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姉妹の対立

ー/ー



 先に食べ終えた俺は、さっさと食器を片付けて、自分の部屋へ駆けこんだ。
 間違いなく星羅の追及を受けることになり、観月もそれを追ってくるだろう。とりあえず、状況の整理をさせてくれ。ここ最近で色々なことがありすぎる。


 そんな余裕は与えてくれるはずもなく、俺の部屋の戸を叩く音が響く。


「お兄、開けて。ちょっと話したいだけだから。お願い、入れてよ」
「兄さんと夜の語らいをするのはわたしなんですけど。阿呆はさっさと寝たらいいんじゃないの? 寝る子は育つって言うじゃない?」


 案の定、観月も追いかけてきたらしく、俺の部屋の前でバトルが始まってしまったようだった。


「お前、何なんだよ。お兄にちょっかい出すのやめろ。迷惑だろーが。義妹だからって盛ってんじゃねーぞ?」
「え、何? 義妹とか意識しちゃってるの? やらしいなぁ、星羅。そんなに兄さんのこと大好きなんだね」
「は? それはお(めぇ)だろ、話すり替えんな、ブス」


 さすがにいつまでも騒がせておくと近所迷惑なので、仕方なく、仲介に入ることにする。元より、俺を原因にして揉めているようだし、俺が介入しなければこの諍いは収まらないだろう。
 恐る恐る部屋のドアを開けると、二人は一斉に口を閉ざし、こちらを振り向いた。


「お前たち、少し静かにしようか。近所迷惑になるからさ」
「あ……ごめん、お兄。そこの顔も性格もブスなブタがちょっかいかけてくるからさ」
「ごめんなさい、兄さん。バカで阿呆で脳足りんの妹には何を言っても無駄だとわかっていたのに……わたしとしたことが」


 この二人は、いちいちお互いを罵倒しないと生きていられないのか……?


「とりあえず、中入れよ。いいか、騒いだらつまみ出すからな?」


 はーい、と声を揃えて二人は部屋へ入ってくる。仲が悪いんだか良いんだか。




「これから俺が質問をするから、一人ずつ返事をするんだ。言いたいことがある時は、黙って手を挙げること。そして、どうぞと言われるまでは話さない。守れないなら、俺は今すぐ窓から飛び降りる。お前らの揉め事はもううんざりだ」


 俺の言葉に、二人はしんと黙り込んだ。
 あ、そうか。喋っていいって言わないと喋れないんだっけ。今俺がそう言ったんだった。


「わかったか、星羅?」
「うん、わかったよ、お兄。だから、死なないで」
「ちゃんと守るなら死なない。観月もわかったか?」
「……はい」


 星羅はいつもの調子だが、観月は怒られたと思ったのか、少し落ち込んでいるように見える。いや、実際怒ったのだから、これでいい。むしろピンピンしてる星羅の方が問題だ。


「まず一つずつはっきりさせておく。観月、お前は俺のことが好きか?」


 このセリフだけ聞けば、自惚れが過ぎるようにも聞こえるが、この問いの答えを俺はもう知っている。俺のことが好きなわけではないと、彼女に言われている。だから、答えにくい質問ではないはずだ。


「好きだよ。異性として好き。大好き。愛してる」


 観月が艶っぽく言い放った言葉に、星羅が必死に声を押し殺して腕をピンと伸ばす。発言権を得ようと、必死にアピールしているが、まだ喋らせない。


「……それ、どれくらい本気で言ってる?」
「まさか兄さん、精一杯に意を決したわたしの告白を、冗談だと思ってるの?」


 おいおい、話が違うじゃないか。話をややこしくするなよ。


「でもね、兄さん。わたし、星羅のこと嫌いなの」


 突然、本人の前で衝撃的なカミングアウトをしだす観月。さっきから挙手しっぱなしの星羅は、凄い形相で観月を睨んでいる。


「だから、星羅と仲良くする兄さんは、嫌いだな。もっと言うと、わたしだけを見てくれない兄さんは、嫌い。でも、わたしだけを見てくれるなら、そんな兄さんは大好きだよ」


 なんて独占欲だ。実の双子の妹ですらも邪魔者扱いか。
 観月の気持ちはわかった。本気かどうかはわからないが、全部が全部嘘というわけでもなさそうだし、とりあえずはそういうことにしておこう。
 さて、そろそろお預けさせておくのも限界だろうし、星羅にも喋らせてやろう。


「わかった。今度は星羅の番だ。観月に言いたいことがあるんだろうことはわかってる。でも先に、俺の質問に答えてくれるか?」
「……わかったよ」
「星羅は俺のこと、好きか?」


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 先に食べ終えた俺は、さっさと食器を片付けて、自分の部屋へ駆けこんだ。
 間違いなく星羅の追及を受けることになり、観月もそれを追ってくるだろう。とりあえず、状況の整理をさせてくれ。ここ最近で色々なことがありすぎる。
 そんな余裕は与えてくれるはずもなく、俺の部屋の戸を叩く音が響く。
「お兄、開けて。ちょっと話したいだけだから。お願い、入れてよ」
「兄さんと夜の語らいをするのはわたしなんですけど。阿呆はさっさと寝たらいいんじゃないの? 寝る子は育つって言うじゃない?」
 案の定、観月も追いかけてきたらしく、俺の部屋の前でバトルが始まってしまったようだった。
「お前、何なんだよ。お兄にちょっかい出すのやめろ。迷惑だろーが。義妹だからって盛ってんじゃねーぞ?」
「え、何? 義妹とか意識しちゃってるの? やらしいなぁ、星羅。そんなに兄さんのこと大好きなんだね」
「は? それはお|前《めぇ》だろ、話すり替えんな、ブス」
 さすがにいつまでも騒がせておくと近所迷惑なので、仕方なく、仲介に入ることにする。元より、俺を原因にして揉めているようだし、俺が介入しなければこの諍いは収まらないだろう。
 恐る恐る部屋のドアを開けると、二人は一斉に口を閉ざし、こちらを振り向いた。
「お前たち、少し静かにしようか。近所迷惑になるからさ」
「あ……ごめん、お兄。そこの顔も性格もブスなブタがちょっかいかけてくるからさ」
「ごめんなさい、兄さん。バカで阿呆で脳足りんの妹には何を言っても無駄だとわかっていたのに……わたしとしたことが」
 この二人は、いちいちお互いを罵倒しないと生きていられないのか……?
「とりあえず、中入れよ。いいか、騒いだらつまみ出すからな?」
 はーい、と声を揃えて二人は部屋へ入ってくる。仲が悪いんだか良いんだか。
「これから俺が質問をするから、一人ずつ返事をするんだ。言いたいことがある時は、黙って手を挙げること。そして、どうぞと言われるまでは話さない。守れないなら、俺は今すぐ窓から飛び降りる。お前らの揉め事はもううんざりだ」
 俺の言葉に、二人はしんと黙り込んだ。
 あ、そうか。喋っていいって言わないと喋れないんだっけ。今俺がそう言ったんだった。
「わかったか、星羅?」
「うん、わかったよ、お兄。だから、死なないで」
「ちゃんと守るなら死なない。観月もわかったか?」
「……はい」
 星羅はいつもの調子だが、観月は怒られたと思ったのか、少し落ち込んでいるように見える。いや、実際怒ったのだから、これでいい。むしろピンピンしてる星羅の方が問題だ。
「まず一つずつはっきりさせておく。観月、お前は俺のことが好きか?」
 このセリフだけ聞けば、自惚れが過ぎるようにも聞こえるが、この問いの答えを俺はもう知っている。俺のことが好きなわけではないと、彼女に言われている。だから、答えにくい質問ではないはずだ。
「好きだよ。異性として好き。大好き。愛してる」
 観月が艶っぽく言い放った言葉に、星羅が必死に声を押し殺して腕をピンと伸ばす。発言権を得ようと、必死にアピールしているが、まだ喋らせない。
「……それ、どれくらい本気で言ってる?」
「まさか兄さん、精一杯に意を決したわたしの告白を、冗談だと思ってるの?」
 おいおい、話が違うじゃないか。話をややこしくするなよ。
「でもね、兄さん。わたし、星羅のこと嫌いなの」
 突然、本人の前で衝撃的なカミングアウトをしだす観月。さっきから挙手しっぱなしの星羅は、凄い形相で観月を睨んでいる。
「だから、星羅と仲良くする兄さんは、嫌いだな。もっと言うと、わたしだけを見てくれない兄さんは、嫌い。でも、わたしだけを見てくれるなら、そんな兄さんは大好きだよ」
 なんて独占欲だ。実の双子の妹ですらも邪魔者扱いか。
 観月の気持ちはわかった。本気かどうかはわからないが、全部が全部嘘というわけでもなさそうだし、とりあえずはそういうことにしておこう。
 さて、そろそろお預けさせておくのも限界だろうし、星羅にも喋らせてやろう。
「わかった。今度は星羅の番だ。観月に言いたいことがあるんだろうことはわかってる。でも先に、俺の質問に答えてくれるか?」
「……わかったよ」
「星羅は俺のこと、好きか?」