第16話 残された名前
ー/ー夜の冷たさが、ようやく肌の内側まで落ち着いてきた頃だった。
町外れから少し離れた裏路地の一角。使われていない物置小屋の軒先で、三人はようやく足を止めていた。
屋根はあるが壁は半分崩れていて、風は普通に入ってくる。暖かい場所ではない。けれど今のセシアには、それでも十分だった。
白い家から距離がある。
追手の気配も、今のところはない。
ミナは古い木箱のそばに座り込み、まだ小さく肩を震わせていた。
逃げ切れたことを、たぶんまだ体が信じきれていない。
セシアは自分の上着を脱いで、そっとミナの肩へかけた。
ミナがびくりとする。
「……あ」
「寒いので」
できるだけ柔らかく言うと、ミナはしばらく黙ったあと、小さく布の端を握った。
その仕草がひどく幼く見えて、セシアの胸が少しだけ痛む。
この子はまだ、子どもだ。
名前を呼ばれて驚くような場所に閉じ込められる年じゃない。
リゼは物置の入り口近くで、外の様子を見ながら壁にもたれていた。しばらく気配を探ってから、ようやく小さく息を吐く。
「……追っては来てないっぽい」
セシアも少しだけ肩の力を抜いた。
「よかった……」
「いや、今日のところは、ね」
リゼの言い方は現実的だった。
それでいいと思う。
ここで安心しきるには、まだ早い。
白い家の連中が本気で探せば、この町外れをしらみつぶしにされる可能性は十分にある。
問題は今夜を越えた後だ。
「……水、飲む?」
リゼが腰の小さな革袋を放る。
セシアが受け取り、ミナへ差し出すと、ミナは最初だけ躊躇ったあと、両手で袋を持ってほんの少しだけ口をつけた。
飲み方まで遠慮がちだった。
白い家で、どんなふうに生かされていたのかが、そういう小さな仕草に滲む。
「……ありがとう」
かすれた声だった。
セシアは小さく首を振る。
「大丈夫です」
少し沈黙が落ちる。
夜風が、壊れた壁の隙間を抜けていく音がした。
ミナはしばらく水袋を握っていたが、やがてセシアの方を見上げた。
「……なんで」
その一言だけで、続きを言わなくても分かる気がした。
なんで助けたのか。
なんでここまで来たのか。
なんで名前を知っていたのか。
セシアは少しだけ迷ってから答えた。
「……あなたが、いなかったからです」
ミナがきょとんとする。
「いなかった?」
「名簿に、いませんでした」
言いながら、自分の中でもその言葉の重さを改めて感じる。
「でも、いました」
ミナはしばらく黙っていた。
やがて、唇を小さく動かす。
「……みんな、いなくなる」
その声は、ひどく静かだった。
セシアの背中に冷たいものが走る。
「みんな?」
ミナは膝を抱えたまま、視線を落とす。
「静かにしてると、いい子だって言われるの」
その言葉が、ひどく嫌だった。
白祈院と、同じだ。
「お祈りして、泣かないで、ちゃんと待ってると……見に来る」
「誰が」
リゼが低く聞く。
ミナはすぐには答えなかった。
でも、その怯えた沈黙が何より答えに近い。
「……白い人」
やはり、と思う。
白い上着の男たち。
あるいは、神殿側の人間。
「で、いい子からいなくなる」
その一言に、セシアは喉が詰まる。
白祈院でも似たようなことがあった。
よく祈る子
よく耐える子
よく従う子
そういう子ほど、ある日いなくなる。
けれどそこにはいつも、ちゃんとした説明が用意されていた。
選ばれたのだと。
祝福されたのだと。
次の場所へ行ったのだと。
だから、残された側は何も言えない。
何かを失った感覚だけを抱えたまま、黙るしかない。
「……戻ってこないんですか」
セシアが聞くと、ミナは首を横に振った。
「ううん」
その動きは小さいのに、あまりにも重かった。
セシアは膝の上で手を握りしめる。
やっぱり、同じだ。
白い家だけの話ではない。
白祈院だけの話でもない。
これはもっと広く、もっと長く続いている構造だ。
リゼが壁から体を離した。
「人数、分かる?」
ミナが顔を上げる。
「今、下に何人いるか」
ミナは少しだけ考え、それから指を折ろうとして、途中で止まった。
「……わかんない」
「だいたいでいい」
「前は……わたしのほかに、三人いた」
セシアの呼吸が少しだけ浅くなる。
「前?」
「昨日は、二人しか見てない」
その言い方が嫌だった。
減っている。
その理由が分からないのが、さらに嫌だった。
「名前は?」
リゼが続ける。
ミナは唇を噛み、それからぽつりぽつりと答えた。
「……エナ」
「あと、トマ」
「それから……ルイ、だったと思う」
だった。
その言い方が、すでに存在が揺らいでいるみたいで、セシアの胸に重く落ちる。
セシアは祈祷書を開き、空いている頁にその名前を書き留めた。
エナ。
トマ。
ルイ。
ミナの名も、その横に書く。
インクはない。
だから鉛筆の短い芯で、少しずつ。
でも、それでいいと思った。
ここに書くことに意味がある。
「……なにしてるの」
ミナが小さく聞く。
セシアは顔を上げる。
「残しています」
「……なにを」
「名前を」
ミナはその言葉を、すぐには理解できなかったみたいに瞬いた。
でも、やがてゆっくりと祈祷書の頁を見つめる。
「消えないように」
セシアがそう言うと、ミナは少しだけ目を見開いた。
その反応を見て、セシアはようやく自分の中でひとつの形ができた気がした。
自分がやっていること。
拾ってしまう理由。
それはきっと、聞こえるからだけじゃない。
消されたものを、残したい。
それが今の自分の動く理由なのだと、ようやく分かり始めていた。
その時、胸の奥に、また微かなものが落ちてきた。
『……さむい』
小さな声だった。
セシアの指が止まる。
地下の方からだ。
まだ、聞こえる。
やはり、残っている。
助けられたのは、ミナ一人だけだ。
それがあまりにも重かった。
「……まだいます」
セシアが呟くと、リゼも頷いた。
「うん。分かってる」
リゼは物置の入り口から少し外へ出て、夜の気配をもう一度探ったあと、低く言った。
「今日のうちにもう一回は無理」
それは当然だった。
今夜はすでに見つかりかけている。
白い家の連中も、地下が空だったことに気づいているはずだ。
今からもう一度潜れば、今度こそ戻れない可能性が高い。
セシアも、それは分かっていた。
分かっているのに、胸の奥がざらつく。
今も下にいるものがあるのに、すぐには行けない。
それが苦しかった。
「……でも、置いていけないです」
声が少しだけ震える。
リゼはその震えを否定しなかった。
「うん。だから置いてかない」
短い言葉だった。
けれど、その一言がセシアにはありがたかった。
今は“できない”と“やらない”は違う。
それだけで、呼吸が少しだけ楽になる。
「朝になる前に、まずこの子を隠せる場所に移す」
リゼがミナを見た。
「それから昼のうちに、町の出入りと見張りの癖をもう一回見る。白い家に誰が出入りしてるかも確認する」
現実的な手順に落としていく声。
セシアはその声を聞きながら、自分の焦りが少しずつ形を持っていくのを感じた。
「……助けられますか」
思わず口にすると、リゼは一瞬だけ黙った。
それから、はっきりと言う。
「分からない」
セシアは息を詰める。
だがリゼは、そのまま続けた。
「でも、今分かってるのは一個だけ」
「……なんですか」
「見つけた以上、もう放っとけないってこと」
その言葉に、セシアは静かに頷いた。
そうだ。
もう知ってしまった。
だから戻れない。
白祈院から逃げた夜も、きっと少し似ていた。
ただあの時は、自分のために逃げた。
今は違う。
今は、自分以外の“消されるもの”を見てしまった。
だから、次へ進むしかない。
ミナが小さな声で言った。
「……また、戻るの?」
その問いに、セシアは迷わなかった。
「戻ります」
ミナの肩がわずかに強張る。
「こわいよ」
「はい」
「みつかったら、いなくなる」
その言葉が、まっすぐ胸に刺さる。
セシアは少しだけ考えてから、静かに答えた。
「だから、今度は隠れたままじゃ終わらせません」
ミナが顔を上げる。
「……ほんとに?」
その目は、まだ信じきれていない。
当然だと思う。
だからセシアは、祈祷書をそっとミナに見せた。
そこに書かれた名前。
ミナ。
エナ。
トマ。
ルイ。
「ここに書いたから」
ミナは頁を見つめる。
「……それで、どうなるの」
「すぐには何も変わらないかもしれません」
セシアは正直に言う。
「でも、なかったことにはさせません」
その言葉を口にした瞬間、胸の奥が少しだけ熱くなった。
それが今の自分の言葉だと、ちゃんと分かった。
神に選ばれなかった。
だからこそ、残されたものを見る。
その役目なら、たぶん引き受けられる。
リゼが小さく鼻を鳴らした。
「……いい顔するようになったね」
「そんな顔してますか」
「してる」
短い返しに、セシアは少しだけだけ目を伏せる。
褒められた気はしない。
でも、前より少しだけ、自分の足で立てている気はした。
夜風がまた、壊れた壁の隙間を抜ける。
遠くで鐘がひとつ鳴った。
朝まではまだ少しある。
白い家の下には、まだ残されている名前がある。
それを思うと、胸は重い。
けれど同時に、その重さを抱えたまま進くしかないとも思えた。
セシアは祈祷書を閉じた。
頁の中には、今夜拾った名前が残っている。
消されかけたもの。
拾われなかったもの。
それでも、ここにあるもの。
その先には、まだ白い家がある。
まだ終わっていない。
町外れから少し離れた裏路地の一角。使われていない物置小屋の軒先で、三人はようやく足を止めていた。
屋根はあるが壁は半分崩れていて、風は普通に入ってくる。暖かい場所ではない。けれど今のセシアには、それでも十分だった。
白い家から距離がある。
追手の気配も、今のところはない。
ミナは古い木箱のそばに座り込み、まだ小さく肩を震わせていた。
逃げ切れたことを、たぶんまだ体が信じきれていない。
セシアは自分の上着を脱いで、そっとミナの肩へかけた。
ミナがびくりとする。
「……あ」
「寒いので」
できるだけ柔らかく言うと、ミナはしばらく黙ったあと、小さく布の端を握った。
その仕草がひどく幼く見えて、セシアの胸が少しだけ痛む。
この子はまだ、子どもだ。
名前を呼ばれて驚くような場所に閉じ込められる年じゃない。
リゼは物置の入り口近くで、外の様子を見ながら壁にもたれていた。しばらく気配を探ってから、ようやく小さく息を吐く。
「……追っては来てないっぽい」
セシアも少しだけ肩の力を抜いた。
「よかった……」
「いや、今日のところは、ね」
リゼの言い方は現実的だった。
それでいいと思う。
ここで安心しきるには、まだ早い。
白い家の連中が本気で探せば、この町外れをしらみつぶしにされる可能性は十分にある。
問題は今夜を越えた後だ。
「……水、飲む?」
リゼが腰の小さな革袋を放る。
セシアが受け取り、ミナへ差し出すと、ミナは最初だけ躊躇ったあと、両手で袋を持ってほんの少しだけ口をつけた。
飲み方まで遠慮がちだった。
白い家で、どんなふうに生かされていたのかが、そういう小さな仕草に滲む。
「……ありがとう」
かすれた声だった。
セシアは小さく首を振る。
「大丈夫です」
少し沈黙が落ちる。
夜風が、壊れた壁の隙間を抜けていく音がした。
ミナはしばらく水袋を握っていたが、やがてセシアの方を見上げた。
「……なんで」
その一言だけで、続きを言わなくても分かる気がした。
なんで助けたのか。
なんでここまで来たのか。
なんで名前を知っていたのか。
セシアは少しだけ迷ってから答えた。
「……あなたが、いなかったからです」
ミナがきょとんとする。
「いなかった?」
「名簿に、いませんでした」
言いながら、自分の中でもその言葉の重さを改めて感じる。
「でも、いました」
ミナはしばらく黙っていた。
やがて、唇を小さく動かす。
「……みんな、いなくなる」
その声は、ひどく静かだった。
セシアの背中に冷たいものが走る。
「みんな?」
ミナは膝を抱えたまま、視線を落とす。
「静かにしてると、いい子だって言われるの」
その言葉が、ひどく嫌だった。
白祈院と、同じだ。
「お祈りして、泣かないで、ちゃんと待ってると……見に来る」
「誰が」
リゼが低く聞く。
ミナはすぐには答えなかった。
でも、その怯えた沈黙が何より答えに近い。
「……白い人」
やはり、と思う。
白い上着の男たち。
あるいは、神殿側の人間。
「で、いい子からいなくなる」
その一言に、セシアは喉が詰まる。
白祈院でも似たようなことがあった。
よく祈る子
よく耐える子
よく従う子
そういう子ほど、ある日いなくなる。
けれどそこにはいつも、ちゃんとした説明が用意されていた。
選ばれたのだと。
祝福されたのだと。
次の場所へ行ったのだと。
だから、残された側は何も言えない。
何かを失った感覚だけを抱えたまま、黙るしかない。
「……戻ってこないんですか」
セシアが聞くと、ミナは首を横に振った。
「ううん」
その動きは小さいのに、あまりにも重かった。
セシアは膝の上で手を握りしめる。
やっぱり、同じだ。
白い家だけの話ではない。
白祈院だけの話でもない。
これはもっと広く、もっと長く続いている構造だ。
リゼが壁から体を離した。
「人数、分かる?」
ミナが顔を上げる。
「今、下に何人いるか」
ミナは少しだけ考え、それから指を折ろうとして、途中で止まった。
「……わかんない」
「だいたいでいい」
「前は……わたしのほかに、三人いた」
セシアの呼吸が少しだけ浅くなる。
「前?」
「昨日は、二人しか見てない」
その言い方が嫌だった。
減っている。
その理由が分からないのが、さらに嫌だった。
「名前は?」
リゼが続ける。
ミナは唇を噛み、それからぽつりぽつりと答えた。
「……エナ」
「あと、トマ」
「それから……ルイ、だったと思う」
だった。
その言い方が、すでに存在が揺らいでいるみたいで、セシアの胸に重く落ちる。
セシアは祈祷書を開き、空いている頁にその名前を書き留めた。
エナ。
トマ。
ルイ。
ミナの名も、その横に書く。
インクはない。
だから鉛筆の短い芯で、少しずつ。
でも、それでいいと思った。
ここに書くことに意味がある。
「……なにしてるの」
ミナが小さく聞く。
セシアは顔を上げる。
「残しています」
「……なにを」
「名前を」
ミナはその言葉を、すぐには理解できなかったみたいに瞬いた。
でも、やがてゆっくりと祈祷書の頁を見つめる。
「消えないように」
セシアがそう言うと、ミナは少しだけ目を見開いた。
その反応を見て、セシアはようやく自分の中でひとつの形ができた気がした。
自分がやっていること。
拾ってしまう理由。
それはきっと、聞こえるからだけじゃない。
消されたものを、残したい。
それが今の自分の動く理由なのだと、ようやく分かり始めていた。
その時、胸の奥に、また微かなものが落ちてきた。
『……さむい』
小さな声だった。
セシアの指が止まる。
地下の方からだ。
まだ、聞こえる。
やはり、残っている。
助けられたのは、ミナ一人だけだ。
それがあまりにも重かった。
「……まだいます」
セシアが呟くと、リゼも頷いた。
「うん。分かってる」
リゼは物置の入り口から少し外へ出て、夜の気配をもう一度探ったあと、低く言った。
「今日のうちにもう一回は無理」
それは当然だった。
今夜はすでに見つかりかけている。
白い家の連中も、地下が空だったことに気づいているはずだ。
今からもう一度潜れば、今度こそ戻れない可能性が高い。
セシアも、それは分かっていた。
分かっているのに、胸の奥がざらつく。
今も下にいるものがあるのに、すぐには行けない。
それが苦しかった。
「……でも、置いていけないです」
声が少しだけ震える。
リゼはその震えを否定しなかった。
「うん。だから置いてかない」
短い言葉だった。
けれど、その一言がセシアにはありがたかった。
今は“できない”と“やらない”は違う。
それだけで、呼吸が少しだけ楽になる。
「朝になる前に、まずこの子を隠せる場所に移す」
リゼがミナを見た。
「それから昼のうちに、町の出入りと見張りの癖をもう一回見る。白い家に誰が出入りしてるかも確認する」
現実的な手順に落としていく声。
セシアはその声を聞きながら、自分の焦りが少しずつ形を持っていくのを感じた。
「……助けられますか」
思わず口にすると、リゼは一瞬だけ黙った。
それから、はっきりと言う。
「分からない」
セシアは息を詰める。
だがリゼは、そのまま続けた。
「でも、今分かってるのは一個だけ」
「……なんですか」
「見つけた以上、もう放っとけないってこと」
その言葉に、セシアは静かに頷いた。
そうだ。
もう知ってしまった。
だから戻れない。
白祈院から逃げた夜も、きっと少し似ていた。
ただあの時は、自分のために逃げた。
今は違う。
今は、自分以外の“消されるもの”を見てしまった。
だから、次へ進むしかない。
ミナが小さな声で言った。
「……また、戻るの?」
その問いに、セシアは迷わなかった。
「戻ります」
ミナの肩がわずかに強張る。
「こわいよ」
「はい」
「みつかったら、いなくなる」
その言葉が、まっすぐ胸に刺さる。
セシアは少しだけ考えてから、静かに答えた。
「だから、今度は隠れたままじゃ終わらせません」
ミナが顔を上げる。
「……ほんとに?」
その目は、まだ信じきれていない。
当然だと思う。
だからセシアは、祈祷書をそっとミナに見せた。
そこに書かれた名前。
ミナ。
エナ。
トマ。
ルイ。
「ここに書いたから」
ミナは頁を見つめる。
「……それで、どうなるの」
「すぐには何も変わらないかもしれません」
セシアは正直に言う。
「でも、なかったことにはさせません」
その言葉を口にした瞬間、胸の奥が少しだけ熱くなった。
それが今の自分の言葉だと、ちゃんと分かった。
神に選ばれなかった。
だからこそ、残されたものを見る。
その役目なら、たぶん引き受けられる。
リゼが小さく鼻を鳴らした。
「……いい顔するようになったね」
「そんな顔してますか」
「してる」
短い返しに、セシアは少しだけだけ目を伏せる。
褒められた気はしない。
でも、前より少しだけ、自分の足で立てている気はした。
夜風がまた、壊れた壁の隙間を抜ける。
遠くで鐘がひとつ鳴った。
朝まではまだ少しある。
白い家の下には、まだ残されている名前がある。
それを思うと、胸は重い。
けれど同時に、その重さを抱えたまま進くしかないとも思えた。
セシアは祈祷書を閉じた。
頁の中には、今夜拾った名前が残っている。
消されかけたもの。
拾われなかったもの。
それでも、ここにあるもの。
その先には、まだ白い家がある。
まだ終わっていない。
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