表示設定
表示設定
目次 目次




【2】

ー/ー





「ありがと。ただいま~」
「おかえり、愛ちゃん。お友達と遊んでたの? 遅くなるときは、必ず前もってママに知らせてって約束したでしょ」
「……ゴメン。おとなりにいたの」
 ドアを開けてくれたママのこわい顔に、わたしはすなおに謝る。
 今日は『きんきゅうじたい』だったから、朝には言えなかったんだよ。
 だけど、約束やぶったんだからいいわけなんかしない。だってわたし、もう三年生なんだから。

「あら、そうだったの。じゃあ今度お礼言っとくわ」
 ママは急に、声も顔もやさしくなった。

「うん。おねがい」
 いつもママには、よそのおうちに遅くまでおじゃまするのはダメって言われてる。
 あと、五時にはぜったい帰って来なさいって。

 でも、おとなりのおばさんも遼くんも昔からよく知ってるから、「よそ」とはまた別なのかな。
 たまに遊んでもらった時も、遼くんとなら大丈夫ってママよく言ってたもんね。

「すぐにご飯できるからね」
「はーい」
 一番手前の自分の部屋に入ったわたしは、せなかから下ろしたピンクのランドセルを床に投げた。
 ママに見られたら「六年使うんだから、もっと大事にしなさい」って怒られるけど、ついついやっちゃうんだよね。

「あー!」
 ちゃんとロック掛かってなかったみたいで、ランドセルのふたが開いて中味がザーって出ちゃった。
 わたしはノートやペンケースと一緒に飛び出したピンクのキーホルダーを拾い上げて、目の前でゆらゆらする。

んだから、他のに付け変えないとね」
 ふふ。

 わたしはうそつきで悪い子だってちゃんとわかってる。

 ──だけど、ほんとに遼くんが大好きなんだもん。

  ~END~


スタンプを贈って作者を応援しよう!



みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



「ありがと。ただいま~」
「おかえり、愛ちゃん。お友達と遊んでたの? 遅くなるときは、必ず前もってママに知らせてって約束したでしょ」
「……ゴメン。おとなりにいたの」
 ドアを開けてくれたママのこわい顔に、わたしはすなおに謝る。
 今日は『きんきゅうじたい』だったから、朝には言えなかったんだよ。
 だけど、約束やぶったんだからいいわけなんかしない。だってわたし、もう三年生なんだから。
「あら、そうだったの。じゃあ今度お礼言っとくわ」
 ママは急に、声も顔もやさしくなった。
「うん。おねがい」
 いつもママには、よそのおうちに遅くまでおじゃまするのはダメって言われてる。
 あと、五時にはぜったい帰って来なさいって。
 でも、おとなりのおばさんも遼くんも昔からよく知ってるから、「よそ」とはまた別なのかな。
 たまに遊んでもらった時も、遼くんとなら大丈夫ってママよく言ってたもんね。
「すぐにご飯できるからね」
「はーい」
 一番手前の自分の部屋に入ったわたしは、せなかから下ろしたピンクのランドセルを床に投げた。
 ママに見られたら「六年使うんだから、もっと大事にしなさい」って怒られるけど、ついついやっちゃうんだよね。
「あー!」
 ちゃんとロック掛かってなかったみたいで、ランドセルのふたが開いて中味がザーって出ちゃった。
 わたしはノートやペンケースと一緒に飛び出したピンクのキーホルダーを拾い上げて、目の前でゆらゆらする。
「《《落とした》》んだから、他のに付け変えないとね」
 ふふ。
 わたしはうそつきで悪い子だってちゃんとわかってる。
 ──だけど、ほんとに遼くんが大好きなんだもん。
  ~END~