【2】
ー/ー
◇ ◇ ◇
「成美ちゃん、お天気悪いけど大丈夫? よかったら私、お家に遊びに行こうか? ──まだ半年も経たないし、その」
「ううん、親もいるし平気よ。でもありがとう、嬉しい」
わざわざ電話を掛けて来てまで気遣ってくれる友人に、心からの感謝を告げる。
流石にはっきり口には出すことはないものの、彼女が『何』を心に浮かべているのかはよくわかっていた。
雨は、特別。
成美をよく知る皆が共有する事実だ。
両親も交互に部屋を覗きに来て、電話中の姿に安心したらしい。さり気なさを装いながらも緊張が隠し切れない二人の姿に、愛されていると実感する。
……あの直後は雨天のたびに取り乱して、親にも友人たちにも心配を掛けてしまい申し訳なかった。
不安定だったのは、今にして思えばほんのひと月足らずだったのだが。
通話を終えてふと窓に目を向ける。
いつの間にか降りは激しさを増していたらしく、雨粒がガラスを叩く音が耳に響いた。
雨が降ると嫌でも蘇る記憶。
一生忘れられない想い出になったあの日と同じ、この音に呼び起されるから。
──彼女が、成美の『最後の忠告』通り刃物を携えて訪ねた部屋で、彼を刺殺して五階のベランダから飛び降りた、あの大雨の日と。
~END~
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
おすすめ作品を読み込み中です…
この作品と似た作品
似た傾向の作品は見つかりませんでした。
この作品を読んだ人が読んでいる作品
読者の傾向からおすすめできる作品がありませんでした。
おすすめ作品は現在準備中です。
おすすめ作品の取得に失敗しました。時間をおいて再度お試しください。