3.まだ〝世界〟はその名を知らない
ー/ー
転生して八日目。
五日くらいログさんがせっせと何かしらのデータ照合をしていた。
俺? 俺はステータス画面見たり、『森羅共鳴』で世間話したり、枝を動かす練習をしたりを繰り返してるだけさ!
――だがしかし、やっている内に気がついたんだ。
あれ? これ森の外側の植物と”伝言ゲーム”して、外を情報収集できるんじゃね?
これこそ俺の知能指数が高いと言われる所以だ、と言うべき作戦が出来たのだよ!!
……………………
………………
…………
……
――――電源……じゃなかった、伝言ゲームの結果は…………。
一、ここは「ヴァルデリン森林」と言い、カルミリス王国という国の領土内。
人間的には危険度は割と低い。
二、カルミリス王国は現在、魔物が異常に強いことに悩まされている。
最近、この近くで迷宮という魔物発生スポットが出てきたことと関係があるのではと噂されている。カルミリスに限らず。西側の国も同じ事態に陥っている。
三、俺が生まれたことで周り……主にカルミリス王国が騒いでる。
ゲットした情報は後で考えるとして……精人族のお供えで悍ましい二物が供えられてから、ずっとログさんに任せっぱなしなんだけど……。
《照合を終えた結果、かなり危険度が高い物であることが判明しましたが……聞きますか?》
『あら、終わったの? じゃあ聞いとこっかな――――!?』
言葉を終えると同時に背筋が冷えた感覚がする。
軽く受け答えしたのが間違ったかも……と後悔する暇なく、ログさんの文字が表示される。
《――では、申します。エルフから供えられた謎の黒棒と謎の赤宝石は、高位武器『伸縮自在の魔剣』と『真紅の金剛石』であることが判明しました。》
『……は?』
かなり厨二そうな名が出てきたんだが、こんな黒棒が魔剣? 原型なくね?
『えと……そのカラドヴォルグ? てのと、レッドダイヤモンドっていうのを解説してくれるかな?』
《はい。まず『伸縮自在の魔剣』は武器の中でも異質とされる聖剣・魔剣の一種です。『どこまでも伸びる』のと、『魔剣特有の闇の力が放出される』ということです。間違いないことは、これを持っているだけで国家間との戦争が起きることと、そんなものをエルフが持っているはずがないということですね》
は? どこまでも……? それって、無限ってことなの?
今頑張って動かそうとしている俺の枝が負けた気がする。元からだと思うけど……。
うん、なんでエルフがそんなもの持ってるの?
なんで…………………………………………………………?
『…………ハッ!!』
いかんいかん、あまりの衝撃に軽く放心してしまった。
いきなり人のそばにヤバいの置いていくんじゃねぇよ……。
ていうか急に魔剣と言われても……反応に困るよね。
赤い宝石の方聞いて考えるかな……。
『……それで、赤い宝石は?』
《――――言いたくありません》
……なぜ?
ここでログさんが情報開示を渋るなんて……気になるな。
『ログさん、そんな事言わずにね? 教えて下さいよ』
《――いえ。これを申す必要はありません》
『なんでさ? そんなヤバいものだから捨てるの?』
《――捨てはしませんが!》
おいおい、まだ日は浅いが、ここまで躊躇ってるログさんは初めてじゃないか?
こりゃただ事じゃないぞ。
そんなに恐ろしいものなら、俺も自然と聞く気が引けるってもんだ。
『なら仕方がない。今のところは聞いておかないでおくよ』
《……ありがとうございます》
……久しぶりに、誰かに感謝された気がする。
そういや、ブラックに勤めたときは感謝はおろか謝罪ばっかりだったな。
……俺は、学校で言ってた『感謝は大事なのでちゃんとしましょう』ってのは本当だっていうことを再確認し、人としての必須事項を厳守していこうと思ったのだった。
話変えるけどこれ、明らかにパンピーならぬ一般精人が持ってていい代物じゃないだろ……!
本当に謎の感覚を覚えたまま、エルフを畏怖する気持ちが湧いてきたのだった。
◆◆◆◆◆◆
――そういや、ステータスとか見れるのかな?
ログさんにステータスって見れる? と念じてみると、と返事をくれた。
じゃあお願いします――と念じると、眼の前にウィンドウが表示される。
名前:名無し
種族:神樹……世界樹(幼体)
称号:神樹の芽生え
加護:創造神の加護
技術:なし
魔法:『樹木魔法』『大地魔法』『精霊魔法』
耐性:
・痛覚無効
・自然無効
・大地属性無効
・水属性耐性
能力:
・鑑定
・念話
・再生
・枝伸縮
・森羅共鳴
・魔力感知
・配下創造
……項目多いな。全部把握しきれるかな……。
ゆっくりとステータスを見ようとしたが、衝撃的な事に気づいた。
『……種族:神樹……世界樹?』
種族名を見て、背筋がゾクッとした。
え、ユグドラシル? っていうか神樹…………。
『ご神木?』
《肯定。まだ幼体ですが、最終的には森と大地を守る神樹にもなれます》
『いやいや、ただの木だろ!? ただの木!! 大事なのはtheじゃなくてaだというところ――理由は俺みたいな木はどこにでもいるから――じゃなくて、木如きでなにが守れるんだよ!』
《大丈夫です。推測の域ですが、能力で様々なことができますので》
……マジかよ。意外とブラックなとこに来ちゃったかもと、俺は少し疑惑を覚えたのだった。
――この時、俺はまだ知らなかった。
俺という存在が、世界事変に巻き込まれることを。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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転生して八日目。
五日くらいログさんがせっせと何かしらのデータ照合をしていた。
俺? 俺はステータス画面見たり、『森羅共鳴』で世間話したり、枝を動かす練習をしたりを繰り返してるだけさ!
――だがしかし、やっている内に気がついたんだ。
あれ? これ森の外側の植物と”伝言ゲーム”して、外を情報収集できるんじゃね?
これこそ俺の知能指数が高いと言われる|所以《ゆえん》だ、と言うべき作戦が出来たのだよ!!
……………………
………………
…………
……
――――電源……じゃなかった、伝言ゲームの結果は…………。
一、ここは「ヴァルデリン森林」と言い、カルミリス王国という国の領土内。
人間的には危険度は割と低い。
二、カルミリス王国は現在、魔物が異常に強いことに悩まされている。
最近、この近くで|迷宮《ラビリンス》という魔物発生スポットが出てきたことと関係があるのではと噂されている。カルミリスに限らず。西側の国も同じ事態に陥っている。
三、俺が生まれたことで周り……主にカルミリス王国が騒いでる。
ゲットした情報は後で考えるとして……|精人族《エルフ》のお供えで|悍《おぞ》ましい二物が供えられてから、ずっとログさんに任せっぱなしなんだけど……。
《照合を終えた結果、かなり危険度が高い物であることが判明しましたが……聞きますか?》
『あら、終わったの? じゃあ聞いとこっかな――――!?』
言葉を終えると同時に背筋が冷えた感覚がする。
軽く受け答えしたのが間違ったかも……と後悔する暇なく、ログさんの文字が表示される。
《――では、申します。エルフから供えられた謎の黒棒と謎の赤宝石は、高位武器『|伸縮自在の魔剣《カラドヴォルグ》』と『|真紅の金剛石《レッドダイヤモンド》』であることが判明しました。》
『……は?』
かなり厨二そうな名が出てきたんだが、こんな黒棒が魔剣? 原型なくね?
『えと……そのカラドヴォルグ? てのと、レッドダイヤモンドっていうのを解説してくれるかな?』
《はい。まず『|伸縮自在の魔剣《カラドヴォルグ》』は武器の中でも異質とされる聖剣・魔剣の一種です。『どこまでも伸びる』のと、『魔剣特有の闇の力が放出される』ということです。間違いないことは、これを持っているだけで国家間との戦争が起きることと、そんなものをエルフが持っている|はずがない《・・・・・》ということですね》
は? どこまでも……? それって、無限ってことなの?
今頑張って動かそうとしている俺の枝が負けた気がする。元からだと思うけど……。
うん、なんでエルフがそんなもの持ってるの?
なんで…………………………………………………………?
『…………ハッ!!』
いかんいかん、あまりの衝撃に軽く放心してしまった。
いきなり|人《き》のそばにヤバいの置いていくんじゃねぇよ……。
ていうか急に魔剣と言われても……反応に困るよね。
赤い宝石の方聞いて考えるかな……。
『……それで、赤い宝石は?』
《――――言いたくありません》
……なぜ?
ここでログさんが情報開示を渋るなんて……気になるな。
『ログさん、そんな事言わずにね? 教えて下さいよ』
《――いえ。これを申す必要はありません》
『なんでさ? そんなヤバいものだから捨てるの?』
《――捨てはしませんが!》
おいおい、まだ日は浅いが、ここまで|躊躇《ためら》ってるログさんは初めてじゃないか?
こりゃただ事じゃないぞ。
そんなに恐ろしいものなら、俺も自然と聞く気が引けるってもんだ。
『なら仕方がない。今のところは聞いておかないでおくよ』
《……ありがとうございます》
……久しぶりに、誰かに感謝された気がする。
そういや、ブラックに勤めたときは感謝はおろか謝罪ばっかりだったな。
……俺は、学校で言ってた『感謝は大事なのでちゃんとしましょう』ってのは本当だっていうことを再確認し、人としての必須事項を厳守していこうと思ったのだった。
話変えるけどこれ、明らかにパンピーならぬ|一般精人《パンエル》が持ってていい代物じゃないだろ……!
本当に謎の感覚を覚えたまま、エルフを|畏怖《いふ》する気持ちが湧いてきたのだった。
◆◆◆◆◆◆
――そういや、ステータスとか見れるのかな?
ログさんにステータスって見れる? と念じてみると、《できます》と返事をくれた。
じゃあお願いします――と念じると、眼の前にウィンドウが表示される。
名前:名無し
種族:神樹……|世界樹《ユグドラシル》(幼体)
称号:神樹の芽生え
加護:創造神の加護
技術:なし
魔法:『樹木魔法』『大地魔法』『精霊魔法』
耐性:
・痛覚無効
・自然無効
・大地属性無効
・水属性耐性
|能力《スキル》:
・鑑定
・念話
・再生
・枝伸縮
・森羅共鳴
・魔力感知
・配下創造
……項目多いな。全部把握しきれるかな……。
ゆっくりとステータスを見ようとしたが、衝撃的な事に気づいた。
『……種族:神樹……|世界樹《ユグドラシル》?』
種族名を見て、背筋がゾクッとした。
え、ユグドラシル? っていうか神樹…………。
『ご神木?』
《|肯定《そうです》。まだ幼体ですが、最終的には森と大地を守る神樹にもなれます》
『いやいや、ただの木だろ!? |ただの木《A wood》!! 大事なのは|the《ザ》じゃなくて|a《ア》だというところ――理由は俺みたいな木はどこにでもいるから――じゃなくて、木|如《ごと》きでなにが守れるんだよ!』
《大丈夫です。推測の域ですが、|能力《スキル》で様々なことができますので》
……マジかよ。意外とブラックなとこに|来ちゃった《転生した》かもと、俺は少し疑惑を覚えたのだった。
――この時、俺はまだ知らなかった。
|俺という存在《ユグドラシル》が、世界事変に巻き込まれることを。