが箱を蹴り散らしたまま待っている。外では馬がまだ興奮していて、白くない服の男たちが押さえるのに手間取っていた。
「こっち」
リゼがトマの反対側の腕を取る。
三人で側面扉を抜ける。
外気が頬を打つ。
その瞬間、北舎の奥から低い声が響いた。
「何をしている」
白い上着だった。
昨夜、北舎の中で見た年上の男。
髪に白いものが混じり、頬のこけた、感情を外へ出さない顔。
男は荷車の脇で止まり、トマではなく、まずセシアを見た。
「……そうか」
わずかに細くなる目。
「白い家の穴は、君たちか」
静かな声だった。
怒鳴らない。
だからこそ不気味だった。
リゼが一歩だけ前へ出る。
「道をあけて」
「その子は上へ送る」
男はそう言って、荷車の木箱を指先で軽く叩いた。
「ここで留める意味はもうない」
その仕草で、セシアの目に荷台の端が映る。
木箱の脇に、薄い札が差し込まれていた。
全部は読めない。
だが、最後の二文字だけは見えた。
本舎
やはり、まだ先がある。
「どこへ送るつもりですか」
セシアが思わず問うと、男はほんの少しだけ口元を緩めた。
「君に教えると思うかい」
善意のような顔で、そう言う。
「だが、いずれ分かる。君も本来は、その流れの内側にいたのだから」
その言い方に、白祈院の記録が頭をよぎる。
自分もまた、どこかへ送られる側だったのだ。
だが今は止まれない。
リゼが荷車の車輪を蹴る。
外れかけていた金具が大きく鳴り、馬がさらに暴れた。
男たちの視線がそちらへ逸れる。
「走れ!」
トマを支えたまま、セシアは塀沿いへ飛び出した。
リゼがすぐ後ろにつく。
背後で叫び声が上がる。
白い上着の男は追ってこなかった。
代わりに白くない服の職員が二人、こちらへ駆け出してくる。
トマの足が何度ももつれる。そのたびにセシアが肩を支え、リゼが後ろから押す。
「ほら、もう少しだよ」
声をかけると、トマはかすれた声で答えた。
「……うん」
まだ薬が残っているのか、言葉が遅い。
それでも意識はある。
角を二つ曲がったところで、追う足音が少し遠ざかった。
倉庫街の地形が味方したのだろう。
それでも止まらず、古い井戸の脇を抜け、裏通りまで戻る。
隠れ場所へ辿り着いた時には、空が本当に白み始めていた。
扉を閉めた瞬間、ミナが立ち上がる。
エナとルイも、その後ろの影を見て息を呑んだ。
「……トマ」
名を呼ばれたトマは、すぐには返事ができなかった。
だが、寝台へ座らされ、水袋を受け取り、ミナの顔を見たところで、ようやく口を開いた。
「……ミナ」
その一言だけで、部屋の空気が少し変わる。
エナが目を伏せ、ルイがそっと息を吐いた。
これで四人だ。
セシアは壁へ背を預け、ようやく大きく息をつく。
喉が痛い。
足も重い。
それでも、祈祷書の中の名前と、今ここにいるトマが繋がったことだけははっきりしていた。
リゼが先に口を開く。
「これで四人」
短く、事実だけを言う。
「でも終わりじゃない」
セシアも頷く。
「はい」
北舎は残っている。
白い家も残っている。
そして、その先に本舎がある。
トマが水を飲んだあと、小さな声で聞いた。
「……なんで」
セシアは祈祷書を開いた。
そこにある名前を見せる。
ミナ。
エナ。
ルイ。
トマ。
「ここにあるからです」
トマはしばらくその頁を見ていた。
やがて、ほんのわずかに指先を伸ばし、自分の名前の近くへ触れる。
「……ある」
それだけで十分だった。
セシアは祈祷書を閉じる。
本舎。
その二文字が、もう次の行き先になっている。
名前は四つ、ここへ戻った。
でも、白い流れそのものはまだ切れていない。
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