彼と彼女の在り方
ー/ー
「さ、これで終わりかしら」
ひと段落がついた私は周りを見渡す。
一人でした割には手際がいいんじゃなかろうか。とは言ってもすごく時間がかかってしまった。そんな時間がかけたくはなかったんだけど。
授業以外で持った初めての鋸は重たくて、やっぱり授業はちゃんと聞いておく必要があるなと私は思った。
「だって、こんな歳になって使うなんて誰も思わないわ、そうよね」
お人形に向かって私は言う。
お人形。
「今日、私がここに在るのは貴方のおかげ。
他に何もないわ」
他にあってなるものか。
酷い人、裏切り者、私の愛しい人。
この全てを得ている人なんてこの人以外にはない。私の今の滑稽な行動もまた、お人形は受け入れたのだから。
あの日、きっとああ言わなければ。
私の心を踏みにじれることを知った上でしたのよ。お人形でいればよかったのに。お人形をやめたいなんて言うのよ。酷いわね。酷いのよ。
血塗れの女が立っている。
その女を俺は誰かを知っている。今となってしまえば、俺もお前も器具類だったんだとよく理解できる。
女に言った。こんな関係やめようと。
それは俺の利己的な思いだったのだけど、女と一緒にもっと居たかったからだ。ただ、宰相から狂っていたこの関係。俺も女もどうしようもなく意味のない友人ごっこに縋っていた。
寂しかったのだ。そして俺は女より下にいる立場に甘んじていた。どちらでもよかったのだ。一緒に入れさえすれば。
殺されるなんては思っていなかったが。でも、案外いいのかもしれない。死んでもここにいてそれこそ女と一緒にいられるし、女もまた俺を殺せて満足だろう。
「それにしても、容赦なかったなあ」
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